相場のデータ・指標

【2024年9月】「日経平均株価」のデータ分析(PER・PBR、海外投資家売買動向、日銀ETF買い入れ、ドル建て日経平均、信用評価損益率、騰落レシオ)

ここでは、直近の「日経平均株価」について、PER・PBR、海外投資家売買動向、日銀ETF買い入れ、信用評価損益率、騰落レシオといった観点から見ていきたいと思います。

なお、各指標に関しては、以下の記事でそれぞれ詳しく解説していますので、よろしければご参照ください。

1.PER・PBR

まず、日経平均株価に採用されている企業の平均PER(株価収益率)についてです。

この平均PERと日経平均株価の値から、平均EPS(一株当たり当期純利益)を求め、その平均EPSに13~17の数値を掛け合わせて、PER 13~17倍に相当する株価の推移を日経平均株価とともに表したのが以下の図になります。

24年9月までの日経平均株価とPER13~17倍相当株価の推移を示した図

なお、この図の2020年5月以降では、新型コロナウイルスの影響により、業績予想の開示を見送る企業が相次いだため、日経の予想が作成されるまでの間、利益をゼロとして平均PERが算出されていました。

この図から、8月5日の急落時には終値でPERが13.01倍と、PER 13倍相当の株価推移がサポートとして機能したことが見て取れます。

そして直近で、PERは15.3倍(9月20日時点)での推移となっています。

次に、平均PBR(株価純資産倍率)についてです。

PERと同様に、平均PBRと日経平均株価から平均BPS(一株当たり純資産)を求め、そこから導き出したPBR 1~1.5倍に相当する株価の推移を日経平均株価とともに示したのが以下の図になります。

24年9月までの日経平均株価とPBR1~1.5倍相当株価の推移を示した図

平均PBRは9月20日大引けの時点で、1.34倍となっています。

2.海外投資家の売買動向・日銀のETF買い入れ

次に、投資部門別売買状況(投資主体別売買動向)から、海外投資家の売買動向について見ていきます。

海外投資家の売買代金の差引き金額を累計したものの推移を、日経平均株価とともに示したのが以下の図です。

24年9月までの海外投資家の売買動向と日経平均株価の推移を示した図

海外投資家の売買動向は、8月第1週と第2週は買い越しとなったものの、それ以降は、9月第2週まで4週連続での売り越しとなっています。

また、この海外投資家の累計売買金額と、日銀のETF買い入れ累計額を合計したものの推移を、日経平均株価とともに示したのが以下の図になります。

なお、日銀のETF買い入れは、24年3月の金融政策決定会合にて終了することが決定されており、実際にはそれ以前の23年11月以降から行われていません。

24年9月までの日銀ETF買い入れ累計額と海外投資家の累計売買金額との合計と日経平均株価の推移を示した図

この図から分かるように、両者を合計したものは、日経平均株価と非常に強い相関を認めています。

ちなみに、海外投資家から見た日経平均株価である、ドル建て日経平均株価は次のようになっています。

24年9月までのドル建て日経平均株価の推移を示した図

日経平均株価は調整の値動きとなっているものの、円高ドル安が進んだため、ドル建て日経平均はほぼ横ばいの値動きとなっています。

3.信用評価損益率

続いて、信用評価損益率を見ていきます。

以下の図は、信用評価損益率(2市場(東証と名証))と日経平均株価の推移を示したものです。

24年9月までの信用評価損益率と日経平均株価の推移を示した図

一般に、信用評価損益率では、「-3~0%以上で天井圏」、「-15~-20%以下で底値圏」という見方がされます。

信用評価損益率は、日本株急落のあった週の週末にあたる8月9日には、-14.16%を付け、直近の9月13日時点では、-11.35%となっています。

なお、信用評価損益率では信用買い建玉のみの損益を見ており、空売りの損益は反映されていません。

4.騰落レシオ

最後に、25日騰落レシオについても見ていきます。

騰落レシオの推移を日経平均株価とともに示したのが以下の図になります。

24年9月までの騰落レシオと日経平均株価の推移を示した図

騰落レシオは、9月20日時点で113.52となっています。

5.総括

日経平均株価は、8月5日に歴史的な急落を経験し、一時31000円台を付けた後は急速に値を戻し、足元では38000円近くでの推移となっています。

なお直近では、9月18日にFRB(米連邦準備制度理事会)が通常の倍となる0.5%の利下げを決定し、9月20日に日銀が政策金利を0.25%のまま据え置くことを決定していました。

FRBの利下げ幅に関しては、0.25%を予想する向きが多かったと思いますが、実際には0.5%となり、日米の金利差が想定より縮小したにも関わらず、ドル円相場で円高は進まず、むしろじわじわと円安方向への動きとなっています。

ここで、IMM通貨先物における投機筋の動向を見ると、8月の初めから直近に至るまで、ネットで円のロングポジションが少しずつ増加していました。

ドル円の需給はCFベースで見ると、デジタル赤字がインバウンドの黒字を上回るなど、円安圧力が続くことが予想され、加えて投機筋がネットで円ショートに転じれば、再び円安が加速することも考えられます。

そして、円安が進めば、日本株にとっては追い風となります。

とはいえ、27日から投開票が始まる自民党総裁選や、11月5日の米大統領選も控えており、しばらくは様子見の動きとなりそうです。

ちなみに、自民党総裁になる可能性が高い候補のうち、高市早苗氏が選ばれた場合には、短期的に日本株は上昇するのではないかと思われ、その際には強気で相場に臨みたいと考えています。あくまで短期的にですが。

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