相場のデータ・指標

【2022年3月】「日経平均株価」のデータ分析(PER・PBR、海外投資家売買動向、日銀ETF買い入れ、信用評価損益率、騰落レシオ)

ここでは、直近の「日経平均株価」について、PER・PBR、海外投資家売買動向、日銀ETF買い入れ、NT倍率、信用評価損益率、騰落レシオといった観点から見ていきたいと思います。

なお、各指標に関しては、以下の記事でそれぞれ詳しく解説していますので、よろしければご参照ください。

1.PER・PBR

まず、日経平均株価に採用されている企業の平均PER(株価収益率)についてです。

この平均PERと日経平均株価の値から、平均EPS(一株当たり当期純利益)を求め、その平均EPSに13~17の数値を掛け合わせて、PER 13~17倍に相当する株価の推移を日経平均株価とともに表したのが以下の図になります。

22年3月までの日経平均株価とPER13~17倍相当株価の推移を示した図

この図の2020年5月以降では、新型コロナウイルスの影響により、業績予想の開示を見送る企業が相次いだため、日経の予想が作成されるまでの間、利益をゼロとして平均PERが算出されていました。

そうした状況下では、平均PERが指標として機能していませんでしたが、直近ではそうした状況も落ち着いてきており、日経平均株価はPER 14倍台半ばでの推移となっています。

次に、平均PBR(株価純資産倍率)についてです。

PERと同様に、平均PBRと日経平均株価から平均BPS(一株当たり純資産)を求め、そこから導き出したPBR 1~1.5倍に相当する株価の推移を日経平均株価とともに示したのが以下の図になります。

22年3月までの日経平均株価とPBR1~1.5倍相当株価の推移を示した図

平均PBRは3月29日大引けの時点で、1.26倍での推移となっています。

なお、3月29日大引けの時点で、平均PBR 1.2倍相当が26907円、平均PBR 1.3倍相当が29149円となっています。

2.海外投資家の売買動向・日銀のETF買い入れ

次に、投資部門別売買状況(投資主体別売買動向)から、海外投資家の売買動向について見ていきます。

海外投資家の売買代金の差引き金額を累計したものの推移を、日経平均株価とともに示したのが以下の図です。

22年3月までの海外投資家の売買動向と日経平均株価の推移を示した図

この図から、ここしばらく均衡していた海外投資家の売買動向が、直近で再び売り越し傾向となっていることが見て取れます。

また、日銀のETF買い入れについても見ていきます。

ここでは、「設備投資・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」の株式を対象としたETFを含む、日銀の買い入れている全てのETFの累計額を見ていきます。

この日銀によるETF買い入れ累計額と日経平均株価の推移を示したのが以下の図です。

22年3月までの日銀ETF買い入れ累計額と日経平均株価の推移を示した図

この図から、日銀のETF買い入れは、2021年4月より、大きくペースダウンしていることが分かります。

ちなみに、2022年に入ってからの日銀のETF買い入れは、1月14日、1月28日、2月18日、3月11日にそれぞれ701億円ずつの4回のみとなっています。

さらに、日銀のETF買い入れ累計額と海外投資家の累計売買金額とを合計したものの推移を、日経平均株価とともに示したのが以下の図になります。

22年3月までの日銀ETF買い入れ累計額と海外投資家の累計売買金額との合計と日経平均株価の推移を示した図

この図から分かるように、両者を合計したものは、日経平均株価と非常に強い相関を認めています。

3.信用評価損益率

続いて、信用評価損益率を見ていきます。

以下の図は、信用評価損益率(2市場(東証と名証))と日経平均株価の推移を示したものです。

22年3月までの信用評価損益率と日経平均株価の推移を示した図

一般に、信用評価損益率では、「-3~0%以上で天井圏」、「-15~-20%以下で底値圏」という見方がされます。

信用評価損益率は、3月7日に底値圏の目安となる-15.7%となり、直近の3月25日時点では、-11.4%となっています。

4.騰落レシオ

最後に、25日騰落レシオについても見ていきます。

騰落レシオの推移を日経平均株価とともに示したのが以下の図になります。

22年3月までの騰落レシオと日経平均株価の推移を示した図

騰落レシオは、3月29日時点で107.4と、天井圏と底値圏のどちらとも言えないような水準となっています。

5.総括

日経平均株価は、3月上旬に25000円を割った後、直近では28000円台にまで戻しています。

この急回復は、海外投資家の先物買いによるところが大きいと見られています。

この背景には、ウクライナ紛争で、ロシアとの結び付きが強い欧州の景気悪化が懸念され、欧州株から日本株への資金移動があるのではないかとの思惑があるようです。

とはいえ、資源高やインフレに伴う先進各国の利上げは、じわじわと企業業績へ悪影響を及ぼしてくることになりそうです。

そして、来月4月下旬からは、22年3月期本決算の発表が本格化しますが、注目は何といっても23年3月期の通期予想です。

コロナ禍の長期化や、ウクライナ紛争、米中対立などの世界情勢を考えると、減益予想など保守的な通期予想を出す企業が多くなると思われ、そうなると少なくとも当面は、株価の上値が重たい展開となる可能性が高いのではないでしょうか。

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