読書録・書評

【読書録・書評】『マンガでわかる株式投資! 女子高生株塾』

ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。

1.本書の概要

まずは、本書の概要からです。

本書は、『ZAi』での連載がまとめられたもので、株式投資に関する基本的な内容から、ややマニアックな事柄についても触れられています。

その分、漫画ではありますが、文字数やページは多めとなっています。

なお、本書の章立ては、以下のようになっています。

  • Vol.1:投資デビュー
  • Vol.2:株は人気投票だ!
  • Vol.3:グロースとバリュー
  • Vol.4:配当&株主優待
  • Vol.5:材料VSチャート
  • Vol.6:PERとPBR
  • Vol.7:IPO当選の秘訣
  • Vol.8:デイトレード
  • Vol.9:信用取引
  • Vol.10:先物とオプション
  • Vol.11:世界の金融
  • Vol.12:株の格言
  • Vol.13:M&A(合併と買収)
  • Vol.14:決算書の読み方
  • Vol.15:決算発表
  • Vol.16:REIT
  • Vol.17:仕手株
  • Vol.18:MSCB(下方修正条項付転換社債)
  • Vol.19:TOB(公開買付)
  • Vol.20:踏み上げ

2.グロース投資とバリュー投資

Vol.3では、グロース投資とバリュー投資について、以下のように説明されています。

  • グロース投資:すでにみんなが注目していて高値がついている株でも、成長力があって、まだまだ上がりそうな株を狙う買い方を『グロース投資』という。こういう株は、指標だけを見ると割高感があるので、『これまでの指標は通用しない』とか『〇〇革命!』とか言って、指標を無視した選び方をするのが常だ。
  • バリュー投資:いい子会社やいい不動産を持っていて、実質価値は高いのに、なぜかあまり注目されないので、株価が安い会社というのがある。そういう、実際の価値より割安な株だけを狙う株の買い方を『バリュー』投資という。株には『PBR』とか『理論株価』とかいった、割安さを示す便利な数値があるので、バリュー投資は、その数値を見て株を選ぶことになる。

また、それぞれについて、次のような説明もあります。

バリュー型は失敗が少ない代わりに、儲けが出るまでに時間がかかる場合が多いし、まれに、一生割安株のままという場合もある。

一方、グロース型は、短期間ででっかく儲けられるが、損するときは損もでかい。

そして、08年に起こった『100年に1度の金融危機』のような事態になれば、バリューもグロースも関係なく全部の株が叩き売られるため、「株で儲ける上で最も大事なのは売り時だ」とも書かれています。

3.理論株価の計算方法

Vol.6では、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)などについて触れられています。

また、理論株価の最も簡単な計算方法として、以下のような計算式が挙げられています。

理論株価=BPS(1株純資産)+EPS(1株利益)×8年分

『ZAi』では、もっと複雑な式を使って導き出した理論株価が用いられているとのことでしたが、正直こういった計算に関しては懐疑的です。

そもそも、過去の株価や、PERやPBRなどといった株価指標、財務諸表を用いて株式投資で勝てるようになるのであれば、統計学者や会計士が最も強いはずですが、実際にはそうなっていません。

つまり、株式投資で勝つためにはそれ以外の要素が必要になってくるということです。

4.ポートフォリオを組む

Vol.8では、数週間~数ヵ月の中期の株取引の基本は『分散投資』で、ポートフォリオを組む上で一番重要なのは、なるべく業種(セクター)をバラけさせて買うことだと書かれています。

その根拠として、2008年の金融危機以降の株式市場の情勢が描かれています。

2008年の金融危機以降、トヨタやソニー、パナソニックといった、いわゆるブルーチップと呼ばれる企業が、消費の冷え込みと円高がダブルパンチとなって、大打撃を被ったとあります。

一方で、出光やエネオス等の石油会社は、消費冷え込みの打撃はあっても円高になれば利益は上がるため、株価は比較的安定していたと言います。

また、マクドナルドや吉野家、ニトリ、ユニクロなどは売り上げが絶好調で株価もウナギ登りでした。

さらには、電力、トイレタリー、薬品といった景気の良し悪しにあまり業績が関係ない、ディフェンシブと呼ばれる業種もあります。

そういったことから、ブルーチップ、安売り系、ディフェンシブをうまく組み合わせて買っておくことが大事だと言うのです。

5.株の格言

Vol.12では、以下のような株の格言が紹介されていますが、どれも習いあるものばかりだと言えます。

  • 人の行く裏に道あり花の山
    • 多くの場合、みんなが欲しがる人気株は既に天井圏だし、逆にみんなが売りたい不人気株は底値圏に達している。だから、みんなが欲しがる株を買って、みんなが売りたい株を売っていたのでは絶対儲からない。株の世界では、儲けたかったら他人と違うところに目をつけろということだ。
  • 二度に買うべし 二度に売るべし
    • 株の売買は二度に分けるくらいに慎重にという教え。
  • 割安に買いなく 割高に売りなし
    • 株価の高い銘柄はそこまで上がった理由があるし、安い銘柄も安くなった理由がある。従って割安だからといって買うべきではないし、割高だからすぐ売るということもない。平たく言えば、逆張りではなく、順張りで買えという意味でもある。
  • 早耳の耳だおれ
    • 株の噂は玉石混淆、確認もせずに情報にとびつくと痛い目に遭う。早く情報を知ったからといって、必ず儲けられるとは限らない、という意味だ。
  • 知ったらしまい
    • 株価のどんな材料も表に出たときは既に株価に織り込み済み、株価に影響は与えない、ということだ。
  •  麦わら帽は冬に買え
    • 株は誰も注目していない時期に買って、注目される季節に売るに限る。結局、授業で教えた「人の行く裏に道あり花の山」と同じで、他人と同じことをやっていても株では儲けられない、という意味だ。

6.総括

本書では、その章立てを見ても分かるように、多岐にわたる内容について触れられており、株式投資に関する基本的な事柄はこの1冊でほぼ網羅できるはずです。

ちなみに私は、『ZAi』はたまにですが、同じくダイヤモンド社から提供されている『 ダイヤモンド・オンライン』は欠かさずに読んでいます。

他に、『東洋経済オンライン』や『日経ビジネス』にも目を通していますが、内容は『ダイヤモンド・オンライン』がはっきり言って図抜けています。

本書は、そのダイヤモンド社から刊行された単行本ということもあって、納得しかねる部分はあるものの、やはり内容は確かなものだと感じました。

下手な入門書を読むくらいであれば、本書を読んだ方が断然良いと言えるでしょう。

 

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