1.本書の概要
ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。
- スピード出世銘柄を見逃さずにキャッチする 新高値ブレイクの成長株投資法 ――10倍株との出合い方を学ぶ
- 著者:ふりーパパ、DUKE。
- 出版日:2018/11/18
- お役立ち度 :
- 難易度 :
- マニアック度:
- 分類:株式投資、個別株、成長株
まずは、本書の概要からです。
本書では、成長株投資について、DUKE。氏とふりーパパ氏の2部に分けて、書かれています。
なお、本書の章立ては、以下のようになっています。
- 第1部:DUKE。の過去の大化け株分析
- 第1章:過去の事例から10倍株の投資戦略を考える
- 第2章:テーマ別に見るアベノミクス相場のテンバガー銘柄
- 第2部 ふりーパパが教える、高確率で大きく伸びる成長株の発掘法
- 序章:投資は人生で不可欠なものに
- 第1章:成長株投資を学ぶ準備について
- 第2章:投資環境の変動と見極め方
- 第3章:成長株投資の銘柄選択法
- 第4章:成長株のボックス売買法
- 第5章:個人投資家が投資家として知るべきこと
2.10倍株の分析
第1部では、DUKE。氏による、過去の大化け株の分析が行われています。
それによると、2012年11月15日~2017年12月31日までの5年間に、10倍株となった銘柄は237銘柄あり、業種別に見ると、以下の3つで半数以上を占めていたとのことです。
- 情報・通信業:25.3%
- サービス業 :19.0%
- 小売業 :8.0%
また、10倍を達成するのに要した業種別の平均日数では、「情報・通信業」は4位で、770日(2.1年)となっています。
さらに、株価の最大上昇率の業種別平均でも、「情報・通信業」は5位で、20.0倍となっています。
そして、時価総額についても触れられており、全237銘柄のうち、ほとんどが200億円未満で、特に10億円以上50億円未満が125銘柄(全体の52.7%)であったと言います。
以上のことから、数年で10倍になるような大化け株を効率的につかむためには、特に以下の2年を踏まえて投資先を狙うと良いと結論づけられています。
- 時価総額は、200億円未満の小型株
- 業種は、情報・通信業、サービス業、小売業
3.成長株の定義・目標株価
第2部では、ふりーパパ氏による成長株の発掘法について書かれています。
同氏の成長株投資法は、ウィリアム・オニール氏の成長株投資を軸にしたボックス売買法を使った投資法(テクノファンダメンタル投資法)であると言います。
ここで、成長株というのは、オニール氏の定義によると、「基本的に経常利益の増加率が年率20%以上と想定される会社」のことを指します。
そのため、「最低でも年率20%以上経常利益が増えるような銘柄を選んで投資をする」とのことです。
そして、この経常利益を用いて、目標株価を算出していきます。
その際に、成長株を対象とするアナリストの分析方法では、3~5年先の経常利益を想定して、そこから適正(ないしは目標)株価を割り出すという考え方が基本だと言います。
これを踏まえて、「予想経常利益の何倍(経常利益倍率)までが適正な時価総額なのか」を想定していきます。
この経常利益倍率については、日経平均の予想PERなどを参考にして考えるとのことですが、本書では「20倍」が採用されており、目標株価の計算式は以下のようになります。
目標株価=来期予想経常利益×経常利益倍率(20倍)÷発行済み株数
これにより算出された目標株価と現在の株価とを比較して、目標株価まで到達しておらず、株価が伸びる余地のある銘柄に投資していくことになります。
4.新高値銘柄の探し方・売買法
なお、現在の株価ということに関しては、「新高値」、正確には「年初来高値銘柄」から投資対象の銘柄を発掘しているとのことです。
この新高値銘柄の抽出には、ケンミレのサイトを使い、そこから出来高の多いもの(100単位以上)を中心に見ていくと言います。
また、新高値を付けた日に、大きく出来高が増えているかどうかや、新高値を付けた銘柄が日経平均の値動きよりも強いかどうかもチェックします。
これらのチェックが終わってから、上述した業績面(ファンダメンタル面)のチェックに入るということです。
そして、売買法については分割売買で、ボックス圏を上抜けていく度に買い増しを行い、ボックス圏を下抜けした時点で売却をします。
このボックス圏の判断については、PFチャート(ポイント&フィギュアチャート)を使うと見やすくなるということも書かれています。
ちなみに、大相場の期間は概ね1年、長いものでも3年程度とのことです。
5.総括
冒頭にも書いたように、本書はDUKE。氏とふりーパパ氏による共著となっています。
DUKE。氏は、前回にレビューした、『1勝4敗でもしっかり儲ける新高値ブレイク投資術』の中で、その投資法について詳しく書いています。
そのため本書では、DUKE。氏による投資手法についてはの言及はほとんどなく、10倍株について様々な角度から分析し、考察した内容となっています。
そして、ふりーパパ氏が、成長株投資の手法を第2部で詳しく書いています。
なお、DUKE。氏は、ふりーパパ氏が主催する投資塾の生徒であったということもあって、やはり両者の手法には似通ったものがあります。
とはいえ本書には、ここにも書いたような、新高値銘柄の探し方や、目標株価の考え方など、異なる内容のものもあり、成長株投資を行う方にとっては、間違いなく参考になる書籍だと言えます。
最後になりますが、本ブログでは、DUKE。氏とふりーパパ氏それぞれの著書についても、以下のようにレビューしていますので、よろしければご参照ください。