読書録・書評

【読書録・書評】『会社員をしつつ、株で元手40万から月250万ちょい稼いでいる件』

1.本書の概要

ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。

まずは、本書の概要からです。

本書では、株式投資の様々な投資戦略・手法について書かれています。

なお、本書の章立ては、以下のようになっています。

  • 第1章:ちょっとアウトローでヤンチャな「イベント投資」
  • 第2章:依然として有効! 「東証一部昇格」狙いの中期投資
  • 第3章:ほぼ必勝! 「株主優待先回り」で絶対リターン
  • 第4章:「IPOプライマリー・セカンダリー」でゴリゴリ儲ける
  • 第5章:たった2ヶ月で爆益! 「TOB」狙い投資
  • 第6章:日はまた昇る! 「不祥事株」の復活で驚異的に稼ぐ
  • 第7章:価格に歪みが残っている「中小型株」は宝の山
  • 第8章:基本は順張り 暴落は逆張り! 「二刀流」で手堅く稼ぐ
  • 第9章:「ロング・ショート戦略」でストレスフリーに常勝
  • 第10章:「売買シミュレーション&データ収集」で神速投資
  • 第11章:最新の「行動経済学」で負けグセを治す!
  • ★おまけ:スワップ狙いの「FX両建て」で低リスクに高利回り

2.アノマリー投資①

第1章では、大きく2つのアノマリーについて触れられています。

まず1つ目は、「Sell in May, and go away; don’t come back until St Leger day」というものです。

こういった季節特性は日本の株式市場にも認められ、2000年~2017年における日経平均株価の動きを平均すると、11月~4月はパフォーマンスが良く、5月~10月のパフォーマンスが悪い傾向があったと言います。

次に、大納会・大発会にまつわるアノマリーについても書かれています。

それは、大納会は陰線で終わることが多く、大発会の初値は大納会の終値よりもプラスとなる傾向があるというものです。

また、大発会の初値が大納会の終値と比較してプラスだと、大発会は陽線で終わる傾向があり、逆に大発会の初値が大納会の終値と比較してマイナスだと、大発会は陰線で終わる傾向があるとも言います。

3.アノマリー投資②

第7章でも、いくつかのアノマリーについて触れられています。

例えば、「小型株効果」といって、企業規模が小さい企業の株価の騰落率が、大きい企業のパフォーマンスを相対的に上回り続けているという現象があります。

具体的に、中小型株の多い東証2部指数は、2000年以降の18年間で、TOPIXを平均して年6.8%上回っていたと言います。

また、小型株効果に関しては、次のような記載もあります。

大阪市立大学の『経営研究 第68巻 第4号』によると、小型株群が大型株のリターンをアウトパフォームするか否かは、時期によって変動しています。小型株効果が有効なのは、概ね株価上昇トレンドの時期となっています。大型株が小型株よりも有意にリターンが高い時期は、下落トレンドにおいて観察されています。

4.東証1部昇格狙い、IPOプライマリー・セカンダリー

第2章では、「東証一部昇格」狙いの中期投資について書かれており、本章の中では、v-com2さんの『昇格期待の優待バリュー株で1億稼ぐ!』という書籍が紹介されています。

この書籍に関しては、本ブログでも以下の記事でレビューしており、内容もほぼ重複しますので、よろしければご参照ください。

また、第4章の「IPOプライマリー・セカンダリー」についても、本書の中では紹介されていませんでしたが、過去に本ブログでレビューした以下の書籍の内容とほぼ重なりますので、こちらに関してもよろしければご参照ください。

5.株主優待先回り

第3章では、「株主優待先回り」について以下のように書かれています。

人気が高い株主優待を実施している企業の株価は、権利確定日に向けて数ヵ月前(2~4ヵ月)から緩やかに上昇していく傾向があります。

また、特に次のような銘柄は、上昇する傾向があると言います。

  • 年1回の人気優待銘柄で非貸借銘柄
  • 年2回・貸借でも大人気優待銘柄
  • 東証2部や新興市場の小型株・出来高が小さい銘柄

6.基本は順張り、「ロング・ショート戦略」

著者は、相場全体が大きく暴落するような局面では逆張りで拾うこともあるものの、基本的には順張りを行っており、以下のルールを設けていると言います。

  • 買うのはチャートが上昇トレンドの銘柄が原則
  • 下落途中には買わない。押し目買いは反発してから
  • ナンピンは確度Highの自信がある時のみ
  • 原則マイナス10%でロスカット。それ以外でも買った根拠が崩れたらロスカット
  • 一度売った銘柄を高値で買い戻すのを躊躇しない
  • 短期売買で評価損が出た銘柄を中長期投資に変えない

また、日常的に「ロング・ショート戦略」も実践していると言います。

これは一般的に、株式・ETF・先物などの買いと、信用取引・先物取引などの売りを組み合わせる投資手法のことで、同一業種内で割安株・割高株をペアにして売買したりするものです。

7.総括

本書は、一つの投資戦略・手法を掘り下げてというものではなく、様々な投資戦略・手法について書かれた、総花的な内容となっています。

著者の見識の深さが伝わってくるような内容ではありますが、投資初心者にとってはやや難しい部分があるかもしれません。

また、財務諸表や株価指標の分析といったことに関してはほとんど書かれていませんので、本書の手法を実践するにしても、そういったことは自分で学ぶ必要があります。

本書の内容で興味を持った部分を、関連書籍等で深掘りしていく必要があると言えるでしょう。

 

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