相場のデータ・指標

デビッド・テッパー氏率いるアパルーサ・マネジメントの最新ポートフォリオ(2021年3月末時点)

1.アパルーサ・マネジメント率いるデビッド・テッパー氏

今回は、デビッド・テッパー氏が率いる、アパルーサ・マネジメントの2021年3月末時点でのポートフォリオについて見ていきたいと思います。

デビッド・テッパー氏は、ヘッジファンド・マネージャーの運用報酬ランキングで、2009年、2012年、2013年にトップとなり、その後も、2016年3位、2017年5位、2018年3位と驚異的な成績を残しています。

特に2009年には、リーマンショック後に大きく売られた大手銀行株などを大量に取得し、辛抱強く持ち続けたことで、最終的に70億ドルもの利益を上げたと言われます。

また、2013年には、市場で不人気だった航空株への投資でリターンを出すなど、特定業種への集中投資で成果を出してきたことで知られています。

2.米証券取引委員会(SEC)への報告書提出義務

さて、デビッド・テッパー氏に限りませんが、著名投資家たちのポートフォリオを知ることができるのには理由があります。

これは、米国では運用資産が1億ドル以上の機関投資家は、四半期ごとに証券取引委員会(SEC)への報告書提出が義務付けられているためです。

この報告書は、SECのホームページから閲覧することができ、著名投資家たちのポートフォリオの保有銘柄や株数などを知ることができるのです。

ただ、各四半期末から45日以内が報告書の提出期限であることから、公開されたポートフォリオが最新のものであるとは限らない点には注意が必要です。

また、公開されるのは、米国上場株および、ロングポジションのみとなっています。

さて、各四半期から45日以内が提出期限ということから、2月中旬、5月中旬、8月中旬、11月中旬に報告書が更新されることが多くなります。

つまり、5月中旬頃までには、著名投資家たちの3月末時点でのポートフォリオが数多く公開されるというわけです。

3.アパルーサ・マネジメントのポートフォリオ

それでは早速、アパルーサ・マネジメントの2021年3月末時点でのポートフォリオを見ていきます。(図では上位17銘柄を示しています。)

アパルーサ・マネジメントの2021年3月末時点でのポートフォリオを示した図

また、この四半期前の2020年12月末時点でのポートフォリオを示したのが下図になります。

アパルーサ・マネジメントの2020年12月末時点でのポートフォリオを示した図

この両者を比較すると、21年3月末のポートフォリオで組み入れ比率が上位の7銘柄はいずれもウェイトが減らされていることが分かります。

代わりに、XLE(エネルギー・セレクト・セクター SPDR ファンド)が買い増されています。

さらに、CHK(チェサピーク・エナジー:全米第2位の天然ガス探索・生産会社)やVIAC(バイアコムCBS:メディア・コングロマリット)が新規買いとなっているのも目に付きます。

これだけでも、エネルギー関連セクターへのウェイトを高めていると推察できますが、実際に下図のように、セクターごとのウェイト変化を見てみると、それが明らかとなります。

【2021年3月末時点でセクター別ウェイト】

2021年3月末時点でのセクター別ウェイトを示した図

【2020年12月末時点でのセクター別ウェイト】

2020年12月末時点でのセクター別ウェイトを示した図

なお、VIAC(バイアコムCBS)は、3月下旬のアルケゴス巨額損失事件の主な要因となった銘柄ですが、その際に大きく売られることとなっていました。

私も実は4月中旬頃に、同社株が明らかに売られ過ぎで割安な水準にあると思い、新規買いをしたのですが、未だに底を這うような値動きとなっています‥。

4.アパルーサ・マネジメントの新規買い銘柄と総括

最後に、20年12月末から21年3月末までの間に、アパルーサ・マネジメントが新規買いした主な銘柄について見ていくことにします。

以下の表は、新規買いが行われた20銘柄を組み入れ比率の高い順に示したものになります。

ティッカー 銘柄名 組み入れ比率
CHK Chesapeake Energy Corp 2.32
VIAC ViacomCBS Inc 2.23
PSFE Paysafe Ltd 1.94
DHI D.R. Horton Inc 1.49
MOS The Mosaic Co 0.49
AR Antero Resources Corp 0.43
APA APA Corp 0.39
IQ iQIYI Inc 0.39
ETWO E2open Parent Holdings Inc 0.36
BP BP PLC 0.34
DISCA Discovery Inc 0.3
AGCB Altimeter Growth Corp 2 0.22
PRPC.U CC Neuberger Principal Holdings III 0.18
RDS.A Royal Dutch Shell PLC 0.16
LMACU Liberty Media Acquisition Corp 0.15
RDS.B Royal Dutch Shell PLC 0.15
BIDU Baidu Inc 0.14
HCICU Hennessy Capital Investment Corp V 0.11
SVFAU SVF Investment Corp 0.11
SHOP Shopify Inc 0.06

やはり、下記に示すように、エネルギー関連企業が目立ちます。

  • CHK(チェサピーク・エナジー:天然ガス探索・生産会社)
  • AR(アンテロ・リソーシズ:天然ガスの探索・生産会社)
  • APA(APA:石油・天然ガスの探鉱・生産会社)
  • BP(BP:石油・天然ガスの総合企業)、
  • RDS(ロイヤル・ダッチ・シェル:統合石油・ガス企業)

また、上述のアルケゴス事件で、VIACとともに大きく売られた、DISCA(ディスカバリー:メディア関連企業)やBIDU(百度(バイドゥ):中国検索エンジン最大手)が新規買いされていることも分かります。

直近では、WTI原油先物価格が、70ドルを超えるまでに上昇していることもあり、上記のようなエネルギー関連企業の株価は、概ね堅調な推移となっています。

そして、当面はコロナ禍の反動やインフレ懸念によって、エネルギー価格は高値圏で推移することになるかもしれません。

ただ、世界的な脱炭素社会の推進により、石油やガスなどの化石燃料から、太陽光や風力などの再生可能エネルギーへの転換を図るという流れは、株式市場のテーマにもなっています。

そういった流れから、売られ過ぎた株価の反発を狙っての買いだったのかもしれませんが、これから上記のようなエネルギー関連企業に投資するというのは、遅きに失した感があります。

一方で、アルケゴス事件で大きく売られた銘柄群は、いずれも株価が低迷しており、割安な水準にあるように思われます。

なお、ディスカバリー株は、以下のように議決権の付与が異なる3つの種類株式がNASDAQに上場されています。

  • クラスA(DISCA):1株につき、1議決権
  • クラスB(DISCB):1株につき、10議決権
  • クラスC(DISCK):議決権なし

こういった議決権の付与が異なる種類株式の発行は米国ではよく見られますが、一般の個人投資家にとって議決権というのはほとんど関係がありません。

そのため、議決権がない、あるいは少ない分だけ株価の安い株式を選ぶのが現実的な選択肢となってくるでしょう。

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