1.ドットコムバブルに迫る「リディキュラス・インデックス」
1月26日付の英フィナンシャル・タイムズで、米投資調査会社のビスポークが算出している「リディキュラス・インデックス」が、ドットコムバブルが弾ける前の水準に迫っていると報じられていました。
「リディキュラス」には、「馬鹿げた・あり得ない」などの意味があり、この指数は、米上場企業のうち、以下の条件を満たす企業の数を集計したものです。
- 時価総額5億ドル以上
- PSR(株価売上倍率)が10倍超
- 過去3ヵ月間で株価が2倍以上に上昇
ドットコムバブル絶頂期の2000年2月には、上記の条件を満たす企業が120社もあったのですが、それが足元では79社にまで増加していると言うのです。
そのため、これはバブルの兆候ではないかと懸念されているわけです。
2.SPAC(特別買収目的会社)とは?
確かに、テスラ株やGAFAM株、米IPO株(特にバイオ関連)、SPAC銘柄、ビットコインなどを見ると、既にバブルの領域に足を踏み入れていると感じざるを得ません。
ちなみに、SPAC(特別買収目的会社)とは、事業会社の買収のみを目的として設立される上場企業で、設立時には買収の標的が決まっていません。
先に買収資金だけを調達しておくことから、SPACは「ブランクチェック(白紙小切手)」企業とも呼ばれています。
このスキーム自体は、1980年代から存在していましたが、不正の温床となったため使われなくなっていたところに、規制強化がなされ、ここ10年ほどの間に急速に広まっていました。
SPACを利用するメリットは、IPOに比べて審査が早く、低いコストで上場できる点です。
また、スタートアップ企業に出資したVCは早く資金を回収することが可能になり、一般投資家も小口で未公開株取引を行えるようになります。
このSPACにより、スタートアップ企業には潤沢な資金が流入するようになったわけですが、リスクをよく理解していない個人投資家が大きな打撃を受けるのは時間の問題のように思われます。
というのも、利益どころか売上がほとんどないような企業でも、SPACを通じて多額の資金を調達することができる状況にあるためです。
必要なのは、個人投資家に夢を見させてくれるような好材料だけといったところでしょうか。
そして、こういった状況の背景には、各国中銀の金融緩和によって生み出された過剰流動性があることは間違いありません。
3.バブル崩壊は近いのか?
以上のように、株式市場などでバブルの兆候が見え始めているわけですが、一番の問題は、近々そのバブルが崩壊してしまうのかどうかということです。
おそらく、昨年のコロナショックから、ここまで急速に株価が上昇してくることを予想できた人はほとんどいなかったのではないかと思われます。
そういったこともあり、今回の株高に乗り遅れている投資家は少なくないはずです。
また、政府の手当・給付金や融資などにより、企業や家計の現預金は日米欧で急増しています。
つまり、大きく有り余っている緩和マネーが、投資機会を伺っている可能性が高いのです。
そのため、今後も堅調な相場展開となれば、「FOMO(Fear Of Missing Out:取り残される恐怖)」に駆られた投資家が、次々と参入してくることも十分に考えられ、バブル崩壊はまだ先のこととなりそうです。
一方で、大統領選の翌年2月の米株式市場は弱含むとも言われており、目先は5~10%の調整があるかもしれませんが、その局面は絶好の押し目買いの機会となるのではないでしょうか。