相場のデータ・指標

【2022年9月】「ドル円相場」のデータ分析(日米10年国債利回り・購買力平価・ソロスチャート)

ここでは、直近の「ドル円相場」について、日米10年国債利回り、購買力平価、修正ソロスチャート(修正マネタリーベース比率)という3つの観点から見ていきたいと思います。

なお、各指標に関しては、以下の記事でそれぞれ詳しく解説していますので、よろしければご参照下さい。

1.日米10年国債利回りとドル円相場

まずは、米国の10年債利回りとドル円相場の推移を比較してみます。

22年9月の米10年債利回りとドル円相場の推移を示した図

この図から、米長期金利は1980年代より右肩下がりの傾向となっていたことが分かります。

そして直近では、米長期金利の上昇に伴って、ドル円相場も円安方向への動きとなっています。

次に、米国と日本の10年国債利回りの差をドル円相場の推移と比較したのが以下の図です。

22年9月の日米10年国債利回り差とドル円相場の推移を示した図

こちらの図では、ドル円相場の動きが、日米の長期金利差と概ね連動していることが見て取れます。

直近では、長期金利差とドル円相場との乖離は縮小傾向となっています。

2.購買力平価とドル円相場

次に、日米の購買力平価とドル円相場の推移を比較してみます。

なお、購買力平価(PPP)に関しては、日米の相対的購買力平価である、消費者物価PPP、企業物価PPP、輸出物価PPPを用いています。

22年9月の日米の各種購買力平価とドル円相場の推移を示した図

この図からは、ドル円のレートは、企業物価PPPを上限、輸出物価PPPを下限として推移していた時期が長い中で、ここ数年は企業物価PPPより上での推移となっていたことが分かります。

そして、直近ではドル円のレートが消費者物価PPPを大きく超える動きとなっていることは注目に値します。

つまり、ドル円相場を購買力平価という観点から見た場合には、ドル安円高余地が大きいように思われます。

3.修正ソロスチャートとドル円相場

最後に、修正ソロスチャート(修正マネタリーベース比率)とドル円相場の推移を見ていきます。

22年9月の修正ソロスチャートとドル円相場の推移を示した図

この図からは、ドル円相場と修正マネタリーベース比率との相関性が高いことと同時に、最近では両者の乖離が拡大していることが分かります。

4.総括

ここまで見てきた各種指標のうち、特に購買力平価と修正マネタリーベース比率という観点からは、円高余地が大きいように見えます。

しかし、ドル円相場では円安ドル高が進行し、直近では9月21日のFOMC(連邦公開市場委員会)を控え、140円台前半での値動きとなっています。

この背景には、9月13日に発表された8月の米CPI(消費者物価指数)が市場予想を上回ったことや、米国の景気が底堅いこともあり、21日のFOMCでは利上げ幅が1.0%にも達するのではないかとの観測も一部に浮上したことがあります。

一方で、日銀は政策金利を据え置く可能性が高く、日米の金利差拡大が意識され、円安ドル高につながっているといった状況です。

そして、FRB(米連邦準備制度理事会)は、インフレ抑制のためには景気後退も辞さない構えであり、インフレ率が高い水準で推移している現状では、しばらくは利上げの停止も見込めず、円安ドル高方向への値動きが続くことになりそうです。

【2022年9月】「WTI原油」のデータ分析(CFTC建玉明細(投機筋)、ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)、原油在庫統計(EIA・API))前のページ

【2022年9月】「日経平均株価」のデータ分析(PER・PBR、海外投資家売買動向、日銀ETF買い入れ、ドル建て日経平均、信用評価損益率、騰落レシオ)次のページ

関連記事

  1. 相場のデータ・指標

    新値銘柄数で相場の天底を測れるか!?

    この記事では、新値銘柄数(新高値銘柄数と新安値銘柄数)の特徴や、その見…

  2. 相場のデータ・指標

    2021年(丑年)の相場は、「丑つまずき」となるか?

    この記事では、2021年の日本株(日経平均株価)を十干十二支や陰陽五行…

  3. 相場のデータ・指標

    デビッド・テッパー氏率いるアパルーサ・マネジメントの最新ポートフォリオ(2021年3月末時点)

    この記事では、デビッド・テッパー氏率いるアパルーサ・マネジメントの20…

  4. 相場のデータ・指標

    「Sell in May(5月に売れ)」を日経平均株価とS&P 500で検証!

    この記事では、「Sell in May(5月に売れ)」という有名なアノ…

  5. 相場のデータ・指標

    「米国長期金利」のデータ分析(2019.4)(日本と中国の米国債保有額・FRB保有債券残高)

    この記事では、直近の「米国長期金利」について、日本と中国の米国債保有額…

電子書籍(3冊全て、Amazonランキング1位獲得)

「マーケットの魔術師」ならぬ「マーケットの詐欺師」

精神科医が暴く金融業界の裏側

 

勝者の心構え

精神科医が看破する投資の本質

 

 

 

この心理的罠からあなたは逃れられるか

精神科医が洞察する投資家心理

 

  1. 相場のデータ・指標

    景気動向と日経平均株価②
  2. 相場のデータ・指標

    「日経平均株価」のデータ分析(2021.3)(PER・PBR、海外投資家売買動向…
  3. 投資の基礎知識・理論・心理

    投資はギャンブルか?
  4. 投資戦略・手法・市場展望

    株式市場はバブルか? そして、2月に調整局面を迎えるのか?
  5. 株式取引履歴

    【2024年3月】株式取引履歴(日本株・外国株)
PAGE TOP