読書録・書評

【読書録・書評】『うねり取り入門―株のプロへの最短コース』

ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。

1.書籍の概要

まずは、本書の概要からです。

  • お役立ち度:
  • 難易度:
  • マニアック度:
  • 分類:株式投資、商品相場、売買技術

本書は、相場師として名を上げ、生涯を通じて個人投資家教育にも尽力した、林輝太郎氏による著作です。

本書では、昔から相場のプロたちによって行われてきた売買手法である、「うねり取り」について書かれています。

なお、本書の章立ては、以下のようになっています。

  • 第1部:まず成功者を見よ
  • 第2部:なにをどうするのか
  • 第3部:統計と現実
  • 第4部:自立への討論

ここでは、本書の中で気になった部分や参考になった部分について、一部を抜粋しながらレビューしていきたいと思います。

2.「うねり取り」と銘柄の選択法

「うねり取り」とは、銘柄固定継続売買のことです。

この銘柄固定というのは、売買の対象を一銘柄や数銘柄に限定するということです。

その際に選択する銘柄としては、業績が安定していて、出来高が大きく、突飛な動きをしないものがよく、その理由として次のように書かれています。

変動はファンダメンタルズでなくテクニカルズを主とした動きですから、値動きの変動周期が極端にいえば一定しているといえるほどわかりやすいですし、だから取りやすいのです。

また、次のようなことも書かれています。

この社会で成功し、資産を築きたいならば、①品薄仕手株、②二部・店頭株、③新規公開株、④テーマ株・人気株、⑤信用買い、をしてはいけない。

これらを踏まえた上で、複数の銘柄の場帖やグラフを作成し、その中から、どれが儲かるかという選び方でなく、どの銘柄の動きが気に入ったか、努力を長く続けられそうか、で選ぶべきだと言うのです。

そして、この銘柄を限定するということに関して、筆者は次のような理由から、相場社会に入ってから30年以上も、有望銘柄を選別して買う方法で利益を得られるはずはないと思っていたと書いています。

それはもちろん、有望銘柄を選別する「材料」と「資料」は、たとえば業界新聞、「四季報」など全ての人に平等に与えられた条件であり、またあらゆる人が努力を傾注して「上がる株」を探している中で、自分ひとりが有利な立場を得られるはずがない、という、昔から、そして今後も生き続ける明快な、この社会の常識によってである。

3.「うねり取り」のやり方

うねり取りは、昔から相場のひと波動は「三月またがり60日」といわれるように、約3ヵ月またはその整数倍の上げ下げを取って利益をあげる、というやり方になります。

そして、3か月(または6か月)の上げ相場のうち、自信を持ち安心して取れる1か月でも2か月でも取ってあとは休む、と書かれています。

一般投資家の先入観とは異なり、常に売買していたり、大量に売買していたりするというわけではないのです。

うねり取り成功のコツは休みを入れる(売買に区切りをつける)ことなのである。

とあるように、休みを入れることの重要性についても、本書では繰り返し触れられています。

また、プロは、資金的にも相当の余裕を見ていて、例えば、預けてある資金のうちの二分の一から三分の一くらいしか株を買っておらず、最高に建てて資金の半分くらいまで、ということも書かれています。

4.「うねり取り」の実践

うねり取りでの利幅に関しては、次のような記載があります。

現実の厳しさ、また自分の腕(実力)を考えれば、一年の延べ変動幅の三分の一も取れれば大成功のはずなのである(プロこそ安全を考えるから三分の一以下)。

つまり、三か月ごとの天井や底を狙う必要は全くないのです。

まずは、二分割売買を辛抱強く続けることによって、分割、ナンピン、乗せ、といった、波乗りの基礎を身につけることです。

それによって、分割回数の増加、株数の増加ができるようになり、株数を増加させることによって利益が増加して生活していけるようになるのです。

また、この株数については、「うねり取りで生計を立てている、いわばプロは筆者の知る限り3万株~10万株である。」と書かれています。

5.総括

本書では、決して特別というわけではなく、またやさしいやり方でもある、「うねり取り」について書かれています。

うねり取りは、銘柄を一つまたは少数に固定して、単純で地味な売買を、淡々と繰り返し行う手法になります。

一般投資家のやり方はあまりにも複雑であるのに対し、プロのやり方というのは意外に単純なものなのです。

それは、単純なやり方の方がミスが少ないからでもあるのですが、これは言い換えると、単調で退屈なものでもあるということです。

そのため、一般投資家でこれを真似する人というのはほとんどいません。

これは、一般投資家の相場に対する誤解によるところも大きいのですが、本書ではそうした誤解が、アマチュア投資家とプロ投資家たちとのやり取りなどを通じて描かれています。

それこそ著者自身が言うように、くどいくらいの説明がなされていますが、それでも理解してもらえないことがあると言います。

さらには、本音を言うと、ひどく反発されるたり、批判されることもあるそうです。

ですから、本書の内容は、人によっては耳の痛いものかもしれません。

ですが、本書の内容に素直に耳を傾けることができれば、プロとアマチュアの本質的な違いや、プロはどのような考え方でどのような売買をしているのか、などといったことがきっと理解できるはずです。

 

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