読書録・書評

【読書録・書評】『低位株で儲ける26のルール』

ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。

  • 低位株で儲ける26のルール
  • 著者:旭 洋子
  • 出版日:2007/11/1
  • お役立ち度 :
  • 難易度   :
  • マニアック度:
  • 分類:株式投資、低位株

1.書籍の概要

まずは、本書の概要からです。

本書は、林輝太郎氏を師と仰ぐ、旭洋子氏による4冊目の著書であり、豊富な図表による解説がなされた実践編とも言える内容となっています。

なお、1~3冊目に関しても、以下の記事でレビューしていますので、よろしければご参照ください。

そして、本書の章立ては、以下のようになっています。

  • 第1章:銘柄の選び方
  • 第2章:銘柄の買い方
  • 第3章:銘柄の売り方
  • 第4章:買い方・売り方の具体例

ここでは、本書の中で気になった部分や参考になった部分について、一部を抜粋しながらレビューしていきたいと思います。

2.大底の確認(罫線からの銘柄選択)

本書に書かれている低位株投資では、罫線およびデータ・スリップ(会社情報を時系列に綴ったもの)から、銘柄選択をしていきます。

まず、罫線というのは、10年以上にわたる月足グラフのことであり、この罫線から大底を確認することから始まります。

そして、大底の型としては、W字型やM字型、U字型、V字型、鍋底型、横這い型などの底型が、実際のチャートを例に挙げて示されています。

これらの底型を踏まえた上で、罫線上で次のようなルールを満たした銘柄を選択していくのです。

  • 天井から三段下げ:天井から、少なくとも4、5年(もしくはそれ以上)下げ、三段(もしくはそれ以上)下げ完了の銘柄を選ぶ。
  • 二番底形成
  • 下値での六連続陰線
  • 三角形
  • 三角形先端陰線下部の十字
  • 二番底陰線下部の十字
  • 底練りの五連続陰線
  • 兆し陽線
  • 底練りの中で、4・5本一気に上抜く陽線
  • 底練りW型、M字型の切り返し
  • 底値からの長大陽線:底練りの中の保合い、または安値からの長大陽線は、その後の3分の2押しで買い。

3.データ・スリップからの銘柄選択

次に、データ・スリップから銘柄を選択していく基準としては、以下のようなものが挙げられています。

  • 一株純資産割れ
  • 一株純資産の増加
  • リストラ(人員整理)および資産売却
  • 経常利益30%以上の増加予想:30%以上もの、大幅な増益は好材料ですから間違いなく株価は上昇しますが、ここで慌てて買うのではありません。注意して見守るのです。
  • 赤字から黒字転換予想:注意して見守り、真偽のほどを確かめた上で他のルールとの適合も考え、場帖を記入しながら買っていくのです。
  • 五期連続無配および債務超過:チャートが良くても避ける。

4.銘柄の買い方

続いて、銘柄の買い方や売り方についても言及されています。

まず、銘柄の買うときの基本的なルールとして、次のようなことが書かれています。

  • 買う時は分割:買う時は二分割またはそれ以上の分割で。下値ほど厚く買う。
  • ボーダーライン:ボーダーライン(切り上がり三角形の上辺)を超えたら5円上抜きを見て買い。
  • 上離れ三陽線に食い込む陰線:上離れ三陽線のあと3本目の陽線の半分以下に陰線が食い込んだら、上げ幅の半分下がるからそれを見て買い。
  • プラットホーム:上げ途上のプラットホーム(ボックスの上辺)を抜いたら5円上抜きで買い。(陽線3本を見て売り手仕舞い、再び下げてきた時にプラットホームの20円上で買い。)

5.銘柄の売り方

また、銘柄を売るときの基本的なルールに関しては以下の通りです。

  • 一段上げの値幅:一段上げは約100円幅。しかし70円~80円で利食いする。
  • 5%以上の出来高は利食い:発行株数の5%以上の出来高を見せたら4日目に利食い。
  • 陰線の両抜き:一段上げでも二段上げでも陰線の両抜きが出たら(出そうでも)いったん利食い。
  • 新高値をつけたとき:10年またはそれ以前の高値でも、それを抜いて新高値をつけたときはいったん売り、利食いしたあと買い直すとき、または買い増しするときは出来高が細ったときにする。
  • 三段上げは天井:三段上げは天井、三段上げで売り、三段目の5連続陽線は売り。

6.総括

前回の記事でご紹介した、旭氏の前著『やさしい低位株投資』を基礎編・導入編とするのであれば、本書は実践編という位置付けになるでしょう。

そして、本書の特徴は何と言っても、その豊富なグラフや図表になります。

ここで取り上げてきた項目に関して、言葉だけでは分かりづらい部分もあったかと思われますが、本書では豊富な図表による解説がなされているのです。

特に、罫線から大底を確認して、上げの兆しをつかんでいくという感覚を、本書を通して多少なりとも理解することができるはずです。

長期の月足グラフによる様々な底型というのを、ここまで多く載せているというのは類書では見られず、是非とも参考にしていただきたい一冊だと言えます。

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