相場のデータ・指標

「東証REIT指数」のデータ分析(2019.3)(NAV倍率・分配金利回り・TOPIX・東証1部株式の配当利回り・投信の資産増減状況)

ここでは、直近の「東証REIT指数」について、NAV倍率・分配金利回り・TOPIX・東証1部株式の配当利回り・投信の資産増減状況などといった観点から見ていきたいと思います。

なお、各指標に関しては、以下の記事でそれぞれ詳しく解説していますので、よろしければご参照下さい。

1.東証REIT指数とTOPIX

まずは、東証REIT指数とTOPIXの推移を見比べてみます。

東証REIT指数とTOPIXの推移を示した図(2019.3)

この図から、TOPIXと東証REIT指数は強い相関を認めることが見て取れます。

また、2017年頃から拡大していた両者の乖離も、TOPIXの下落により縮小傾向となっていることが分かります。

そういった意味では、東証REIT指数は底堅い値動きをしていると言えます。

2.東証REIT指数とNAV倍率・分配金利回り

次に、東証REIT指数をNAV倍率や分配金利回りといった点から見ていきます。

まずは、NAV倍率の方からです。

東証REIT指数とNAV倍率の推移を示した図(2019.3)

すると、NAV倍率は一般的に割安の基準であるとされる1倍に近い水準(赤の点線)での推移となっています。

一方で直近の東証REIT指数は、NAV倍率ほどは下がっておらず、両者の間には乖離が生じています。

これは、NAV倍率を算出する際に分母となる、REITの保有する不動産の時価が上昇しているためかもしれません。

そして、分配金利回りの推移についても見ていきます。(見やすくするために、右軸にある分配金利回りのスケールは反転させてあります。)

東証REIT指数と分配金利回りの推移を示した図(2019.3)

直近のJ-REIT分配金利回りは4%前後での推移となっていますが、この図で示した過去約15年間の推移を見る限りでは、この4%という水準はそこまで高いものではないように見えます。

3.各種利回りの比較

とはいえ、REITの分配金利回りは、株式の配当利回りや長期金利(10年国債利回り)などとの関係で決まってくる面もあると思われるため、それらの比較をしたのが以下の図になります。

分配金利回り、配当利回り、長期金利の推移を比較した図(2019.3)

ここで、長期金利(10年国債利回り)に関しては、日銀の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」により、0%前後での推移となっています。

つまり、ここ数年の長期金利は少なからずコントロールされたものであると言え、比較対象として適切なものかどうかは疑わしいものであるため、ここではJ-REITの分配金利回りと東証1部株式の配当利回りとを比較してみます。

このJ-REITの分配金利回りと東証1部株式の配当利回りとのスプレッド(利回り差)の推移を示したのが以下の図です。

分配金利回りと配当利回りのスプレッドの推移を示した図(2019.3)

この図で示した過去約15年間の推移を見る限りでは、両者のスプレッドはまだ低い水準にあると言えます。

そういったことから、株式と比較して見た場合に、REITにはまだそこまで投資妙味があるというわけではなさそうです。

4.投資信託の資産増減状況と東証REIT指数

なお、東証REIT指数を構成しているJ-REIT市場における主な投資家としては、日銀や投資信託、海外投資家が挙げられます。

そして、東証REIT指数の推移は、その中でも投資信託の資産増減状況との関連が比較的強いため、その影響についてここでは見ていきます。

具体的には、投資信託の商品分類のうち、「毎月決算型」、「国内 不動産投信」の2つについてです。

まずは、「毎月決算型」の方からになります。

この「毎月決算型」を見るのは、分配金を毎月出す投信にとって、相対的に利回りの高いREITというのは、都合が良いためです。

東証REIT指数と毎月決算型投信の推移を示した図(2019.3)

ここ数年間、「毎月決算型」投信からの資金流出がずっと続いており、流出額もかなり大きなものとなっていることが分かります。

しかし直近では、その流出傾向とは逆に、東証REIT指数が上昇傾向となっていることが見て取れます。

続いて、「国内 不動産投信」になります。

東証REIT指数と国内不動産投信の推移を示した図(2019.3)

一方、「国内 不動産投信」はピークアウトしてはいたものの、直近では再び資金流入傾向となっており、それと連動するように東証REIT指数も上昇していることが分かります。

5.総括

ここでは、東証REIT指数を、各種指標と比較して見てきました。

それによると東証REIT指数は、NAV倍率からは割安な水準にあるように見えます。

一方で、TOPIXとの比較や、J-REIT分配金利回りの水準、東証1部株式配当利回りとの比較では、そこまで割安な水準であると言えませんでした。

あとは、「国内 不動産投信」への資金流入が、今後も継続していくのかどうかが焦点となりそうです。

最近、世界的な、特に国内の低金利環境下で、邦銀のCLO(信用力が低い企業への融資をまとめたローン担保証券)への投資残高が拡大しているとの記事がありました。

証券化によるリスクの拡散は、リーマン・ショックへと発展したサブプライム住宅ローン危機を彷彿とさせ、そういった懸念から金融庁が、邦銀などを対象に、19年3月末から証券化商品の保有に新たな規制を導入するとのことでした。

このように、低金利環境下では、相対的に利回りの高い金融商品、つまりREITやハイ・イールド債などに資金が流入しやすくなります。

そして、今月の19・20日に開かれるFOMC(米連邦公開市場委員会)では、FRB(米連邦準備理事会)による利上げ休止や資産縮小の年内停止が見込まれています。

つまり、世界的な低金利環境が当面は続くことが予想され、これはREITにとっては追い風となりそうです。

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