読書録・書評

【読書録・書評】『カリスマ投資家たちの株式投資術』

ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。

1.書籍の概要

まずは、本書の概要からです。

本書では、12人のカリスマ投資家たちへのインタビュー内容が、1人当たり15ページ前後で簡潔にまとめられています。

なお、本書の章立ては、以下のようになっています。

  • PART01:proselector(プロ)さん…情報分析を徹底化して利益アップ
  • PART02:さっかくさん…プラスサムゲームとしての中長期投資
  • PART03:かぶ1000さん…大きなリスクを背負わないバリュー株投資法
  • PART04:hinaさん…チャートを指標にする逆張り投資術
  • PART05:坂本彰さん…暴落時にこそチャンスはある
  • PART06:ともさん…バリュー株と優待株で暮らしを楽にする投資術
  • PART07:楽々さん…ほったらかしても稼げる投資術
  • PART08:ゆずさん…ゲーム株に集中する業界を絞った投資法
  • PART09:たぱぞうさん…アメリカ市場、ETFでの長期投資
  • PART10:テスタさん…ルールを意識しなくなるのは自分の成長の証
  • PART11:むらやんさん…取引の時間を絞って利益を得る
  • PART12:ヤーマンさん…新興銘柄で短期的利益を狙う

ここでは、本書の中で気になった部分や参考になった部分について、一部を抜粋しながらレビューしていきたいと思います。

2.ネットネット株

かぶ1000さんのスタイルは、バリュー株投資で、中でもネットネット株に投資しているといいます。

ネットネット株というのは、ウォーレン・バフェットの師匠に当たる人物である、ベンジャミン・グレアムが提唱した投資指標で、以下の条件を満たす株のことです。

正味流動資産 × 2/3 > 時価総額

この式にある「正味流動資産」というのは、基本的には流動資産から負債総額を引いたもののことですが、人によってその定義にはバリエーションがあります。

参考までにですが、グレアムは正味流動資産を次のように定義しています。

正味流動資産=現金及び預金+受取手形及び売掛金+有価証券+投資有価証券-(貸倒引当金+負債合計)

3.含み資産株

また、かぶ1000さんは、バリュー株を3つに分類しています。

1つ目は、上述したネットネット株で、2つ目は、資産を有価証券で持っている会社の株、3つ目は、資産バリュー株だと書いています。

なお、「含み資産株」という言葉がありますが、これは有価証券や不動産などの保有資産に多くの含み益を抱えている企業の株式のことをいいます。

ですので、かぶ1000さんが挙げている2つ目と3つ目に関しては、この「含み資産株」という概念に近いでしょう。

そして、2つ目の資産を有価証券で持っている会社の株の例として、花王(4452)の株を69万株保有している昭栄薬品(3537)が挙げられています。

また、3つ目の資産バリュー株としては、土地や不動産などの含み資産を考慮すると書かれています。

ただし、株価というのは、その企業の将来的な利益成長期待によって動く面が強くあります。

そのため、株価がただ割安というだけでは、数年以上もの長きにわたって割安なまま放置されてしまう可能性があるため、ある程度はその企業の成長性にも目を向けたいところです。

4.小売業の成長目安

坂本彰さんは、初心者が売買する株式として、小売やサービス業の株式をおすすめしています。

これらの業種は、もっと複雑で専門的な業種よりも成長戦略や業績予想がしやすいためです。

そして、小売業の成長可能性について、以下のように書かれています。

小売業では、全国に1000店舗を置くまでが成長のひとつの区切りといえます。もし100店舗に満たない会社があったとすれば、それは1000店舗規模の会社に拡大する可能性があり、株価が10倍以上になる可能性を秘めているのです。

また、坂本彰さんは基本的に株を売ることがあまりないそうですが、次のような場合には売ることもあるそうです。

それは、2期連続で減益、企業の不祥事などで損切りし、PERが30倍以上と割高になったときなどは保有株の一部を売るとのことです。

5.バリュー株と優待株

ともさんはバリュー株と優待株を中心に投資していて、買うタイミングの目安としては、PERが20倍以内、PBR(株価純資産倍率)が1倍以下、そして配当利回りが2.5%以上の株と言っています。

また、売るタイミングの基準としては、配当利回りが1%以下になったら売りに出すことを検討し始めるとのことです。

そして、基本的に損切りはしないというスタイルではあつものの、損切りをするときは、株主優待廃止などがあってなおかつ損がそこまで大きくないときで、損が大きければ値上がりを待つとも書かれています。

なお、楽々さんも、優待株は下落相場に強く、優待拡充で予想外の株価上昇も期待できるとのことで、優待株投資を勧めています。

たた、優待株投資は既に広く知れ渡った投資法となっているのも事実で、良い優待内容の銘柄は割高になっているようにも見受けられます。

ですので、人の行く裏に道あり花の山ではありませんが、私自身は優待株かどうかはあまり気にせずに投資を行っています。

6.総括

本書は、特に何も触れられたりはしていませんが、前回レビューした、以下の書籍の改訂版のような位置付けだといえます。

本書の方が、先に出版されており、登場する投資家も3分の2が入れ替わっています。

ただ、何と言っても大きな違いは、本書がインタビュアー(ライター)によって書かれているという点です。

そのためか、一般論が多く、薄い内容となってしまっていることは否めません。

そればかりか、ライターによる無責任かついい加減とも余計とも言えるような記述も目立ち、読んでいてフラストレーションすら感じました。

少なくとも本書に関しては、一読する必要性は限りなく低いのではないかと思われます。

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