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チェース・コールマン率いるタイガー・グローバル・マネジメントの最新ポートフォリオ(2021年6月末時点)

1.チェース・コールマン率いるタイガー・グローバル・マネジメント

今回は、チェース・コールマン氏が率いる、タイガー・グローバル・マネジメントというヘッジファンドの2021年6月末時点でのポートフォリオについて見ていきたいと思います。

チェース・コールマン氏は、2020年のヘッジファンドマネジャーの収入ランキングで首位となっており、30億ドルを稼いだとされます。

また、チェース・コールマン氏は、以下に示すように、2010年12月末の時点で、アップル(AAPL)株のポートフォリオへの組み入れ比率をトップとしていたのです。

チェース・コールマン氏の2010年12月末のポートフォリオを示した図

これは、アップル株が本格的な上昇を開始するよりもかなり前でした。

他にも、FacebookやLinkedInには初期の頃から投資していたりと、同氏の先見の明には驚かされます。

2.米証券取引委員会(SEC)への報告書提出義務

さて、チェース・コールマン氏に限りませんが、上記のように著名投資家たちのポートフォリオを知ることができるのには理由があります。

これは、米国では運用資産が1億ドル以上の機関投資家は、四半期ごとに証券取引委員会(SEC)への報告書提出が義務付けられているためです。

この報告書は、SECのホームページから閲覧することができ、著名投資家たちのポートフォリオの保有銘柄や株数などを知ることができるのです。

ただ、各四半期末から45日以内が報告書の提出期限であることから、公開されたポートフォリオが最新のものであるとは限らない点には注意が必要です。

また、公開されるのは、米国上場株および、ロングポジションのみとなっています。

さて、各四半期から45日以内が提出期限ということから、2月中旬、5月中旬、8月中旬、11月中旬に報告書が更新されることが多くなります。

つまり、この8月中旬には、著名投資家たちの6月末時点でのポートフォリオが数多く公開されるというわけです。

3.タイガー・グローバル・マネジメントのポートフォリオ

それでは早速、タイガー・グローバル・マネジメントの2021年6月末時点でのポートフォリオを見ていきます。(図では上位15銘柄を示しています。)

チェース・コールマン氏の2021年6月末のポートフォリオを示した図

また、この四半期前の2020年12月末のポートフォリオを示したのが下図になります。

チェース・コールマン氏の2021年3月末のポートフォリオを示した図

この両者を比較してみると、DOCU(DocuSign)約41%増、DASH(DoorDash)が約88%増、ZM(Zoom VideoCommunications)が約75%増、SHOP(Shopify)が約69%増と、大きく買い増されています。

一方で、APO(Apollo Global Management)が約11%減、FB(Facebook)が約9%減、前四半期に大きく新規買いしていたRBLX(Roblox)が約32%減、となっていました。

そして、これら各銘柄の、6月末時点から直近までにおける株価騰落は下記のようになっています。

  • 6月末時点から株価上昇 :DOCU、DASH、SHOP、FB
  • 6月末時点から株価下落 :RBLX
  • 6月末時点から株価横ばい:APO、ZM

このことから分かるように、見事なポートフォリオ・マネジメントであったと言えます。

なお、APO(アポロ・グローバル・マネジメント)は、大手のプライベート・エクイティ・ファンドになります。

4.チェース・コールマンの主な新規買い銘柄と総括

ここからはさらに踏み込んで、21年3月末から21年6月末までの間に、タイガー・グローバル・マネジメントが新規買いした主な銘柄について見ていくことにします

以下の表は、新規買いが行われた銘柄のうち、ポートフォリオの組み入れ比率が0.2%以上の7銘柄を取り出したものです。

ティッカー 銘柄名 組み入れ比率
PCOR Procore Technologies Inc 1.68
PATH UiPath Inc 1.32
COIN Coinbase Global Inc 1.24
DV DoubleVerify Holdings Inc 1.09
IS ironSource Ltd 0.4
BHG Bright Health Group Inc 0.38
DLO DLocal Ltd 0.25

これらの銘柄を見てみると、上場後間もない銘柄ばかりとなっており、株価もぱっとしないものが多くなっています。

また、21年3月末から21年6月末までの間に、新規買いされた25銘柄もほとんどが上場後間もない企業であり、それらを合計したポートフォリオに占める比率は約7.5%でした。

そういった企業は例によってバリュエーションが異様に高いものばかりですが、25銘柄にポートフォリオの約9.7%分の新規買いを行った前四半期に続いて、積極的に投資していることが分かります。

確かに、これまでは巣ごもりやテレワーク関連など、市場のテーマに沿った新興株は強い値動きを示してきました。

ただ、最近になって、FRBによるテーパリング(量的緩和の縮小)の開始が早まる可能性が高まっており、バリュエーションの高い新興株にとっては特に逆風となっています。

次回、11月中旬頃に公表されるであろう、21年9月末のポートフォリオがどうなっているか注目したいところです。

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