1.世界の名目GDPと世界の株式時価総額
バフェット指数で相場の天底を見極める!のところで、日本の名目GDPと株式時価総額から株式市場の情勢をはかるバフェット指数について書きました。
バフェット指数では、バフェット指数が100を超えてくる、すなわち株式時価総額が名目GDPを超えてくると、市場は過熱圏にあるという見方をしました。
そして、ここでは日本やアメリカなどといった国単位ではなく、世界の合計という観点から、バフェット指数のときと同様に名目GDPと株式時価総額とを比較していきたいと思います。
なお、世界計の名目GDPについては、IMF(国際通貨基金)の統計数値を、世界計の株式時価総額については、世界WFE(国際取引所連合)の統計数値を用いています。
2.世界計の株式時価総額の見方
では早速ですが、世界計の株式時価総額と名目GDPの2004年1月以降の推移を表したのが以下の図になります。
(世界計)時価総額と(世界計)名目GDPの推移(2004年1月~)
この図からはいくつか読み取れることがありますので、左から古い順に見ていきたいと思います。
まず、2007年の春頃から年末にかけて、株式時価総額が名目GDPを超えています。
その後、株式時価総額はピークアウトして、2008年9月のリーマンショックで大きく下落しています。
次に、2011年の5月中に名目GDPの水準にまでは届いていないものの、株式時価総額がピークを打っています。
その後、2011年8月には米国債ショックがありました。
これは、8月5日にアメリカの格付け機関であるS&Pが、米国債の格付けを引き下げた(AAAからAA+に)ことによるもので、世界の株式市場が影響を受けました。
そして、2015年の6月には、株式時価総額が名目GDPの水準にあと一歩のところまで迫っており、そのすぐ後の2015年8月の中国ショックによる世界同時株安がありました。
最後に、直近において株式時価総額が名目GDPを上回ってきていることが分かります。
3.世界計の株式時価総額の考え方
以上のことから、次のようなことが言えそうです。
- 株式時価総額が名目GDPを超える水準では、相場の調整に注意が必要。
- 日本やアメリカなどの株式市場が調整する前に、世界計の株式時価総額がピークアウトする傾向がある。
このうちBについては、仮説ではありますが、先進国の株式市場が調整する前に、まず新興国の株式市場から資金が引き揚げられることによって、世界計の株式時価総額が下落するということが考えられます。
それにより、世界計の株式時価総額が金融危機の先行指標として使える可能性があるということです。
そして、直近では株式時価総額が名目GDPを上回っており、この株式時価総額のピークアウトには今後、注意を払う必要がありそうです。