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【2022年3月末時点】デビッド・テッパー氏率いるアパルーサ・マネジメントの最新ポートフォリオ

1.アパルーサ・マネジメント率いるデビッド・テッパー氏

今回は、デビッド・テッパー氏が率いる、アパルーサ・マネジメントの2022年3月末時点でのポートフォリオについて見ていきたいと思います。

デビッド・テッパー氏は、ヘッジファンド・マネージャーの運用報酬ランキングで、2009年、2012年、2013年にトップとなり、その後も、2016年3位、2017年5位、2018年3位と驚異的な成績を残しています。

特に2009年には、リーマンショック後に大きく売られた大手銀行株などを大量に取得し、辛抱強く持ち続けたことで、最終的に70億ドルもの利益を上げたと言われます。

また、2013年には、市場で不人気だった航空株への投資でリターンを出すなど、特定業種への集中投資で成果を出してきたことで知られています。

2.米証券取引委員会(SEC)への報告書提出義務

さて、デビッド・テッパー氏に限りませんが、著名投資家たちのポートフォリオを知ることができるのには理由があります。

これは、米国では運用資産が1億ドル以上の機関投資家は、四半期ごとに証券取引委員会(SEC)への報告書提出が義務付けられているためです。

この報告書は、SECのホームページから閲覧することができ、著名投資家たちのポートフォリオの保有銘柄や株数などを知ることができるのです。

ただ、各四半期末から45日以内が報告書の提出期限であることから、公開されたポートフォリオが最新のものであるとは限らない点には注意が必要です。

また、公開されるのは、米国上場株および、ロングポジションのみとなっています。

さて、各四半期から45日以内が提出期限ということから、2月中旬、5月中旬、8月中旬、11月中旬に報告書が更新されることが多くなります。

つまり、22年5月中旬には、著名投資家たちの22年3月末時点でのポートフォリオが数多く公開されるというわけです。

3.アパルーサ・マネジメントのポートフォリオ

それでは早速、アパルーサ・マネジメントの2022年3月末時点でのポートフォリオを見ていきます。(図では上位17銘柄を示しています。)

アパルーサ・マネジメントの2022年3月末時点でのポートフォリオを示した図

また、この四半期前の2021年12月末時点でのポートフォリオを示したのが下図になります。

アパルーサ・マネジメントの2021年12月末時点でのポートフォリオを示した図

この両者の違いを際立たせるために、22年3月末時点でのポートフォリオの上位17銘柄について、各銘柄の組み入れ比率と、前四半期からの保有株数の増減率をそれぞれ示したのが次の表になります。

ティッカー 銘柄名 増減率(%) 組み入れ比率(%)
GOOG Alphabet Inc -11.85 13.3
AMZN Amazon.com Inc 21.43 11.09
META Meta Platforms Inc -19.09 7.92
M Macy’s Inc -21.64 7.71
MU Micron Technology Inc -23.64 6.55
OXY Occidental Petroleum Corp -56.97 6.45
EQT EQT Corp -19.53 5.42
MSFT Microsoft Corp 23.03 4.52
ET Energy Transfer LP -25.66 4.12
UNH UnitedHealth Group Inc -6.15 3.43
UBER Uber Technologies Inc 797.78 2.88
PCG PG&E Corp -51.94 2.87
SYY Sysco Corp -10.71 2.45
AR Antero Resources Corp -30.59 2.41
MOS The Mosaic Co -65.21 2.22
XLE The Energy Select Sector SPDR Fund -67.67 2.13
GT Goodyear Tire & Rubber Co -36.8 1.86

4.デビッド・テッパーのポートフォリオ・マネジメントと総括

また、22年1月から3月末までの間に、デビット・テッパーが新規買いを含めて買い増した銘柄は5銘柄のみとなっており、それらをポートフォリオ全体への影響度が大きかった順に並べたのが以下の表です。

ティッカー 銘柄名 増減率(%) 組み入れ比率(%)
UBER Uber Technologies Inc 797.78 2.88
AMZN Amazon.com Inc 21.43 11.09
MSFT Microsoft Corp 23.03 4.52
LVS Las Vegas Sands Corp 新規買い 0.82
WYNN Wynn Resorts Ltd 新規買い 0.72

これらの表から、前四半期に大きく買い増していた「EQT(EQT)」や「ET(エナジー・トランスファー)」を一部売却し、「OXY(オクシデンタル・ペトロリアム)」も大きく売却していることが分かります。

そして、何と言っても目を引くのは、ライドシェアリングの「UBER(ウーバー・テクノロジーズ)」を大きく買い増し、統合型リゾート運営の「LVS(ラスベガス・サンズ)」や「WYNN(ウィン・リゾーツ)」を新規買いしていることでしょう。

UBERは売上は増加傾向ですが、赤字を垂れ流しており、株価は上場来安値圏での推移となっています。

LVSやWYNNはともに、20年12月期および21年12月期は赤字となっており、赤字幅は縮小しているものの、株価は両銘柄ともに過去10年間の最安値圏での推移となっています。

LVSやWYNNに関しては、仮に業績がコロナ前の水準に戻るとすれば、割安な水準にあると言えます。

日本にいることもあるせいか、コロナ後の経済活動再開を見越したリオープン関連銘柄といえば、旅客運送業や旅行関連、インバウンド関連が主なものと思われ、オリエンタルランドは思い浮かべても、カジノなどの統合型リゾートというのは全くの盲点でした。

統合型リゾートは、あまり大きな成長というのは期待できませんが、参入障壁の高い業種であり、経済活動が元に戻れば安定した配当なども期待できるため、ポートフォリオの一端として保有してみても良いかもしれません。

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