読書録・書評

【読書録・書評】『これなら勝てる究極の低位株投資―FAI投資法実践編』

ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。

1.書籍の概要

まずは、本書の概要からです。

本書は、林輝太郎氏を父に持つ、林知之氏による著書で、FAI投資法という低位株投資術について書かれています。

本書は、前回に以下の記事でレビューした『究極の低位株投資術 FAI投資法』という書籍の実践編という位置付けになります。

ここでは、前著では触れられていなかった部分を中心に、一部を抜粋しながらレビューしていきたいと思います。

なお、本書の章立ては、以下のようになっています。

  • 第1章:FAI投資法と投資クラブ
  • 第2章:FAI投資法を実践するための心得と道具
  • 第3章:FAI投資法を実践するための売買ルール
  • 第4章:売買の核心となる「利食い」
  • 第5章:FAI投資法のカラ売り
  • 第6章:実践力を身につけるためのポイントと注意
  • 第7章:新しい時代のFAIの分析方法
  • 第8章:実践のためのケーススタディ

2.FAI投資法での最高銘柄数

第2章で、FAI投資法は銘柄を分散する投資法であり、最初に資金に合わせた銘柄数と株数を計画しておく必要があると書かれています。

具体的には、30項目のルール(前回の記事に掲載)には書いていないものの、FAI投資法では銘柄数を最高で24銘柄としているとのことです。

また、現実には20銘柄以内がやりやすい一方で、3銘柄や5銘柄に限定するのはお勧めしないともあります。

このように、ある程度の銘柄数に分散させる理由として、次のように書かれています。

FAIクラブで選定しているものは、①下げ切って、②買い安心、なのであるが、低位に甘んじている銘柄だけに、人気がつくまでに時間がかかることがある。適度に分散させることで、有望な低位株”群”を買うFAIの長所が最大に引き出されるのである。

そして、「たいがい、早く(下げ切らないうちに)買ってしまう、あとで買いたい銘柄が出てくる、というのが常である」から、「資金の余裕は多いほどよい」とも言っています。

3.FAI投資法での強制手仕舞い

他にも、30項目のルール本文にはないものの、「24か月保有している銘柄は強制的に手仕舞いする」という付則があるとのことです。

この付則の意味としては、以下のようなものが挙げられています。

  • 感情の狂いを調整する。
  • 個々の銘柄をリズムよく売り買いしていくことで、資金全体のリズムをよくする。
  • 余裕を持って売買することで、売買そのものに修正の役目を持たせるのである。 

4.FAI投資法でのカラ売り

第5章では、カラ売りについても触れられており、FAI投資法におけるカラ売りは以下のようなものだと書かれています。

カラ売りをするといっても、買いポジションを持ちながら別の銘柄で売り思惑(下げを狙ってのカラ売り)をやったり、ツナギを入れたり、そういう複雑なことは一切やらない。

FAIのカラ売りは、①買い銘柄を選定するのが困難な時期に行う、②カラ売り実行中はカラ売りのみとする、というもので、売りポジションを利用して利益増大、あるいはリスク軽減を図るためのものではない。

ちなみに、FAIクラブでは、1988年から2001年春まで、12年以上にわたって銘柄選定がゼロであったとのことで、その間はカラ売りを行っていたと言います。

そして、カラ売りが一般的に危険だとされるのは、上げ途上や、値動きの荒っぽいところでカラ売りをするからであって、次のようにすれば実は安全な売買であるとも書かれています。

下げ相場のトレンドに正しく乗ってカラ売りを実行すれば、大底で動きがゆっくりとなるまで待ち、下げなくなったことを確認してから買い戻しをすればいい。

5.総括

前著では月足グラフの描き方やデータ・スリップの作成法について詳しく書かれていたのに対し、本書では場帖や玉帖の書き方について詳しく書かれています。

また、第7章では、筆者がFAI投資法のファンダメンタル分析の教科書と位置づけており、業績や財務分析に関して、個人投資家向けに書かれた実践的な書籍として、福田修司氏の『投資家のための企業分析入門―正しい投資活動のために (同友館投資クラブ)』が紹介されています。

さらに本書では、FAI投資法の30項目のルールに対する、より実践的な解説がされていたり、第8章では7つのケーススタディが載せられていたりと、書籍のタイトルにもある「実践編」にふさわしい内容となっています。

そして、本書の中では、FAIクラブで過去3回にわたって実施された、1年間の売買スクール(特訓コース)の話が出てきます。

それによると、のべ53人が参加し、最高の成績が年間利益率48.1%であったのに対し、最低は同3.7%と大きな差が出たというのです。

ですから、同じルールに従っていたとしても、最後は使う人間の能力が問題となる、つまり売買技術が大事なものとなってくるということです。

本書は、知識や理論に偏重することなく、実践の中で上達していくことが大事だということを改めて感じさせられる一冊だと言えます。

 

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