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1.連続増配株とは
今回は、米国の「連続増配株」について見ていきたいと思います。
連続増配株というのは、その名の通り、配当金の増額を継続している企業の株のことを指します。
配当金は、基本的に当期純利益から、その一部が支払われることになります。
年によっては、一時的に利益が落ち込んで、企業の現預金が配当の原資に充てられることなどもあったりしますが、基本的には当期純利益が原資となるのです。
そのため、長期にわたって増配を続けるには、業績の方も長期にわたって順調でなければならないと言えます。
2.米国企業の連続増配期間ランキング
それでは早速ですが、米国の連続増配株において、連続増配期間のランキング上位を見ていきます(2021/5/12時点)。
順位 | 銘柄名 | 連続増配期間 | 配当利回り(実績) | 配当性向(実績) |
1 | アメリカン・ステイツ・ウォーター(AWR) | 66年 | 1.7% | 53% |
2 | ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN) | 65年 | 3.6% | 72% |
3 | プロクター・アンド・ギャンブル(PG) | 65年 | 2.4% | 58.1% |
4 | ドーバー(DOV) | 65年 | 1.4% | 38.7% |
5 | パーカー・ハニフィン(PH) | 65年 | 1.2% | 29.9% |
6 | ジェニュイン・パーツ(GPC) | 65年 | 2.5% | 177.9% |
7 | エマソン・エレクトリック(EMR) | 64年 | 2.2% | 56.8% |
8 | スリーエム(MMM) | 63年 | 3.0% | 60.3% |
9 | シンシナティ・ファイナンシャル(CINF) | 61年 | 2.1% | 12.9% |
10 | ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ) | 59年 | 2.4% | 71.4% |
11 | コカ・コーラ(KO) | 59年 | 3.1% | 98.8% |
12 | ランカスター・コロニー(LANC) | 58年 | 1.6% | 56.8% |
13 | ロウズ・カンパニーズ(LOW) | 58年 | 1.2% | 29.7% |
14 | コルゲート・パルモリーブ(CL) | 58年 | 2.2% | 56.6% |
15 | ノードソン(NDSN) | 57年 | 0.8% | 32.6% |
3.25年以上連続増配銘柄の配当利回りランキング
次に、米国企業の配当利回りランキングについても見ていきますが、一時的な配当利回りの上昇を除外するため、25年以上連続増配銘柄の中から抽出したのが、下記になります。
順位 | 銘柄名 | 連続増配期間 | 配当利回り(実績) | 配当性向(実績) |
1 | アルトリア・グループ(MO) | 51年 | 6.9% | 146.2% |
2 | AT&T(T) | 36年 | 6.5% | (赤字) |
3 | エクソン・モービル(XOM) | 38年 | 5.8% | (赤字) |
4 | ユニバーサル(UVV) | 50年 | 5.3% | 119.1% |
5 | シェブロン(CVX) | 34年 | 4.8% | (赤字) |
6 | フィリップ・モリス・インターナショナル(PM) | 51年 | 5.0% | 86.1% |
7 | IBM(IBM) | 26年 | 4.6% | 110.9% |
8 | ウエイコ・グループ(WEYS) | 39年 | 4.6% | (赤字) |
9 | アッヴィ(ABBV) | 49年 | 4.3% | 179.9% |
10 | ピープルズ・ユナイテッド・ファイナンシャル(PBCT) | 29年 | 4.0% | 138.5% |
11 | コンソリデーテッド・エジソン(ED) | 47年 | 3.9% | 90.8% |
12 | マーキュリー・ゼネラル(MCY) | 34年 | 3.9% | 22.5% |
13 | アムコー(AMCR) | 37年 | 3.8% | 84.2% |
14 | ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN) | 65年 | 3.6% | 72% |
15 | コミュニティー・トラスト・バンコープ(CTBI) | 40年 | 3.6% | 35.6% |
4.総括
配当利回りのランキングを、連続増配期間のランキングと比較してみると、全体的に配当性向が高いことが分かります。
また、配当利回りランキングでは、配当性向が100%以上、つまり当期純利益を超えて配当を行っていたり、そもそも赤字であるにもかかわらず、多額の配当を行っていたりする企業が散見されます。
なお、両者のランキングでは、連続増配期間が長い、あるいは配当利回りが高いにもかかわらず、配当性向が低い企業に目を奪われるかもしれません。
これはもちろん、その企業が安定した業績を継続しているということもありますが、それ以上に、1年ごとの配当の増額幅が例えば0.05ドルなどと、低く抑えられているために、無理なく増配を続けられているものと言えます。
ここでは、両者のランキングで、配当性向を併せて示していましたが、一般にこのようなランキングでは、配当性向が示されることは少ないように思われます。
ですから、配当利回りに着目する際は、必ず自身で配当性向の方も確認しておく必要があります。
少なくとも、私としては特に配当利回りランキングにあるような企業には投資したいとは思いません。
無理をした高配当はいつまでも続けられるはずがなく、仮に減配となった際には株価急落の可能性すらあるためです。
そういったことを考えると、高配当株に投資する「ダウの犬」投資法や、高配当株ファンドのようなものに投資することは、決してお勧めできるような投資法ではないのです。