読書録・書評

【読書録・書評】『相場技法抜粋-相場技術論の核心-』

ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。

上掲したものはkindle版であり、Kindle Unlimitedで読み放題対象となっているため、Amazonプライム会員であれば無料で読むことができます。もちろん、以下に示すような書籍版もあります。

1.書籍の概要

まずは、本書の概要からです。

  • お役立ち度:
  • 難易度:
  • マニアック度:
  • 分類:株式投資、商品相場、売買技術

本書は、相場師として名を上げ、生涯を通じて個人投資家教育にも尽力した、林輝太郎氏による著作です。

本書は、林氏が説く相場技術論のエッセンスがシンプルにまとめられた一冊となっています。

なお、本書では、抜粋1から抜粋32まで、それぞれが数ページずつと細かく区切られ、簡潔に書かれています。

ここでは、本書の中で気になった部分や参考になった部分について、一部を抜粋しながらレビューしていきたいと思います。

2.一般投資家の誤解

本書では、一般投資家の誤解として、以下のようなことが挙げられています。

アマチュアの勉強は「研究」に偏り、経済情勢、企業業績、市場分析が主になる。

一般の人の錯覚は、「知識」によって上手下手が左右されると考えること。われわれは学者や評論家になりたいのではなく、売買が上手になりたいのだ。

一般投資家の多くは必勝法を求め、何も得られずに敗退していく。必勝法があるのなら市場が成立しないのだから、当然のことだ。

また、次のような記載もあります。

長い間この社会にいて多くの人を見てきたが、生き残っている人、成功した人はすべて技術論者であり、「勝負!」と意気込んで売買するような人や、出動時期の決定を自分自身の意思ではない何か(例えばニュースや材料)に依存するような人は、儲かってもほんの一時的なものですぐに消えてしまった。

「成功した人はすべて技術論者であり、」と書かれているように、プロの勉強は「習得」に分類されるもので、価格の波のとらえ方、波乗りの練習、建て玉の操作と処置、資金管理の方法などを覚えることが主眼だと言うのです。

3.売買技術を向上させるために

そして、売買技術を向上させる上で大切になってくることとして、次のようなことが挙げられています。

量より質であり、浅く広くより狭くても水準を高くするのが上達への正しい道である。「ひとつ」のことだけをやるのが早道なのである。

「自分なりにできる」でも「ひとつの方法」でも、何かをつくろうと思ったら、まずは机上の空論でいいから考え方の骨子を定め、大筋の主要なルールを決めてみるといい。そして、他人に批判してもらい(すぐに欠陥が見つかる)、実行してみる(必ず不備なところが出てくる)ことが必要である。完成には手間がかかるが、その手間が上達のステップを見ることに通じるのだ。

また、売買を行っていく上で必須となる道具についても、次のように書かれています。

専門家が長い間、実際に使用し仕事用に改良し尽くした道具と方法には、最高水準の効用がある。それをアマチュアが興味本位に改良したってバカげた結果を生むだけだし、一見便利そうなアマチュア向けの道具を使うのは、もっとバカげた結果を生む。

「場帖がなければすべては始まらない」といわれる。日々の終値をつける場帖、そして自分の売買方式に適したグラフが技術を身につける基である。毎日、場帖をつけたり、グラフを描くことから始めてほしい。

チャートブックやパソコンのディスプレイでは絶対にダメだ。すべて手描きで、縦横の比率を常に一定させ、変動感覚を正しく刺激するものでなければならない。

4.売買の種類

売買の種類としては、「片張り」、「ツナギ」、「サヤ取り」の3つに大きく分類されており、それぞれについて次のように説明されています。

  • 片張り:下げを狙って売りから入る、または上げを期待して買いから入る、の2種類。
  • ツナギ:売りツナギ、買いツナギの2種類があり、現物を手持ちしていることや事業活動のリスクを回避するために行う「保険」である。また「コスト・ダウン」の目的で行われたり、「うねり取り」の売買の中でも行われる。
  • サヤ取り:いわゆる裁定取引で、常に売りと買いを同時に建て同時に決済するから、売り買いの面では分類できない。サヤ取りの対象となるサヤ(値の開き)は、市場間、銘柄間、限月間など多岐にわたる。

また、「片張り」については、以下のような記載も付け加えられています。

片張りにおいても、単に強気の見込みだから買うというだけでなく、ためし玉を駆使したり分割売買を行うことで目的を達成しようとする。分割についても等分割と不等分割に分類できるし、危険避けながら最大の利益を実現するために玉を立てるタイミングを考える。

多くの人は「一発必中の買い」しかやらないが、分割売買こそが売買技法の第一歩になると言っているのです。

5.専門を持つことの重要性

本書では、専門を持つことの重要性についても言及されています。

そして、ひとつの方法だけを守るというのは、そこに欠点が含まれていることを容認する必要があるとのことで、次のように書かれています。

欠点を補って余りある長所を持つから方法として成り立っているわけで、考え方からやり方まで一貫している中に、全体として大きな特色を持つことになる。

一貫していようが歴史があろうか必ず欠点を含んでいるという現実を認めずに、欠点のない方法を探求しようとしたり、創作しようとするのが間違いである。そういう間違いに気がつかない人がせっかくの頭脳をムダ使いして、当てもの売買に走るのだ。

6.相場の流儀

さらに本書では、世界中でプロや成功した人たちに実行されている相場の流儀についても触れられています。

これは、前述した「売買の種類」と重なる部分も多いのですが、「うねり取り」、「銘柄の範囲を限定した売買」、「ツナギ・サヤ取り」の3つに大きく分類され、それぞれについて次のように説明されています。

  • うねり取り:代表的な銘柄やブルーチップといわれる銘柄などを対象に、ほとんどは1銘柄だけの売買を続ける。日本では明治時代から新東と呼ばれた現在の平和不動産や、三菱重工などが対象だ。自宅に時々来る筆者と同じくらいの年齢の相場師は、1945年(昭和20年)から60年以上、平和不動産1銘柄のみの売買で一家を養い、十数億円の資産をつくった。
  • 銘柄を限定した売買:『プロが教える株式投資』を書いた板垣氏の「建設株限定」やFAIの「低位株投資」のような、業種別、あるいは種類別の売買。
  • ツナギ・サヤ取り:サヤすべり、銘柄間サヤ取り、市場間サヤ取りなど、ヘッジの手法を取り入れた売買。

また、「うねり取り」については以下のような記載も付け加えられています。

同じうねり取りでも、3か月・6か月周期を狙った長期のものから、リズム取りといわれる5日や1週間くらいの短期売買まであるように、細かく見ればさらに多く分類でき、それぞれに特質がある。

そして、ここでも最後に専門を持つことの大切さについて述べられています。

世の一般の仕事でも「専門を持つ」ことが大切なように、相場の流儀や方法でも高い水準に行くためには、やはり専門を持たなければならない。「専門は強い」のである。

だから「あれをやったりこれをやったり」はいけないし、「ついでにこれも」もいけない。サヤ取りをやりながら早耳情報でお宝銘柄を買うなんて、とんでもないことだ。自分で自分をダメにしていくだけである。

7.総括

本書では、『相場技法抜粋』というだけあって、相場技法のエッセンスが各項目ごとに短くまとめられています。

林氏の書籍はページ数の多いものがほとんどですが、本書はページ数も少なく、各項目も数ページほどであるため、サッと読むことが可能です。

そういったことから本書は、林氏の他の書籍を読む前の導入として、あるいは他の書籍に書かれていることのエッセンスを一通り振り返るためのものとして、最適な書籍ではないかと思われます。

 

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