相場のデータ・指標

ケン・フィッシャー氏率いるフィッシャー・インベストメンツの最新ポートフォリオ(2021年6月末時点)

1.フィッシャー・インベストメンツ率いるケン・フィッシャー氏

今回は、ケン・フィッシャー(ケネス・ローレンス・フィッシャー)氏が率いる、フィッシャー・インベストメンツの2021年6月末時点でのポートフォリオについて見ていきたいと思います。

ケン・フィッシャーは、故フィリップ・A・フィッシャーを父に持ち、米国有数の著名投資家であると同時に、米国の長者番付「フォーブス400」常連の億万長者でもあります。

なお、フィリップ・A・フィッシャーは、ウォーレン・バフェットが師と公言し、成長株投資の礎を築いた伝説的投資家です。

そして、ケン・フィッシャーは、フォーブス誌に「ポートフォリオ・ストラテジー」というコラムを1984年から長期連載しており、投資に関する著書も数多くあります。

中でも、『Super Stocks』(邦訳:『ケン・フィッシャーのPSR株分析』)では、PSRの有効性をケン・フィッシャーが初めて提唱したと言えます。

ただ、このPSRに関しては、その後の『The Only Three Questions That Count』(邦訳:『投資家が大切にしたいたった3つの疑問』)の中で、広く知れ渡ったことによりPSRは機能しなくなったと述べています。

また、同書には、他人には知ることのできない優位性を継続的に発見し、投資判断を常に改善・修正していくための方法が書かれており、その深い洞察力には驚かされます。

2.米証券取引委員会(SEC)への報告書提出義務

さて、ケン・フィッシャーに限りませんが、著名投資家たちのポートフォリオを知ることができるのには理由があります。

これは、米国では運用資産が1億ドル以上の機関投資家は、四半期ごとに証券取引委員会(SEC)への報告書提出が義務付けられているためです。

この報告書は、SECのホームページから閲覧することができ、著名投資家たちのポートフォリオの保有銘柄や株数などを知ることができるのです。

ただ、各四半期末から45日以内が報告書の提出期限であることから、公開されたポートフォリオが最新のものであるとは限らない点には注意が必要です。

また、公開されるのは、米国上場株および、ロングポジションのみとなっています。

さて、各四半期から45日以内が提出期限ということから、2月中旬、5月中旬、8月中旬、11月中旬に報告書が更新されることが多くなります。

つまり、8月中旬頃までには、著名投資家たちの6月末時点でのポートフォリオが数多く公開されるというわけです。

3.フィッシャー・インベストメンツのポートフォリオ

それでは早速、フィッシャー・インベストメンツの2021年6月末時点でのポートフォリオを見ていきます。(図では上位24銘柄を示しています。)

ケン・フィッシャー氏の2021年6月末のポートフォリオを示した図

また、この四半期前の2021年3月末のポートフォリオを示したのが下図になります。

ケン・フィッシャー氏の2021年3月末のポートフォリオを示した図

この両者を比較してみると、ほとんど変化がないのですが、組み入れ比率が上位60銘柄の中から、ポートフォリオに占める割合が10%以上増加した銘柄をピックアップしてみると、次の3銘柄となりました。

  • VCIT(バンガード・米国中期社債ETF):+13.19%
  • IEF(iシェアーズ 米国国債7-10年ETF):+10.60%
  • SPTL(SPDR ポートフォリオ米国長期(10年以上)国債ETF):+13.62%

前回、20年12月末と21年3月末のポートフォリオを比較した際にも、VCITやLQD(iシェアーズ iBoxx米ドル建て当期適格社債ETF)といった債券ETFのウエイトが増加していました。

それに引き続いて、21年4月から6月末までの間にも、債券ETFの買い増しが行われていたことになります。

4.ケン・フィッシャーの主な新規買い銘柄

ここからはさらに踏み込んで、21年3月末から21年6月末までの間に、フィッシャー・インベストメンツが新規買いした主な銘柄について見ていくことにします。

以下の表は、新規買いが行われた82銘柄のうち、保有ポジションの高い順に6銘柄を取り出したものです。

ティッカー 銘柄名 組み入れ比率
BCRX BioCryst Pharmaceuticals Inc 0.02
OGN Organon & Co 0.02
DVAX Dynavax Technologies Corp 0.01
GTHX G1 Therapeutics Inc 0.01
NTRA Natera Inc 0.01
TGTX TG Therapeutics Inc 0.01

BCRXやGTHX、TGTXはバイオテクノロジー、DVAXとOGNは医薬品、NTRAは医療診断関連となります。

また、OGN以外は、バイオ関連にありがちですが、売上はないか、あってもわずかで、赤字を垂れ流し続けています。

バイオ関連は不確定要素が多く、ハイリスク・ハイリターンであるため、私は基本的に手を出さないようにしているのですが、バイオ関連に投資する際には、複数の銘柄に分散して投資する必要があるでしょう。

5.総括

21年4月から6月末までの間に、債券ETFの買い増しが行われていたのは、前述した通りですが、この間の米長期金利の推移を示したのが、以下の図です。

2020年以降の米長期金利の推移を示した図

この図から、21年4-6月は、長期金利が低下傾向となっていたことが分かります。

その後も、長期金利は低下し続けており、結果的にこの間の債券ETF買い増しは正解だったと言えます。

そして現状では、FRBによるテーパリング(量的緩和の縮小)の開始がいつになるかが市場の焦点となっているように見受けられます。

足元では、インフレ基調が鮮明となっていますが、FRBの役割としては物価の安定化以外に、雇用の最大化があります。

この雇用に関しては、失業率の改善が乏しくなっており、これには失業保険給付の手厚い上乗せが9月末まであることも関係しているのではないかと思われます。

あとは今後、テーパリングの開始が決定、あるいは実際に開始された際に、債券価格が上昇(金利は低下)するかどうかです。

最近では、FRBが市場との対話を重視しているため、13年5月のような長期金利の急騰が起こる可能性は低いでしょうが、国債市場における需給悪化から長期金利が上昇する可能性は十分あり得ます。

一方で、コロナ禍などにより、景気後退懸念が高まれば、長期金利は低下することになるでしょう。

つまり、債券価格の先行きに関しては何とも言えないところです。

ただ、過去を振り返ってみても、FRBが本格的に利上げを開始するまでは、株式市場への悪影響は小さく、株式市場に関しては、もうしばらくは堅調に推移するのではないかと考えています。

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