投資戦略・手法・市場展望

「米国株VS世界株」と「米国株VS先進国株」

1.米国株VS世界株

前回の記事(「米国一辺倒の投資は正しいのか?」)では、米国株VS世界株として、S&P 500とACWI(MSCIオールカントリーワールドインデックス)を比較しました。

まずは、それを再掲したいと思いますが、以下の図は、1987年末を100とした、ACWIとS&P 500の推移を示したものになります。

世界株と米国株の推移を示した図

そして、ACWIをS&P 500で除したのが次の図です。

世界株を米国株で除したものの推移を示した図

この図から分かるように、2000年代のように、世界株の方が米国株よりも概ね優位だった時期があったということでした。

2.米国株VS先進国株

ただ、上図では、ACWIのヒストリカルデータの都合上、1987年末からの推移となっています。

一方で、さらに調べていくと、先進国株でヒストリカルデータであれば、1969年末まで遡れることが分かりました。

なお、世界株よりも先進国株の方で長期のヒストリカルデータが得られたのは、世界株の指数算出に用いられる、新興国の株価指数が関係しているものと思われます。

また、先進国株の指数として用いているのは、MSCI World Indexになります。

そして、1969年末を100とした、S&P 500とMSCI World Indexの推移を示したのが以下の図です。

先進国株と米国株の推移を示した図

さらに、MSCI World IndexをS&P 500で除したものの推移が次の図になります。

先進国株を米国株で除したものの推移を示した図

この図からも、2000年代は先進国株の方が米国株よりも概ね優位だったことが分かります。

しかしそれ以上に、70年代の後半や80年代の後半には、先進国株の方が米国株よりも大きな優位性を持っていた時期があることが見て取れます。

3.総括

このように、先進国株と米国株の推移を比較してみても、やはり米国の株価指数連動型の商品だけに投資するのは、下策となる可能性があると言えそうです。

特にここ10年ほどは、米国株だけに投資していた方が良い結果が得られていましたが、今後もずっとそうであるとは言い切れません。

そのため、米国株よりは先進国株、先進国株よりも全世界株に投資しておくのが手堅い戦略となるでしょう。

その年によって、どこの国の株価指数が上昇するかというのは、誰にも事前には分からないからです。

当然ですが、年によっては、米国以外の先進国や新興国の株価指数が大きく上昇することがあり得るわけです。

そうした場合にも、あらかじめ世界株に投資しておけば、どの国の株価指数が上昇したとしても、程度の差こそあれ、その恩恵に与ることができるのです。

米国株一辺倒の投資は正しいのか?前のページ

「Sell in May(5月に売れ)」を日経平均株価とS&P 500で検証!次のページ

関連記事

  1. 投資戦略・手法・市場展望

    米国の連続増配株や高配当株の注意点

    この記事では、米国の連続増配株や高配当株のランキング上位を見ていきなが…

  2. 投資戦略・手法・市場展望

    農作物と株価指数、長期金利の長期推移を比較してみよう!

    この記事では、農作物価格とS&P500、米長期金利、金価格の長期推移を…

  3. 投資戦略・手法・市場展望

    オプション取引① コールとプット

    この記事では、オプション取引の概要や、コールとプットについて書いていま…

  4. 投資戦略・手法・市場展望

    大きく調整している「金(Gold)」は買いか?

    この記事では、足元で大きな調整を見せている金価格の今後について考察して…

  5. 投資戦略・手法・市場展望

    台湾やレアアースを巡る、米中ハイテク摩擦

    この記事では、米中ハイテク摩擦のカギとなってくる、台湾およびレアアース…

電子書籍(3冊全て、Amazonランキング1位獲得)

「マーケットの魔術師」ならぬ「マーケットの詐欺師」

精神科医が暴く金融業界の裏側

 

勝者の心構え

精神科医が看破する投資の本質

 

 

 

この心理的罠からあなたは逃れられるか

精神科医が洞察する投資家心理

 

  1. 株式取引履歴

    【2024年12月末】保有株式(日本株・外国株)と平均取得単価
  2. 投資戦略・手法・市場展望

    3万円を超えた日経平均株価と個別銘柄
  3. 株式取引履歴

    【2024年1月末】保有株式(日本株・外国株)と平均取得単価
  4. 投資戦略・手法・市場展望

    「米国株VS世界株」と「米国株VS先進国株」
  5. 相場のデータ・指標

    ケン・フィッシャー氏率いるフィッシャー・インベストメンツの最新ポートフォリオ(2…
PAGE TOP