投資戦略・手法・市場展望

リスクパリティ戦略は転機を迎えているか?

1.リスクパリティ戦略とは?

年金や金融機関などの機関投資家、ヘッジファンドなどのポートフォリオ運用では、毎年見直されたりはするものの、基本的にはあらかじめ決められた資産配分に基づいて運用が行われます。

簡易的な例を挙げれば、「株式に70%、債券に30%」といった具合です。

それに対し、リスクパリティ戦略では、各資産のリスク(=ボラティリティ=標準偏差)に応じて配分比率が決定され、市場の値動きに合わせて比率の調整もなされます。

一般に、株式の方が債券よりもリスクが大きいため、リスクパリティ戦略では例えば、「株式に30%、債券に70%」といったような資産配分となるのです。

2.世界中で採用されるリスクパリティ戦略

このリスクパリティ戦略は、世界中の機関投資家などに採用されており、その運用資金も巨額に上り(40兆円以上)、近年では、市場への影響力も大きくなっているほどです。

その理由は、もちろん過去のパフォーマンスが優れていたためです。

ただ、過去といってもそれほど長期にわたるものではなく、せいぜい2000年代初頭のITバブル崩壊や、2008年のリーマン・ショックが含まれる程度の期間になります。

リスクパリティ戦略では、こうした金融危機を浅い傷で乗り切ることで、他の戦略と比べてトータルでのパフォーマンスが優れたものになるというものなのです。

というのも、リスクパリティ戦略では、株価の下落によってボラティリティが高まるにつれて、株式の比率を下げていくため、その後の下落による損失が小さくなっていくからです。

一方で、2020年3月のコロナショックのように、短期間で急落し、その後すぐに急回復するようなパターンでは、機能しづらいと言えます。

これは、株価の急落に応じて株式の比率を下げていた状態で、その後に株価が急回復してしまうと、その上昇に乗り遅れてしまうためです。

3.リスクパリティ戦略の問題点

そして、リスクパリティ戦略で運用される資金が巨額なものであるがゆえに生じる問題もあります。

それは、株価の下落幅を増幅させてしまうというものです。

株価が急落してボラティリティが高まると、多くのファンドが株式の比率を減らし、それによってさらに株価が下落して、株式の比率もさらに減らされるといった、負のスパイラルに陥ってしまうのです。

4.リスクパリティ戦略の今後

2008年のリーマンショック以降、金融危機のような大きな株価暴落は起きていません。

そのため、近年におけるリスクパリティ戦略のパフォーマンスは冴えないものになっていることが予想されます。

というのも、リスクパリティ戦略ではどうしてもボラティリティの低い資産、特に国債に資金が集中することが多くなります。

そして昨今のように、各国中銀の金融政策により、世界的に超低金利となっている状況下では、特に先進国の国債はリターンもリスク低減も大して期待できないと言えます。

そうした背景もあってか、2020年9月には、レイ・ダリオ氏が率いる超一流のヘッジファンドであるブリッジウォーターが、従来のリスクパリティ戦略を見直すことにしたと報じられています。

このブリッジウォーターの方針変更を皮切りに、リスクパリティ戦略は曲がり角を迎えることになるのではないかと考えています。

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