ここでは、日経平均株価をドル建てや東証1部時価総額という観点から見ていきたいと思います。
まずは、ドル建ての日経平均株価についてです。
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1.ドル建て日経平均株価
そもそも、なぜ日経平均株価をドル建てで見るのかということですが、それは日本株における海外投資家の影響が大きいためです。
売買金額に占める海外投資家の割合は60%を超えており、彼らは日経平均株価をドル建てで見ているのです。
実際、日経平均株価は10月初めからそれまでのレンジを超えて大きく上昇していましたが、海外投資家は10月の第1週から第4週までの間に約2.2兆円と大幅に買い越していました。
なお、11月に入ってからの海外投資家は、第1週と第2週の合計で約1100億円と買い越し額が大幅に縮小しています。
それでは、ドル建て日経平均株価の推移を見ていきます。
ドル建て日経平均株価と日経平均株価(1971年1月~)
この図を見ると、バブル期を除いて、ドル建て日経平均株価は赤い点線で示した200ドル前後が上値抵抗線(レジスタンスライン)となっています。
直近では、ドル建て日経平均株価がその200ドル水準にまで上昇していますが、上述した海外投資家の売買状況と併せてみても、この水準を大きく超えるような上昇は望みづらいのではないかと思われます。
2.東証1部時価総額と株価指数
次に、日経平均株価を東証1部時価総額と比較してみます。
東証1部時価総額と日経平均株価(1981年1月~)
この図からは、東証1部時価総額ほど日経平均株価が上昇しておらず、その差も少しずつ広がっていっているように見えます。
これは、日経平均株価が、指数構成銘柄の株価を平均した単純平均に近いものであって、時価総額を加味した加重平均ではないことによるのかと思い、東証1部時価総額をTOPIXとも比較してみました。
TOPIXは、東証1部上場全銘柄を対象とした時価総額加重平均型の株価指数であるためで、それが以下の図になります。
東証1部時価総額とTOPIX(1981年1月~)
すると、この図からも明らかなように、TOPIXにおいても日経平均株価と比較したときと大して変わりありませんでした。
3.日経平均株価構成銘柄の東証1部占有率
また、参考までにですが、日経平均株価構成銘柄の時価総額合計が、東証1部時価総額に占める割合の推移を示したのが次の図です。
日経平均株価構成銘柄の東証1部占有率(2004年9月末~)
この図からは、2013年の夏頃より、東証1部占有率が低下していっているのが見て取れます。
その間、日経平均株価構成銘柄の時価総額合計は上昇していっているにも関わらずです。
これはつまり、東証1部における日経平均株価採用銘柄以外の銘柄の存在感が高まっていると言えそうですが、実は一概にそうとも言い切れません。
4.東証1部上場企業数と東証1部時価総額
それは、東証1部上場企業数の推移を見てみると分かりますが、その東証1部上場企業数と東証1部時価総額の推移を示したのが以下の図になります。
東証1部時価総額と東証1部上場企業数(1990年12月~)
この図を見ると、東京証券取引所と大阪証券取引所が現物株市場を統合した2013年7月16日頃から、上場企業数の増加するペースが増していることが分かります。
また、それに伴って東証1部時価総額も増加していっています。
そして、この2013年7月というのは、日経平均株価構成銘柄の東証1部占有率が著明に低下し始めた時期とも一致します。
ですから、東証1部時価総額の推移と日経平均株価やTOPIXの推移との間の乖離が広がっていっているように見えるのは、ただ単に東証1部上場企業数が増加し、それに伴って東証1部時価総額も増加しているからに過ぎないということなのです。
つまり、東証1部時価総額と日経平均株価との乖離に何か特別な意味があるというわけではありません。
ただ、東証1部時価総額が、バブル崩壊前やリーマンショック前の水準である600兆円弱を、直近で上回ってきているというのは事実です。
そういったことから、東証1部時価総額の今後の推移には注意を払っておきたいところです。