相場のデータ・指標

【2023年3月】「日経平均株価」のデータ分析(PER・PBR、海外投資家売買動向、日銀ETF買い入れ、ドル建て日経平均、信用評価損益率、騰落レシオ)

ここでは、直近の「日経平均株価」について、PER・PBR、海外投資家売買動向、日銀ETF買い入れ、信用評価損益率、騰落レシオといった観点から見ていきたいと思います。

なお、各指標に関しては、以下の記事でそれぞれ詳しく解説していますので、よろしければご参照ください。

1.PER・PBR

まず、日経平均株価に採用されている企業の平均PER(株価収益率)についてです。

この平均PERと日経平均株価の値から、平均EPS(一株当たり当期純利益)を求め、その平均EPSに13~17の数値を掛け合わせて、PER 13~17倍に相当する株価の推移を日経平均株価とともに表したのが以下の図になります。

23年3月までの日経平均株価とPER13~17倍相当株価の推移を示した図

なお、この図の2020年5月以降では、新型コロナウイルスの影響により、業績予想の開示を見送る企業が相次いだため、日経の予想が作成されるまでの間、利益をゼロとして平均PERが算出されていました。

そして直近では、日経平均株価はPER 13倍前後での推移となっています。

次に、平均PBR(株価純資産倍率)についてです。

PERと同様に、平均PBRと日経平均株価から平均BPS(一株当たり純資産)を求め、そこから導き出したPBR 1~1.5倍に相当する株価の推移を日経平均株価とともに示したのが以下の図になります。

23年3月までの日経平均株価とPBR1~1.5倍相当株価の推移を示した図

平均PBRは3月29日大引けの時点で、1.17倍となっています。

なお、3月29日大引けの時点で、平均PBR 1.1倍相当が26216円、平均PBR 1.2倍相当が28599円となっています。

2.海外投資家の売買動向・日銀のETF買い入れ

次に、投資部門別売買状況(投資主体別売買動向)から、海外投資家の売買動向について見ていきます。

海外投資家の売買代金の差引き金額を累計したものの推移を、日経平均株価とともに示したのが以下の図です。

23年3月までの海外投資家の売買動向と日経平均株価の推移を示した図

この図から、ここ最近まで海外投資家の売買動向は、売り越し傾向が続いていることが見て取れます。

また、日銀のETF買い入れについても見ていきます。

ここでは、「設備投資・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」の株式を対象としたETFを含む、日銀の買い入れている全てのETFの累計額を見ていきます。

この日銀によるETF買い入れ累計額と日経平均株価の推移を示したのが以下の図です。

23年3月までの日銀ETF買い入れ累計額と日経平均株価の推移を示した図

この図から、日銀のETF買い入れは、2021年4月より大きくペースダウンしていることが分かります。

さらに、日銀のETF買い入れ累計額と海外投資家の累計売買金額とを合計したものの推移を、日経平均株価とともに示したのが以下の図になります。

23年3月までの日銀ETF買い入れ累計額と海外投資家の累計売買金額との合計と日経平均株価の推移を示した図

この図から分かるように、両者を合計したものは、日経平均株価と非常に強い相関を認めています。

ちなみに、海外投資家から見た日経平均株価である、ドル建て日経平均株価は次のようになっています。

23年3月までのドル建て日経平均株価の推移を示した図

ドル建て日経平均株価では、長らく上値抵抗線となっていた225ドルを大きく下回った後、直近では200ドルを超えての推移となっています。

3.信用評価損益率

続いて、信用評価損益率を見ていきます。

以下の図は、信用評価損益率(2市場(東証と名証))と日経平均株価の推移を示したものです。

23年3月までの信用評価損益率と日経平均株価の推移を示した図

一般に、信用評価損益率では、「-3~0%以上で天井圏」、「-15~-20%以下で底値圏」という見方がされます。

信用評価損益率は、直近の3月17日時点では、-10.9%となっています。

4.騰落レシオ

最後に、25日騰落レシオについても見ていきます。

騰落レシオの推移を日経平均株価とともに示したのが以下の図になります。

23年3月までの騰落レシオと日経平均株価の推移を示した図

騰落レシオは、3月29日時点で117.2と天井圏近くでの推移となっています。

5.総括

日経平均株価は、23年初めに26000円を割った後は、上昇基調となっていました。

米シリコンバレーバンクの破綻などを受けての急落もありましたが、直近では戻りを見せています。

ただ、これを受けた金融システムへの不安は、当面はくすぶり続けると思われ、予断を許さない状況であると言えます。

一方、日本国内でもインフレ率が高まっており、4月には日銀総裁が交代となります。

それにより、年内にはイールドカーブ・コントロール(YCC)政策の修正やマイナス金利政策の解除が行われる可能性がありますが、欧米に比べて緩和的な金融環境が続くことには変わりなさそうです。

そして、日本の経済や企業業績は堅調さを保っており、日本株は欧米と比較しても割安なことから、海外投資家が大きな買い越しに転じることも期待できるのではないでしょうか。

また、少し先の話にはなりますが、24年1月からは新NISAが始まり大幅に拡充されることから、国内投資家からの資金流入も期待でき、バブル崩壊後の最高値を更新するのは時間の問題ではないかと考えています。

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