読書録・書評

【読書録・書評】『金融市場はカジノ ——ボックス理論の神髄と相場で勝つ方法』

1.本書の概要

ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。

まずは、本書の概要からです。

本書では、『私は株で200万ドル儲けた』で有名なニコラス・ダーバス氏によって、証券業界の本質やボックス理論の売買法など、同氏の投資哲学や手法が体系的に書かれています。

なお、本書の章立ては、次のようになっています。

  • 第1章 カジノ
  • 第2章 ディーラー
  • 第3章 クルーピエ
  • 第4章 予想屋
  • 第5章 自分の身を守る―リスクヘッジ
  • 第6章 カジノでのプレー―買いのゲーム
  • 第7章 カジノでのプレー―売りゲーム
  • 第8章 利益を計算する

2.予想利益が魅力的なものを選ぶ

著者は、株価が上げているうちは決して持ち株を売らず、下げている持ち株は決して持ち続けないと言い、株価が大きく上昇してから乗っても遅くないと書いています。

株式相場では「安く買って、高く売る」のが自明の理とされていますが、著者は株価が上がっていると分かったときに買うと言うのです。

また、先の読めないウォール街で長く投資をするほど、株のいわゆるファンダメンタルズを信頼できなくなったとあります。

ただ、会社や業界に関するすべての基本情報が株式相場で役に立たないとは思っていなかったとも言います。

例えば、出来高を正確に判断するために欠かせない情報として、企業の発行済株式数が挙げられています。

そして、いわゆる成長株が活発にトレードされて、それで大きな利益が得られるのは、成長そのものよりもむしろ成長に対する期待が大きいからだと述べられています。

そのため、利益が最も高かった会社というよりも、今後の利益上昇が最も見込まれる会社の株が上昇する、と考えるのが筋が通っているはずだと言うのです。

つまり、他の要素が等しければ、現在か今後の利益に最も魅力のあるものが第一候補になるということです。

3.ボックスの天井と底を確定する

著者は、何百もの個別銘柄の日足や週足の値動きを研究した結果、株価の上昇でも下落でも、一直線に動く銘柄はほとんどなく、様々な水準で強い抵抗に遭うことが分かったと言います。

さらに、株価の上昇は、一つのボックスからもう一つのボックスへという、全て似た動きで成り立っていたと言うのです。

これは一定期間、はっきりと識別できる範囲で変動したあと上にブレイクして、次のボックス内でまた一定期間は上下に変動するということです。

この新たなボックスの天井と底に関しては、次のように書かれています。

  • 株価が3日連続でそれまでの高値に達することができなかったとき、ボックスの天井が決まる。
  • 下げても、3日連続でその安値を割らないところを観察することで、新たな底を確定することができた。

4.ボックスシステムの「買い」

著者のボックスシステムにおける買いは、天井をブレイクする水準よりもわずかに上に、買いの逆指値注文を置くことによって行われます。

また、銘柄の選別に当たっては、その年の高値と安値(第1四半期については前年の数字)を見て、高値が安値の少なくとも2倍以上の銘柄だけをチェックします。

続いて、それらの銘柄の株価が史上最高値近くになければ、どんなに魅力的に見えても選ぶことはなかったと言います。

さらに、一つの手掛かりとして出来高も確かめたとのことで、次のように言及しています。

一般的に、新値水準に上げようとしている銘柄は出来高が増えていく、という点に私は注目した。それはトレーダーの関心が高まっていることを示すからだ。

私は出来高が比較的落ち着いていたあとに大幅に増えた銘柄を探した。

ちなみに著者は、相場が「揉み合い」の最中でも儲けることができたものの、その手法が最も機能するのは、強い上昇相場で非常に大きな機会をつかんだときであったと述べています。

5.ボックスシステムの「売り」

当然ですが、相場は急騰するだけでなく、急落することもあります。

その急落相場に巻き込まれないためには、株価が下のボックスに落ちそうな兆しが見えた瞬間に、どんな銘柄でも売れるようにしておく必要があると言います。

その瞬間というのは、ボックスの底を割ったところであり、ボックスの範囲を慎重に判断したあと、ボックスのすぐ下にストップロス(損切りの逆指値)注文を置くとのことです。

これだけだと分かりづらいため、本書では具体例を挙げて説明されていますが、その内容を要約すると次のようなものになります。

  • 株価が【35~40】ドルのボックス内にあり、40ドルは史上最高値でもあるとする。
  • 40.125ドルに買いの逆指値注文を置くと同時に、39.875ドルにストップロス注文を置く。
  • 株価が新たに上のボックスに突入したときには、ストップロス注文はそのままの水準にしておいて、株価が新しいボックスの天井と底を構築するのを待つ。
  • 新しいボックスの底がはっきりと定まれば、ストップロス注文を新しいボックスの底の0.125ドル下まで引き上げる。

6.総括

著書は、システムはそれを使う人に合ったものでなければならず、ある性格の人に役立つことでも、別の性格の人には全く役に立たないと述べています。

また、著者ですらも、自身のボックス理論に従わないときには、必ず失敗したとも言います。

やはり、自分に合った投資戦略というのは、実践の中で失敗を積み重ねながら作り上げていくものだということなのでしょう。

さて、本書の著者であるニコラス・ダーバス氏の代表作といえば、何といっても前回レビューした『私は株で200万ドル儲けた』でしょう。(リンク先は当ブログのレビュー記事になります。)

その『私は株で200万ドル儲けた』には、自伝的な内容とともに、ボックス理論の成り立ちについて書かれていました。

一方、本書では証券業界の本質を暴くとともに、ボックス理論を買いと売りに分けて解説するなど、著者の投資哲学や手法が体系的に書かれています。

そのため、前回のレビューの「総括」でも書きましたが、『私は株で200万ドル儲けた』を「文庫版」で読まれた方は、本書も併せてお読みになると良いかもしれません。

ただ、ボックス理論についての内容は、前著とそこまで大きく変わるものではないため、その点に関しては、この記事のレビューだけでも十分ではないかと思われます。

 

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