投資戦略・手法・市場展望

米国株一辺倒の投資は正しいのか?

1.若い世代の投資ブーム

ここ最近、20~30代の若い世代を中心に、投資に関心を持ったり、実際に投資を開始したりする人が増えてきています。

この背景には、2019年に話題となった「老後2000万円問題」(老後資金には年金以外に2000万円が必要になるというもの)があると思われます。

また、1990年のバブル崩壊から、30年超が経過して世代交代が進み、株式投資に対するネガティブなイメージが払拭されつつあるということも挙げられそうです。

2.推奨される金融商品

さて、問題は若い世代がどのような金融商品に投資しているのかということです。

その商品というのは、主に米国の株価指数(S&P 500など)に連動するインデックス投信で、それにドルコスト平均法で積立投資をしているのです。

そして、若い世代に限らず、金融の専門家たちの中でも、米国株を推奨している人は少なくありません。

確かに米国株のパフォーマンスは、日本株と比較してみると、突出しています。

一方で、世界に目を向けると、米国以外にも、欧州やオセアニア、南米、アフリカなど、多くの国の株価指数が投資対象として存在しています。

3.主要国の株価指数

ここでは実際に、主な先進国および新興国の株価指数の推移を見ていくことにします。(2004年3月末を100としています。)

なお、見やすくするために、先進国と新興国で分けてグラフを載せていますが、比較のため縦軸は同一のスケールとしています。

主な先進国の株価指数の推移を示した図

主な新興国の株価指数の推移を示した図

すると、米国以外にも優れたパフォーマンスを示している株価指数がいくつかあることが分かります。

とはいえ、上図における株価指数は、S&P 500とRTSのみドル建てで、その他は全て現地通貨建てであることから、本来は全てドル建てにして比較する必要があります。

全てドル建てにしての比較はまたの機会に譲ることとしますが、少なくとも独DAXに関してはS&P 500と比較して遜色ないパフォーマンスを上げていることは確かです。

また、2020年の世界の株価指数上昇率の上位5市場は、次の通りです。

  1. イラン
  2. ネパール
  3. ナイジェリア
  4. デンマーク
  5. 韓国

なお、このランキングにおいて、日本は8位、中国は10位となり、米国は15位以内にも入っていませんでした。

このように、意外な国の株価指数が大きく上昇するのは珍しいことではなく、また当然ですが、事前にどの国の株価指数が上がるかを予測することはできません。

4.米国株のリスク

上記のことから、米国株にだけ投資しておけば間違いないという考えは早計だと言えそうです。

もちろん、米国には世界を代表するようなグローバル企業がいくつもあり、米国株式市場もGAFAMをはじめとしたハイテク企業によって牽引されています。

ただ、GAFAMは巨大であるがゆえに、反トラスト法(独占禁止法)によって、企業分割の対象となるリスクが高まっているのも事実です。

しかも、米国の株価指数上昇の多くは、GAFAMによって生み出されたものでもあるため、もし仮にそういったことになれば、株価指数への影響も大きなものとなることが予想されます。

また、そうでなくても、これまで長期にわたって上昇し続けてきた米国株式市場は、既に高値圏にあることは間違いありません。

5.米国株VS世界株

以上で言いたかったことを簡単にまとめると、次のようになります。

  • その年によって、どの国の株価指数が良いパフォーマンスを上げるかは事前に分からない。
  • 米国株は今後も成長を見込めるかもしれないが、リスクも高まっている。

そこで、米国株だけに投資するのではなく、世界全体、つまり世界株に投資する方が良いのではないかと考えています。

ちなみに、以下の図は、1987年末を100とした、世界株(ACWI)と米国株(S&P 500)の推移を示したものになります。

世界株と米国株の推移を示した図

この図だけを見ると、S&P 500がACWIに対して大きくアウトパフォームしているため、ACWIよりもS&P 500に投資した方が良いように思えます。

ところが、次の図のように、ACWIをS&P500で除したものの推移を見ると、話が変わってきます。

世界株の米国株に対する優位性の推移を示した図

この図から分かるように、2000年代は概ね世界株の方が優位となっていたのです。

そして、2010年代は米国株が優位となっていましたが、これが再び反転して世界株優位となる時期はそう遠くはないように思われます。

ですから、これから積立投資などを始めるのであれば、世界株(といっても、米国株が5~6割ほどを占めます)を投資対象とするのが良いのではないでしょうか。

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