読書録・書評

【読書録・書評】『株は新高値で買いなさい!今日から始める成長株投資』

ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。

1.本書の概要

まずは、本書の概要からです。

本書では、純資産5億円を築いたという個人投資家のふりーパパ氏によって、その投資手法(成長株投資)の全体像が明かされています。

なお、本書の章立ては、以下のようになっています。

  • 第1章 成長株投資を始めよう!
  • 第2章 成長企業と成長株の見つけ方
  • 第3章 株式市場を読む力を身につける
  • 第4章 成長株売買法

2.成長株とは

第1章では、成長株の定義などについて、書かれています。

これについて、成長株投資の権威であるウィリアム・オニール氏は、「売上高が年間20%以上、経常利益も年間20%以上の伸びを示している会社が、成長株の投資対象になる」と言及しています。

ただ、これは過去20年間平均のインフレ率(物価上昇率)が3%程度のアメリカで株式投資を行う場合の話で、日本のインフレ率は、アメリカよりもずっと低くなっています。

そのため著者は、「売上高が年間15%以上、経常利益も年間15%以上の会社」を対象にして、成長株投資を行ってきたと言います。

また、成長株を発掘するために一番効率的な方法は「新高値銘柄を買う」ことで、成長株投資では、リーダー株(主導株)を見つけて投資することがとても重要だと述べています。

つまり、その業界で最も売上や利益を伸ばしている一番手、ないしは二番手の会社の投資をすることが非常に大切だと言うのです。

さらに第4章では、著者が考える成長株投資とは、「最低でも年間で株価が50%以上、場合によっては2~5倍になる可能性を持った株に投資する」というもので、小型株や中型株が中心になってくると書かれています。

3.成長株の売買法

第4章では、成長株の売買法について書かれています。

まず、成長株を購入する際には、資金のすべてを最初から注ぎ込まずに分割売買で、「順張りの買い乗せ売買」を行います。

具体的には、ボックス圏を見ながら、株の買い増しを行う「ボックス売買法」を用いているとのことです。

この「ボックス売買法」は1960年代にニコラス・ダーバス氏という投資家が用いて、大成功を収めた手法になります。

ボックス圏を上抜けするたびに、買い増していき、調整局面になったらいったん全ての株を売却することになります。

さらに、再び上昇局面になったら順張りの買い乗せ売買を行い、調整局面になったら全株を売却するのです。

これを繰り返すことで、よりリスクが少なく、リターンが得られる確率が高い成長株投資を心がけていると述べられています。

また、ボックス売買法における、ボックス圏を抜け出したときの値動きの判断を分かりやすくするために、著者はポイント&フィギュアチャートを参考にしていると言います。

そして、成長株投資を行うときには、市場環境を見極めることが非常に重要になり、市場の状態によって、以下のように売買法を変えていくと書かれています。

  • 上昇相場のときは、成行買いですぐに買う
  • 下落相場では、焦らずゆっくりと積み増していく
  • ボックス相場では、追っかけ売買的な買いも必要

成長株投資は、景気が好調な時には、かなり割高なレベルにまで買い上げられる一方で、下がるときには、高値から5分の1や10分の1にまで下落することも珍しくありません。

そのため、市場全体が下落相場に入ったと判断したなら、なるべく早めに売却をする必要があるのです。

4.市場環境の見極め方

成長株投資で重要になってくる、市場環境の見極め方については、第3章で書かれています。

それによると著者の場合、市場の状態を以下のような基準で分類しているとのことです。

  • 上昇相場の特徴
    • 日経平均株価が1週間で500円~1000円(5%)程度上がる
    • 日経平均株価の上昇が1ヵ月程度続く
  • 下落相場の特徴
    • 日経平均株価が1週間で500円~1000円(5%)程度下がる
    • 日経平均株価の下落が1ヵ月程度続く
  • ボックス相場の特徴
    • 日経平均株価がプラス500円とマイナス500円の間で上昇と下落を繰り返す

また、天井圏を見極めるための4つのポイントとして、次のものが挙げられています。

  1. ディストリビューションが3、4回続いた場合
    • 「ディストリビューション」とは、前日よりも出来高が多いにもかかわらず、日経平均株価などのインデックスはそれほど上がらず、むしろ下がる(失速する)ような状況になることです。
    • 成長株投資のカリスマであるウィリアム・オニール氏は、「ディストリビューションが3、4回続くと、天井になることが多い」と述べています。
  2. 主導株が下落した場合
    • ここでいう「主導株」とは、「市場を代表する株の一つであり、市場の状況が株価に反映されやすい株のこと」をいいます。
    • 主導株は市場全体が上昇相場になる前に株価が上がり、逆に市場が大きく崩れる前に株価が下落するという傾向が強く出ます。
  3. 個別成長株が下落した場合
    • 投資家が保有している成長株は大きく上がるような株で、そのような株から売っていこうという行動をすることが多いので、成長株が先行して売られることになります。
  4. 先行指標のインデックスが下落した場合
    • ジャスダックインデックスや東証マザーズ指数は、東証1部の先行指標になりやすい傾向があります。

さらに、買いタイミングについて、「フォロースルー」にも言及されています。

「フォロースルー」とは、日経平均株価が1%~1.5%上昇したあとに、1~5営業日後に再び1.5%以上の上昇が起きることです。

ウィリアム・オニール氏によれば、フォロースルーが出て、株式市場が底を打つ確率は80%程度とのことです。

下落相場の中で、このようなフォロースルーが出て、底打ちが確認できるような状態になってくると、新しい主導株が現れてくるようになると書かれています。

5.総括

前回にレビューした、ふりーパパ氏の初著『ゼロから純資産5億円を築いた私の投資法とは異なり、本書では具体的な投資手法について書かれています。(リンク先はレビュー記事になります。以下、同様。)

なお、同氏にはこれら2冊の他に、DUKE。氏との共著(『スピード出世銘柄を見逃さずにキャッチする 新高値ブレイクの成長株投資法)があり、そこではより具体的な実践法についても触れられています。

そのため、本書とその共著書を読めば、同氏の投資手法を何とか実践に移すことができるかと思われます。

ただ、成長株投資では、新高値で購入してもダマシに遭って損切りで終わることも多く、割安株と比べて急落時の下落幅も大きくなりやすいと言えます。

また、新高値で購入するというのは心理的な障壁も高く、さらにその株を保有し続けて利益を伸ばすということも決して容易ではありません。

そういったこともあり、相場環境が良いときならいざ知らず、そうでないときに安易に成長株投資を実践してしまうと、痛い目に遭いかねません。

そうならないためにも、成長株投資についてさらに他の書籍でも学んだり、少しずつ実践を重ねていく必要があるでしょう。

もちろん、これは他の投資手法に関しても言えることではありますが。

当ブログでは、今後もしばらくは成長株投資に関する書籍のレビューをしながら考察していきたいと考えておりますので、是非そちらもご参考にしていただければと思います。

 

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