読書録・書評

【読書録・書評】『インベスターZ』(全21巻)の第16~21巻のレビュー

ここでは、『インベスターZ』という漫画(全21巻)について、以下の16~21巻のレビューを書いていきたいと思います。

インベスターZ(16)インベスターZ(17) (モーニング KC)インベスターZ(18)インベスターZ(19) (モーニング KC)インベスターZ(20)インベスターZ(21)

1.漫画の概要

まずは、漫画の概要からです。

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  • 分類:株式投資、個別株、漫画

『インベスターZ』は、『ドラゴン桜』という漫画でブレイクした三田紀房氏による、投資をテーマにした漫画です。

ここでは、漫画のあらすじやストーリーについては触れずに、投資に関係する部分だけを一部抜粋しながら、レビューしていきたいと思います。

2.保険会社の印象操作

第16巻は、主に保険に関する内容となっています。

まず、ガン保険に関して、保険会社がよく使う「二人に一人がガンにかかる時代」のコピーは、印象操作であると言っています。

というのも、平均寿命に近い80歳以上では確かに「二人に一人がガンになる」のですが、例えば0歳の人間が70歳までにガンになる確率は男性21%、女性19%に過ぎないためです。

また、そもそもガンになっても、「高額療養費制度」を使えば、保険が必要なほどお金はかからず、貯金が100万円もあればガン保険はいらないとも書かれています。

さらに、保険というのは、商品に様々な特約を付けるなどしてパッケージ化し、商品を複雑にして素人が聞いただけでは理解できないように(ブラックボックス化)しています。

そのため、加入者には、保険会社にどれだけの手数料を引かれているのかが分からなくなるのです。

そして第16巻では、保険会社の主な収益源として、「死差益」と「利差益」についても書かれています。

「死差益」というのは、予定死亡率によって見込まれた死亡率よりも、契約者の実際の死亡率が低かった場合に発生する利益のことです。

この予定死亡率に関しては、日本の生保(生命保険会社)が保険の価格を決める際の「生保標準生命表」で、実際の死亡率よりも高めに設定されています。

それにより、「死差益」が生保の利益の柱になっているのです。

続いて、「利差益」というのは、保険会社による実際の運用収益が、予定利率によって見込まれた運用収入を上回った場合に発生する利益のことで、これも利益の大きな柱となっています。

なお、保険に関しては当ブログでも、以下の記事で詳しく解説していますので、よろしければご参照ください。

3.「金投資」は究極の守り!?

第17巻では、米国の老舗名門企業「GE(ゼネラル・エレクトリック社)」の後継者育成法や、かつて存在し、三菱商事や三井物産を遥かに上回る日本一の総合商社であった、鈴木商店についての話が書かれています。

そして、第18巻の前半部分は、金(ゴールド)投資についての内容となっています。

金は、ドルやユーロ、円、元などとは異なって、唯一の無国籍通貨であり、「不況の金」「有事の金」「嵐の晩にこそゴールドの輝きは増す」と言われるように、金は投資では究極の守りだというのです。

また、金取引の基本はゴールドバーで、たった5gから売買でき、全国の貴金属店や銀行、デパート、鉱山会社、精錬会社など、金取引の窓口はたくさんあるといったことも書かれています。

上記のように、金投資に関しては特に表面的な内容となっていましたので、よろしければ金投資について考察した以下の記事をご参照ください。

4.天引き貯金と家計のリストラ

第18巻の後半では、独自の貯蓄方法と生活哲学を実践し、40代にして現代に換算して100億円余りの財産を築いた、本多静六について触れられています。

具体的には、この本多静六の残した致富(ちふ)奥義にあるのは、以下の3か条だけだと書かれています。

    1. 「第一に貯金」:常に収入の4分の1を天引き貯金する。
    2. 「第二に投資」:いくらか貯まったところで投資に回す。
    3. 「第三に長期保有」:辛抱強く時節を待つ。この3か条だけです。

また、本多静六は著書の中で、「当たり前のことを当たり前にするところに真理はある」、「最善の道は平凡にある」と述べていると言います。

そして、第18巻の最後には、生活レベルを落とさずに貯金ができる方法として、「家計のリストラ」ということについて書かれています。

それによると、まず家の支出を次のように、「管理可能支出」と「管理不能支出」に分けます。

  • 管理可能支出:食費や洋服代、趣味の費用など、財布から出ていき、月によって金額が増減するお金。
  • 管理不能支出:家賃や自動車・住宅ローン、携帯や光熱費の基本料金など、契約で支払金額が固定され、主に銀行口座から引き落とされるお金。

その上で、リストラするのは、管理不能支出の方であり、ここを大胆にコストカットするとのことです。

つまり、車を売ったり、携帯を手放す、生命保険や医療保険をやめたり見直したりといったことになります。

5.重粒子線ガン治療は有用か!?

第19巻の前半は、ガン治療についての内容となっています。

具体的には、一般的に行われる、手術や抗ガン剤、従来の放射線治療以外の選択肢として、重粒子線治療(保険適応外)が紹介されており、次のように述べられています。

日本で使われる抗がん剤の費用は年間1兆円。1兆円あれば150億の重粒子線治療プラントが約70機作れる。ところが国はそんなことはしない。なぜなら、日本の医療は製薬会社が絶大な力を持っているからだ。

従来の「切って取る」「抗がん剤で抑える」治療だけではなく、重粒子線がん治療のような最先端技術で身体の負担を減らして治す治療にも本格的に取り組んでいくべきだ!

ですが、これを読んだ人からすると、重粒子線治療が何か画期的なガン治療であるかのような誤解を招くのではないかと感じました。

これはガン治療に限りませんが、疾患の治療においては一般的に、エビデンス(科学的根拠)に基づいた標準治療を受けるべきです。

とはいえ、エビデンスが先端医療に追いついていない場合があるのも事実ですが、ことガン治療に関しては無理に重粒子線治療を受ける必要性はかなり低いのではないでしょうか。

一方で、上記にあるように、「医療は製薬会社が絶大な力を持っている」というのには同感です。

そういったこともあり、これから述べることが主流になるまでには非常に長い時間を要するでしょうが、私のガン治療に対する考え方というのは次のようなものです。

まず、ガンはやはり早期発見が何より重要であるため、超早期からガンを診断できる「リキッドバイオプシー」を受けます(血中エクソソーム内のマイクロRNAを調べる)。

そして、治療に関しては(標準治療と併せて)、高濃度ビタミンC点滴などのオーソモレキュラー、バイオレゾナンス、イメディスなどによる治療を受けるでしょう。

6.時価総額から見る東証1部上場企業

第19巻の後半から最終巻の21巻までは、「時価総額ゲーム」なるものが行われています。

これは二人の登場人物が、東証1部上場企業の時価総額上位500社の中から企業を選んでいき、その合計時価総額が100兆円に近いほうが勝ちとするゲームです。

第20巻の中で、時価総額が高いほど「いい会社」だと述べられていますが、確かにそれは一理あるかと思います。

また、「それだけに企業の時価総額を頭に入れておくことは重要だ」とも述べられています。

そして、「企業の時価総額の数字を記憶できるのはせいぜい4兆円前後まで!」と書かれている箇所もあるように、ここでは最後に東証1部上場企業のうち、4兆円以上の時価総額を持つ企業を載せておきます。

2019年1月18日大引け時点で、時価総額が4兆円以上の東証1部上場企業は以下の25社になります。

  • 約22兆円:トヨタ自動車
  • 約9.8兆円:NTTドコモ
  • 8兆円台:NTT、ソフトバンクグループ
  • 7兆円台:三菱UFJフィナンシャル・グループ
  • 6兆円台:ソニー、ソフトバンク、KDDI、武田薬品工業、キーエンス、日本郵政
  • 5兆円台:ホンダ、ゆうちょ銀行、日本たばこ産業(JT)、三井住友フィナンシャルグループ、ファーストリテイリング
  • 4兆円台:三菱商事、リクルートホールディングス、JR東海、任天堂、みずほフィナンシャルグループ、セブン&アイ・ホールディングス、キャノン、オリエンタルランド、デンソー

時価総額というのは普段あまり気にしないかもしれませんが、時価総額に注目することで、今までとは違った視点で、その企業や業種について考えることができるようになるのではないでしょうか。

 

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