読書録・書評

【読書録・書評】『低位株成功法―こうすればやさしく儲かる』

1.書籍の概要

ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。

まずは、本書の概要からです。

本書は、林輝太郎氏を師と仰ぐ、旭洋子氏による著書になります。

旭氏も林氏と同様に何冊かの著書を出していますが、本書は旭氏の処女作です。

なお、本書の章立ては、以下のようになっています。

  • 1章:株を動かすもの
  • 2章:株式投資は完全装備で
  • 3章:特訓グループ誕生
  • 4章:絶対に損をしない百発百中の株
  • 5章:私の体験した成功するためのアドバイス

ここでは、本書の中で気になった部分や参考になった部分について、一部を抜粋しながらレビューしていきたいと思います。

2.三種の神器を持つ

第2章では、株式投資を実践する前の準備についての内容です。

それは、三種の神器を持つということで、以下のようなものを用意する必要があると書かれています。

  • 資料
    • 月足グラフ:過去十年間の月足グラフを手書きで描く(東証上場第一部全銘柄)
    • データ・スリップ:個々の会社の会社情報を発行ごとに貼りつけたもの
    • 日本経済新聞
  • 場帖:「相場」の日々の値動きを書き記しながら、強弱を敏感に感じ取り、売買の決め手にする大切なノートのこと
  • 玉帖:株の出納簿

また、これらの他にも、値板や整理棚についても触れられています。

値板というのは、自分の手持ちの銘柄のメモ、とでもいうべきもので、各銘柄の保有株数や売買価格を記したものです。

3.売買ルール

第3章では著者が参加していた「特訓グループ」の厳しい規約について書かれています。

それは具体的には、次のようなものなどです。

  • 余裕資金として、資金の二割以上を必ず残しておく。
  • 注文は、必ず8時30分頃に「その日の寄付き成行き」で出すこと。指値は絶対にしない。
  • 買いは最初に千株、後は分割買い。売りは一括売り。
  • 信用取引は絶対に禁止。

4.株式の分類

本書は、低位株投資に関する内容ですが、低位株と対比して、値嵩株や中位株についても簡単に言及されています。

まず、値嵩株については以下のように書かれています。

これは、いうまでもなく、会社の業績も良く、材料も豊富で、優良株や、流行株に多く、人気も抜群といった高くて当たり前の、だからこそ高い値段がついているわけです。

しかし、値嵩株を買うには相当の資金量が必要です。そのうえ、倍の値段には、なかなかなりません。そして、何かの弾みで、いつ大暴落に見舞われるかわからないというように、絶えず危険がついてまわります。

次に、中位株については以下のように書かれています。

要するに株価が中位にあり、業績や人気によっては上昇の可能性もありますが、下降することも多くあります。

そして、低位株については、次の通りです。

値打ちはあるのに人気がない。業績が芳しくないとかの理由で低位におかれている株のことです。

万年、寝たきりや倒産では困るのですが、しかし大抵の株は、やがては目を覚まし、稼働し始めるものです。業績の好転とか、資産売却とかいうように会社は当然、それなりの努力はするはずですから、いつかは労が報われる時が来ることでしょう。

5.低位株のメリット

続いて、低位株のメリットについても書かれています。

それは、低位株を買うのに資金が少なくて済むということや、騰がり出すと速いこと、十分に下げきった株なので下値の不安が小さいということです。

とはいえ、以下のような注意点もあります。

それなりの理由があって低位にあるわけですから、倒産してしまうような会社の株を選んではそれこそ大変です。

また、いずれは上昇すると分かっていても、あまり早く買い過ぎると、長い間資金を寝かせることになります。充分に下げきって(二番底、三番底)すっかり人気が離散した株、いよいよ上昇に転じる兆しの見える株を選ばなければいけません。

そこで、業績の変化・推移を見るとのことで、次のように書かれています。

経常利益、一株利益が増している株、人員整理や資産売却のある株は好材料ですし、株主の動向等も重要なポイントになります。

6.タイミングを見極める

これは低位株に限りませんが、上述したように、あまり早く買い過ぎると、長い間資金を寝かせてしまうことになりかねません。

そのため、「充分に下げきって(二番底、三番底)、すっかり人気が離散した株、いよいよ上昇に転じる兆しの見える株を選ばなければいけません」とあります。

そして、第5章では以下のように、これに関して参考になることが書かれています。

過去の足取りを調べてみますと、天井から下降に向かい三番底をつけるまでに4~5年かかっている銘柄が非常に多いのです。そして、上昇に向かって三番天井をつけるまでに、2~3年かかっている銘柄が多いということも事実なのです。そして三番天井をつけると、必ず下に向かっています。

7.総括

本書は、株式投資の初心者でも分かるように、とても平易に書かれています。

所々に出てくる例え話も、内容を理解する上で役に立つ、分かりやすいものでした。

何より、本書の最大の特徴は、株式投資を行う上で必須とされ、林輝太郎氏の書籍でも再三にわたり述べられている、グラフや場帖、玉帖などについて、図解入りで大変詳しく書かれていることだと言えます。

ただ、内容としては初心者向けのものであり、林氏の書籍を既に読んだことのある人であれば、敢えて本書を購入してまで読む必要性というのは低いでしょう。

【読書録・書評】『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』前のページ

【読書録・書評】『これからの低位株投資』次のページ

関連記事

  1. 読書録・書評

    【読書録・書評】『世紀の相場師ジェシー・リバモア』

    この記事では、『世紀の相場師ジェシー・リバモア』という書籍のレビューを…

  2. 読書録・書評

    【読書録・書評】『伝説のファンドマネージャーが実践する 株の絶対法則』

    この記事では、『伝説のファンドマネージャーが実践する 株の絶対法則』と…

  3. 読書録・書評

    【読書録・書評】『amazon 世界最先端の戦略がわかる』

    この記事では、『amazon 世界最先端の戦略がわかる』という書籍のレ…

  4. 読書録・書評

    【読書録・書評】『金持ち父さんのパワー投資術 お金を加速させて金持ちになる』

    この記事では、『金持ち父さんのパワー投資術 お金を加速させて金持ちにな…

  5. 読書録・書評

    【読書録・書評】『カリスマ投資家たちの株式投資術』

    この記事では、『カリスマ投資家たちの株式投資術』という書籍のレビューを…

電子書籍(3冊全て、Amazonランキング1位獲得)

「マーケットの魔術師」ならぬ「マーケットの詐欺師」

精神科医が暴く金融業界の裏側

 

勝者の心構え

精神科医が看破する投資の本質

 

 

 

この心理的罠からあなたは逃れられるか

精神科医が洞察する投資家心理

 

  1. 相場のデータ・指標

    【2023年12月】「ドル円相場」のデータ分析(日米10年国債利回り・購買力平価…
  2. 相場のデータ・指標

    「米国長期金利」のデータ分析(2020.3)(日本と中国の米国債保有額・FRB保…
  3. 株式取引履歴

    【2023年11月末】保有株式(日本株・外国株)と平均取得単価
  4. 株式取引履歴

    【2023年12月】株式取引履歴(日本株・外国株)
  5. 相場のデータ・指標

    【2023年9月】「ドル円相場」のデータ分析(日米10年国債利回り・購買力平価・…
PAGE TOP