相場のデータ・指標

「WTI原油」のデータ分析(2019.12)(CFTC建玉明細(投機筋)、ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)、原油在庫統計(EIA・API))

ここでは、直近(2019年12月)の「WTI原油」について、CFTC建玉明細の投機筋ポジション、ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)、原油在庫統計(EIA・API)といった観点から見ていきたいと思います。

なお、各指標に関しては、以下の記事でそれぞれ詳しく解説していますので、よろしければご参照ください。

1.WTI原油とCFTC建玉明細(投機筋)

まず、CFTC建玉明細から投機筋のネットポジションの長期推移を、WTI原油先物価格とともに示したのが以下の図になります。

WTI原油価格と投機筋ネットポジションの長期推移を示した図(2019.12)

また、この図から直近の推移だけを取り出して示したのが、以下の図です。

WTI原油価格と投機筋ネットポジションの直近の推移を示した図(2019.12)

この図からは、投機筋のネットポジションとWTI原油先物価格が、強い相関性を認めていることが分かります。

直近では、投機筋のネットポジションは横ばいから増加傾向にあり、WTI原油先物価格も上昇傾向となっています。

2.WTI原油とブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)

次に、市場が推測する期待インフレ率を示す指標である、ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)についてです。

このBEIの推移を、WTI原油先物価格とともに示したのが以下の図になります。

WTI原油価格とブレーク・イーブン・インフレ率の推移を示した図(2019.12)

また、この図から直近の推移だけを取り出して示したのが、以下の図です。

WTI原油価格とブレーク・イーブン・インフレ率の直近の推移を示した図(2019.12)

この図から、WTI原油先物価格とBEIとの間にも、強い相関性があることが見て取れます。

直近では、両者の乖離が広がったままとなっていますが、上の長期の推移からすると、乖離が広がっているというわけではなく、何とも言えないところです。

ただ、いずれにしても、このBEIからは原油価格にあまり上昇余地がないように見えます。

3.WTI原油先物価格と原油在庫統計(EIA・API)

最後に、原油在庫統計についてです。

まず、米国エネルギー情報局(EIA)の原油在庫統計の推移を、WTI原油先物価格とともに示したのが以下の図になります。(見やすくするために、右軸の原油在庫統計のスケールは反転しています。)WTI原油価格とEIAの原油在庫統計の推移を示した図(2019.12)

続いて、米国石油協会(API)の原油在庫統計の推移を、WTI原油先物価格とともに示したのが以下の図です。(見やすくするために、右軸の原油在庫統計のスケールは反転しています。)

WTI原油価格とAPIの原油在庫統計の推移を示した図(2019.12)

これらの図からは、EIAとAPIの在庫統計ともに、直近では増加傾向となっているにもかかわらず、WTI原油先物価格が底堅さを保っていることが見て取れます。

4.総括

以上のことから、WTI原油先物価格は底堅い値動きとなってはいるものの、上昇余地には乏しいように見えました。

そして、原油の供給面ということでは、12月6日に、石油輸出国機構(OPEC)加盟国やロシアなどによる協調減産の強化が、2020年3月末まで行われることで合意となっていました。

ただ、減産量のインパクトは小さく、影響は限定的なうえに、米国やブラジルなどでは増産をしています。

一方、需要面では、米中貿易摩擦の影響により世界経済が減速すると、需要も減少することが予想されます。

なお、12月15日には、米国の対中追加関税「第4弾」の全面発動が予定されていますが、これはどうやら延期となりそうで、これにより一時的に原油相場が上昇する可能性はあります。

とはいえ上述のように、大きく上昇していくとは到底思えず、引き続き原油相場は方向感の乏しい展開が続きそうです。

 

「東証REIT指数」のデータ分析(2019.12)(NAV倍率・分配金利回り・TOPIX・東証1部株式の配当利回り・投信の資産増減状況)前のページ

「ドル円相場」のデータ分析(2019.12)(日米10年国債利回り・購買力平価・ソロスチャート)次のページ

関連記事

  1. 相場のデータ・指標

    世界の合計という視点で、「バフェット指数」を考える!

    この記事では、世界計の株式時価総額と名目GDPを比較し、その見方や考え…

  2. 相場のデータ・指標

    「日経平均株価」のデータ分析(H30.10)(PER・PBR、海外投資家売買動向、日銀ETF買い入れ…

    この記事では、直近の「日経平均株価」について、PER・PBR、海外投資…

  3. 相場のデータ・指標

    日銀のETF買い入れと日経平均株価

    この記事では、日銀によるETF買い入れの累計額を日経平均株価の推移と比…

  4. 相場のデータ・指標

    NT倍率の2年ぶり低水準をどう見る?

    この記事では、過去30年近くにわたるNT倍率と日経平均株価の推移を検証…

  5. 相場のデータ・指標

    「米国株(S&P 500)」のデータ分析(2020.3)(PER・CAPEレシオ・ブルベア…

    この記事では、直近の「米国株(S&P 500)」について、PER・CA…

  6. 相場のデータ・指標

    バリュー株指数 vs. グロース株指数(米国株)

    この記事では、「ラッセル 1000 バリュー株指数」と「ラッセル 10…

書籍を出版しました!

電子書籍(3冊全て、Amazonランキング1位獲得)

「マーケットの魔術師」ならぬ「マーケットの詐欺師」

精神科医が暴く金融業界の裏側

 

勝者の心構え

精神科医が看破する投資の本質

 

 

 

この心理的罠からあなたは逃れられるか

精神科医が洞察する投資家心理

 

  1. 相場のデータ・指標

    バリュー株指数 vs. グロース株指数(米国株)
  2. 投資の基礎知識・理論・心理

    ファット・テールを制する者が投資を制す!
  3. 各種金融商品・制度

    おススメ証券口座 ×SBI証券ではなく、○楽天証券を!
  4. 投資の基礎知識・理論・心理

    投資関連商材、特に自動売買システムのここに注意!
  5. 相場のデータ・指標

    「米国株(S&P 500)」のデータ分析(2019.7)(PER・CA…
PAGE TOP