相場のデータ・指標

「WTI原油」のデータ分析(2019.3)(CFTC建玉明細(投機筋)、ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)、原油在庫統計(EIA・API))

ここでは、直近(2018年12月)の「WTI原油」について、CFTC建玉明細の投機筋ポジション、ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)、原油在庫統計(EIA・API)といった観点から見ていきたいと思います。

なお、各指標に関しては、以下の記事でそれぞれ詳しく解説していますので、よろしければご参照ください。

1.WTI原油とCFTC建玉明細(投機筋)

まず、CFTC建玉明細から投機筋のネットポジションの長期推移を、WTI原油先物価格とともに示したのが以下の図になります。

WTI原油価格と投機筋ネットポジションの長期推移を示した図(2019.3)

また、この図から直近の推移だけを取り出して示したのが、以下の図です。

WTI原油価格と投機筋ネットポジションの直近の推移を示した図(2019.3)

この図からは、2018年後半にかけて大幅な売り越し傾向となっていた投機筋のネットポジションが、小康状態となっていることが分かります。

2.WTI原油とブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)

次に、市場が推測する期待インフレ率を示す指標である、ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)についてです。

このBEIの推移を、WTI原油先物価格とともに示したのが以下の図になります。

WTI原油価格とブレーク・イーブン・インフレ率の推移を示した図(2019.3)

また、この図から直近の推移だけを取り出して示したのが、以下の図です。

WTI原油価格とブレーク・イーブン・インフレ率の直近の推移を示した図(2019.3)

これらの図から、特に直近の推移に関しては、WTI原油先物価格とBEIとに強い相関性があることが見て取れます。

3.WTI原油先物価格と原油在庫統計(EIA・API)

最後に、原油在庫統計についてです。

まず、米国エネルギー情報局(EIA)の原油在庫統計の推移を、WTI原油先物価格とともに示したのが以下の図になります。(見やすくするために、右軸の原油在庫統計のスケールは反転しています。)

WTI原油価格とEIAの原油在庫統計の推移を示した図(2019.3)

続いて、米国石油協会(API)の原油在庫統計の推移を、WTI原油先物価格とともに示したのが以下の図です。(見やすくするために、右軸の原油在庫統計のスケールは反転しています。)

WTI原油価格とAPIの原油在庫統計の推移を示した図(2019.3)

これらの図からは、EIAとAPIの在庫統計がともに、2019年に入ってから微増傾向を示しているにもかかわらず、WTI原油先物価格は上昇傾向となっていることが分かります。

また、在庫統計は、原油先物価格の先行指標となるような傾向も見て取れるため、在庫統計が2019年に入ってから微増傾向となっている後を追って、原油価格が今後、反落していく可能性もありそうです。

4.総括

WTI原油先物価格は、2018年10月初めに75ドル強まで上昇し、その後12月末にかけて40ドル台前半まで下落していました。

そこから、直近では60ドル弱と半値戻しを達成したことになります。

前回の2018年12月に原油価格の上昇を予測してはいましたが、正直、ここまで早いペースで戻してくるとは思っていませんでした。

石油輸出国機構(OPEC)やロシアの協調減産があるとはいえ、それ以上にアメリカのシェールオイル増産や、米中貿易摩擦による世界的な景気減速(→原油需要の低下)の影響が大きいと思われたためです。

そして、今後の原油価格は、世界的な景気の先行きにかかっていると言えるでしょう。

また、テクニカル的な観点からすると、現在の60ドル前後というのは、2014年央の100ドル超から20ドル台にまで下落していく過程での戻り高値の水準に当たります。

そのため現在は、この水準を超えて再び70ドルを目指していくのか、この水準に跳ね返されて反落していくのかの分かれ目にあると思われます。

個人的には、米中貿易摩擦が長引きそうなことから、どちらかとうと後者の展開を予測しています。

特に、変動幅を縮小しながら揉み合う「三角持ち合い」のような展開となるのではないかと考えています。

さらに、その三角持ち合いの後に、上放れとなるか下放れとなるかに関しては、前回(以下の記事)の総括に書いたような理由からも、上放れとなっていくのではないでしょうか。

 

関連記事

  1. 相場のデータ・指標

    「米国長期金利」のデータ分析(H30.9)(日本と中国の米国債保有額・FRB保有債券残高)

    この記事では、直近の「米国長期金利」について、日本と中国の米国債保有額…

  2. 相場のデータ・指標

    2種の「ブルベア指数」。一方は無用だが、もう一方は有用か!?

    この記事では、2種類のブルベア指数について、その比率などを米国の代表的…

  3. 相場のデータ・指標

    「米国長期金利」のデータ分析(2018.12)(日本と中国の米国債保有額・FRB保有債券残高)

    この記事では、直近の「米国長期金利」について、日本と中国の米国債保有額…

  4. 相場のデータ・指標

    信用評価損益率で相場の底値圏を探る!

    この記事では、信用取引や信用評価損益率について説明しており、信用評価損…

  5. 相場のデータ・指標

    東証REIT指数について考える!

    この記事では、東証REIT指数について、NAV倍率や分配金利回り、東証…

  6. 相場のデータ・指標

    「米国株(S&P 500)」のデータ分析(2018.12)(PER・CAPEレシオ・ブルベ…

    この記事では、直近の「米国株(S&P 500)」について、PER・CA…

書籍を出版しました!

電子書籍(3冊全て、Amazonランキング1位獲得)

「マーケットの魔術師」ならぬ「マーケットの詐欺師」

精神科医が暴く金融業界の裏側

 

勝者の心構え

精神科医が看破する投資の本質

 

 

 

この心理的罠からあなたは逃れられるか

精神科医が洞察する投資家心理

 

  1. 読書録・書評

    【読書録・書評】『インベスターZ』(全21巻)の第16~21巻のレビュー
  2. 各種金融商品・制度

    「銀価格」を世界の需要と供給、特に工業用需要から考える!
  3. 投資戦略・手法・市場展望

    原油相場を取り巻く世界情勢
  4. 相場のデータ・指標

    「日経平均株価」のデータ分析(2019.3)(PER・PBR、海外投資家売買動向…
  5. 相場のデータ・指標

    2種の「ブルベア指数」。一方は無用だが、もう一方は有用か!?
PAGE TOP