精神科医による辛口投資論

今回より新たな試みとして、毎月月初に前月末時点における、私自身が運用する法人口座の保有株式など公開していきたいと思います。

今回は、初回ということで2023年7月末時点における保有株式と各銘柄の平均取得単価（手数料込み）のみですが、今月の8月からは株式取引を行った日には、基本的にその日の夜に取引銘柄を公開していきます。

具体的な保有株数は非公開としていますが、概ね各銘柄へ均等額に近いイメージで投資しています。

イメージというのは、強気の銘柄に対してはウェイトを高めたり、自信の持ていない銘柄や様子見の銘柄に対しては試し玉として少量で購入したりすることがあるためで、その辺りに関しては最後に総括で触れることがあるかもしれません。

また今月からは取引銘柄と併せて、その銘柄の取引理由についても簡単にコメントしていきますので、当ブログの方をこまめにチェックしていただければと思います。

なお、言うまでもないかもしれませんが、売買は自己責任でお願いいたします。

1．23年7月末時点での保有株式（日本株）と平均取得単価

まずは、日本株の方からです。

2．23年7月末時点での保有株式（外国株）と平均取得単価

続いて外国株になりますが、外国株に関してはティッカーシンボルのみの表記としていることもあり、一部の銘柄にセクターや概要を補足しています。

3．総括

実は、これまで外国株はあまり取引しておらず、ほとんどが日本株での運用といった状況だったのですが、23年に入ってから外国株のウェイトを増やし、直近ではポートフォリオ全体の１割強を占めています。

そして、外国株（多くが米国株）の保有株式を見ると、「石油・ガス」や「金属・鉱業」が多いことに気づかれたのではないでしょうか。

これらのセクターに属する銘柄には、日本株だけでは十分な投資を行うことができないため、外国株に資金を振り向けざるを得なくなったという面もあります。

では、なぜ「石油・ガス」、「金属・鉱業」なのかですが、長くなるので、ここでは「石油・ガス」を選好する理由について触れていきたいと思います。

実は、一部でこの「石油・ガス」相場には最後のスーパーサイクル（超強気相場）が来るのではないかと言われています。

ご存知の方も多いでしょうが、昨今のESG投資の高まりにより、少し前まで石油をはじめとした化石燃料からのダイベストメント（投資撤退）の動きが強まっていました。

実際、石油・ガス田開発への投資額は2014年のピークから、2020年時点で6割ほど減少しています。

一方で、新興国の人口増加や経済成長などにより、世界のエネルギー消費量は、石炭・石油・ガスといった化石エネルギーも含め、増加していくことが予想されます。

さらに、太陽光・風力などの再生可能エネルギーがより広く普及するには、蓄電池の導入拡大や送電網の増強など、まだまだ大きな課題があります。

そして、小型原子炉（小型モジュール炉：SMR）や、次世代エネルギー技術と言われる核融合発電の実用化への進捗状況を踏まえると、少なくとも2030年頃までは、化石燃料への需要は増加の一途をたどる可能性が高そうです。

このような状況下で石油・ガスの上流開発投資が絞られているわけですから、場合によっては供給制約から、化石燃料価格が大きく高騰する可能性すらあるかもしれません。

以上のようなことから、石油・ガスの上流権益をもつ企業や開発支援に携わる企業などへの投資を増やしているというわけです。

なお、IEA（国際エネルギー機関）や大手エネルギー企業は、石油の需要が2030年代初頭から半ばにピークを迎えると予測しています。

とはいえ、カナダのベンチャー企業（中部電力が出資）が開発した地熱開発の革新技術などの新たな発電技術や、消費エネルギーを大きく低減するような新技術が出てくる可能性などもあり、石油需要のピークが前倒しになる可能性も十分あり得ます。

後者に関しては、NTTのIOWN（アイオン）構想などがその一助になるのではないかと期待しています。

投資に絶対はありませんが、少なくとも2020年代後半くらいまでは、「石油・ガス」セクターに大きなアップサイドが見込めるのではないかと考えています。