ここでは、直近の「日経平均株価」について、PER・PBR、海外投資家売買動向、日銀ETF買い入れ、ドル建て日経平均、バフェット指数、騰落レシオといった観点から見ていきたいと思います。
なお、各指標に関しては、以下の記事でそれぞれ詳しく解説していますので、よろしければご参照ください。
1.PER・PBR
まず、日経平均株価に採用されている企業の平均PER(株価収益率)についてです。
この平均PERと日経平均株価の値から、平均EPS(一株当たり当期純利益)を求め、その平均EPSに13~17の数値を掛け合わせて、PER 13~17倍に相当する株価の推移を日経平均株価とともに表したのが以下の図になります。
なお、7月3日大引けの時点で、PER13倍に相当する株価は、21819円となっています。
次に、平均PBR(株価純資産倍率)についてです。
PERと同様に、平均PBRと日経平均株価から平均BPS(一株当たり純資産)を求め、そこから導き出したPBR 1~1.5倍に相当する株価の推移を日経平均株価とともに示したのが以下の図になります。
なお、7月3日大引けの時点で、PBR 1.2倍に相当する株価は21969円、PBR 1.1倍に相当する株価は20138円となっています。
2.海外投資家の売買動向・日銀のETF買い入れ
次に、投資部門別売買状況(投資主体別売買動向)から、海外投資家の売買動向について見ていきます。
海外投資家の売買代金の差引き金額を累計したものの推移を、日経平均株価とともに示したのが以下の図です。
この図からも、2018年に入ってから海外投資家は売り越し傾向にあることが分かります。
ただ、日経平均株価はそこまで下がっておらず、高値圏を維持しています。
そこで、日銀のETF買い入れについても見ていきます。
ここでは、「設備投資・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」の株式を対象としたETFを含む、日銀の買い入れている全てのETFの累計額を見ていきます。
この日銀によるETF買い入れ累計額と日経平均株価の推移を示したのが以下の図です。
さらに、日銀のETF買い入れ累計額と海外投資家の累計売買金額とを合計したものの推移を、日経平均株価とともに示したのが以下の図になります。
この図からも明らかなように、両者を合計したものは、日経平均株価と非常に強い相関を認めています。
海外投資家の売買動向、日銀の金融政策には注意を払っておく必要があるといえるでしょう。
3.ドル建て日経平均株価
では、海外投資家から見た日経平均株価である、ドル建て日経平均株価について見ていきます。
ドル建て日経平均株価を日経平均株価とともに示したのが以下の図です。
この図から、ドル建て日経平均株価は、バブル期を除いて、高値圏にあることが分かります(赤い点線で示した200ドル前後の水準)。
4.バフェット指数
続いて、バフェット指数を見てみます。
バフェット指数=株式時価総額/名目GDP×100
バフェット指数は上記の式で求められますが、日本株では株式時価総額に「東証1部の株式時価総額」が一般に用いられますので、ここでもそのデータを使用しています。
そして、バフェット指数の推移を日経平均株価とともに示したのが以下の図です。
バフェット指数では、100を超えてくると相場が過熱圏にあるとされますが、現在は100を大きく超えている状態であることが見て取れます。
5.騰落レシオ
最後に、25日騰落レシオについて見ていきます。
騰落レシオの推移を日経平均株価とともに示したのが以下の図になります。
騰落レシオでは、直近の相場は目先の底値圏に近いことが示されています。
ただ、騰落レシオは「だまし」の多い指標でもあるため、これだけでは何ともいえないところです。
6.総括
PERやPBRからは、日経平均株価は21000円台後半が目先の底値になりそうです。
また、日銀のETF買い入れや海外投資家の売買動向は、日経平均の今後を占ううえで重要なファクターだといえますが、日銀の金融政策はしばらく大きな変更はないでしょう。
海外投資家から見た日経平均である、ドル建て日経平均はちょうど200ドル前後と、バブル期を除いて、過去の高値圏にあります。
一般に、海外投資家は順張りの傾向があるため、この水準をある程度上抜ければ、さらに上げ足を速めることも十分考えられます。
そして、騰落レシオからは目先の底値圏といえそうですが、バフェット指数から見ると、高値圏にあるといえます。
直近の日経平均株価は、米国の通商政策への懸念から弱含んでいると思われますが、この問題による影響が落ち着きを見せれば、再び上値を目指すような展開も十分考えられます。
とはいえ、ドイツのメルケル政権やドイツ銀行など、金融危機の火種もくすぶっており、予断を許さない状況であることには変わりありません。