読書録・書評

【読書録・書評】『相場師スクーリング』

ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。

1.書籍の概要

まずは、本書の概要からです。

  • お役立ち度:
  • 難易度:
  • マニアック度:
  • 分類:株式投資、商品相場、売買技術

本書は、相場師として名を上げ、生涯を通じて個人投資家教育にも尽力した、林輝太郎氏による著作です。

本書は、「相場師スクーリング」、つまり相場師への講義・授業ということで、相場に対する考え方、必要な道具、売買技術の重要性などについて書かれています。

なお、本書の章立ては、以下のようになっています。

  • 第1章:スクーリングは飛躍のステップなのに
  • 第2章:相場師ことはじめ
  • 第3章:「地味な売買」論
  • 第4章:モノと技法について
  • 第5章:技法の発生
  • 第6章:「売り」というもの
  • 第7章:明るい前途を

ここでは、本書の中で気になった部分や参考になった部分について、一部を抜粋しながらレビューしていきたいと思います。

2.売買の技術

本書では、相場の三要素として、「予測」、「技術」、「管理」が挙げられ、この三要素に関連して、次のように書かれています。

一般のアマチュアは「当てもの」一点張りで、そういう人に技術や管理の重要性を説いても、全く聞き入れてくれないし、知らないし、やらない。

また、自身について次のように書いています。

筆者が生まれてはじめて株を買ったのは1948年だから、それから46年。たくさんの本を読み、多くの人から教えを受け、時間を惜しまず勉強と反省を繰り返してきた。飽くことなく討論したし、利益を得た喜びも、大失敗の苦しみもいやというほど経験した。

その、長い年月の努力は、一言でいえば、ホンネに迫ることであり、趣味的要素の排除であり、それは、カネ儲けの仕事のしかたを身につけることであった。

しかし、一般のアマチュアに「ホンネ」を伝えても、全く聞く耳を持たなかったり、反論されたり、あるいは理解したようでも実践しなかったりするといったことが、本書の中では実際の例を挙げて繰り返し書かれています。

そして、相場師とは、一般にイメージされるような派手なものではないとして、次のような記載があります。

相場で「生活費を捻り出」して生きている人たちは、リスク管理が徹底しており、生活が派手になりますと、玉の操作が粗雑になりますので、生き残りをかけて、極力ストイックな生活を、自分自身に強いているのです。

3.売買の重要事項

売買の重要事項についても、次の四つのものが挙げられています。

  1. 準備、資料、管理を適正にする
  2. 適した道具を持ち、有効な方法と順序をとる
  3. 注意事項、禁止事項を守る
  4. 投資の成果は「売り」によって決まる

例えば、あらゆる株式投資の基本的必要事項というのは次のようなことです。

  • 相場師の三種の神器といわれる、場帖、玉帖、資料・グラフの整備を怠らない
  • 資金には余裕持つこと
  • 区切りをつける機会を作り実行する

また、禁止事項として挙げられているのは、例えば次のようなことです。

  • 新聞の場況解説および会社解説記事、銘柄診断、評論家の推奨株記事、証券会社首脳の市況予測を読んではならない。しかし、批判するために読むのは可
  • 指値注文は原則禁止
  • 月曜日の新規売買は絶対禁止
  • 場帖をつけていない銘柄の新規売買は絶対禁止

4.売りの重要性

本書では、「売り」の重要性についても触れられています。

利益の必然性も、ビジネスとしての売買も、玄人としてのルールも、すべては「売りの世界」の中に存在しているのである。

商品相場は株よりも「売り」に対して自由であり、ツナギからコスト・ダウン、ローリングまで可能でありながら、売りの世界を知らない人が多い。それは、相場の世界の半分しか知らないのと同じことである。

上記にもあるように、商品相場の、サヤ取りやサヤすべり取りなどについても書かれています。

5.売買の「水準」を上げる

最後に、売買の「水準」を上げるということについて書かれています。

この「水準」というのは、技術の巧拙のことを指し、それを向上させるためには、色々な方式に手を出さずに、一つの狭い流儀に上達することが大事だということです。

そして、次のように締め括られています。

簡単だがめんどくさい初歩の(基本の)ことを自信を持てるまで続けて身につけることである。

「知識の多さが成功を左右する」という知識偏重の「迷信の呪縛」から解き放たれたならば、もう前途は明るい。

6.総括

林氏の書籍というのは数多くありますが、そのどれもが他の投資関連書籍とは一線を画すものだといえます。

私自身、投資を始めた頃から様々な書籍を読み漁っていたのですが、林氏の書籍に出会ったときは本当に目から鱗だったのを今でもよく覚えています。

林氏の書籍はどれも地味な装丁であるため、初めに手に取ったのは割と後の方だったのですが、そこからは、ほとんど全てを片っ端から読んでいきました。

どの本から読んだらいいかと聞かれると難しいのですが、本書を皮切りに林氏の書籍のレビューを載せていきますので、それを参考にしていただければと思います。

プロ投資家やアマチュア投資家の逸話なども豊富で、単純に読み物としても面白いですので、本音としてはできるだけ多くを読んでいただきたいところではありますが。

 

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