1.太陽黒点とは?
太陽黒点とは、冒頭のアイキャッチ画像にあるように、太陽表面の黒い点のように見える部分のことです。
黒点部分は、周囲よりも光が弱いために黒く見えるそうです。
また太陽黒点数は、11年前後の周期で増減を繰り返しており、この増減は太陽活動の活発さを表す指標でもあります。
以下の図は、ウィキペディアの「太陽黒点」のページにある、400年間の黒点数の推移図を転載したものです。
この図からも見て取れるように、黒点数の少なかった、1645年から1715年は「マウンダー極小期」、1790年から1820年は「ダルトン極小期」と呼ばれます。
極小期には、地球の気候が平均よりも寒冷化しますが、特にマウンダー極小期では世界各地でミニ氷河期を迎え、度重なる飢饉や疫病の発生が見られたと言います。
また上図からは、極小期ほどではないものの、1870年頃から1930年頃にかけても、太陽活動の低下した時期が見られます。
ただ、その後の1940年頃から1990年頃にかけては、太陽活動が再び活発化していることが分かります。
2.直近30年間の太陽周期
ここで、1929年以降の太陽黒点数の推移を示した以下の図をご覧ください。
この図で、一番右端の山である現在の太陽周期「第24周期(サイクル24)」は、今年2020年に終わりを迎え、次の第25周期へと移行していくとされます。
またこの図からは、第22周期(1991年頃にピーク)から、第23周期(2001年頃にピーク)、第24周期(2014年頃にピーク)へと、太陽活動が低下していっていることが見て取れます。
そして、これから迎える第25周期では、太陽活動が第24周期よりも低下するという予測もあれば、第24周期と同程度になるという予測もあるのです。
ただ、英ノーザンブリア大学のヴァレンティーナ・ザーコヴァ教授らが、2030年には97%の確率で「ミニ氷河期」に近い状況になると報告していることはとても気がかりです。
3.太陽黒点数と日経平均株価
さて、前置きはこの辺にして本題に入っていきますが、それは太陽黒点数と景気循環との間に関連性があるとする「太陽黒点説」についてです。
そして、その両者の間に関連性があったとして、やはり投資家として最も気になるのは、太陽黒点数と株価指数との関連性についてです。
そこで早速ではありますが、1929年以降の太陽黒点数と日経平均株価の推移を示したのが以下の図になります。
この図だと分かりにくいので、1975年以降に限って、主な金融危機の発生も併せて図示したのが、次の図です。
この図から、ブラックマンデーやアジア通貨危機、リーマンショックは太陽活動の低下した時期に起こっていることが見て取れます。
一方で、バブル崩壊やITバブル崩壊は、太陽活動の活発な時期に起こっています。
つまり、太陽黒点数と日経平均株価との関連性は、残念ながら無さそうだと言えます。
4.太陽周期の長期的な考察
とはいえ念のため、より長期的な視点でも考えてみたいと思います。
以下の図は、前掲した1929年以降の太陽黒点数と日経平均株価の推移図において、日経平均株価を片対数グラフで示したものです。
(なお、1929年から1949年までは、日経平均株価が3ヵ月ごとのデータしか得られなかったため、片対数グラフでは、1949年以降のチャートとなっています。)
日経平均株価を片対数グラフで示す意味としては、縦軸において、株価の変化率が同じ場合に、それを等しい目盛間隔で表現できるということです。
この具体例として、株価が100から300に変化した場合と、1000から3000に変化した場合とを比較してみます。
一般的なグラフでは、前者は200、後者は2000の変化であり、縦軸では10倍の違いで表現されます。
一方の片対数グラフでは、前者も後者も3倍の変化であるため、縦軸では同じ目盛幅で示されるというわけです。
そのため、特に長期のチャートを見る上では、片対数グラフの方が実際のパフォーマンスに即したグラフとなるのです。
そしてこの図から、1950年から1990年頃にかけての太陽活動が活発だった時期には、日経平均株価がほぼ一定の上昇率となっていたことが分かります。
さらに、太陽活動が低下していった1990年頃からは、日経平均株価は概ね横ばいであったことも見て取れます。
5.総括
もちろん、この片対数グラフによる考察も、せいぜい70年間ほどの分析に過ぎませんので、信頼性はそこまで高いとは言えません。
つまり、これから迎える第25周期で、さらに太陽活動が低下したとしても、日経平均株価が低迷するとは言い切れません。
むしろ、それよりも気になるのは、太陽活動の極小期に、火山の大噴火や飢饉、戦乱などが度々発生しているということです。
また、極小期へと向かう過程で、激しい気候変動や異常気象も予測されます。
さらには、そういった事象により、穀物などの商品市場や、ひいては世界の株式市場などにも、大きな影響が及んでくることが十分に考えられます。
それらのことは、今すぐにというわけではありませんが、そう遠い未来にというわけでもありません。
そのため、個々人が今のうちから、自分の身を守るための方法を考え、出来ることから少しずつ行動に移していく必要があるでしょう。