1.日本の不動産市場が過熱し始めた!?
約1ヵ月前になりますが、10/16付けのダイヤモンドオンラインに『「不動産バブル」が日本で起きる可能性が高い理由』という記事がありました。
それによると、日米欧の大規模な金融緩和が行われる中で、コロナによる経済的打撃が相対的に低く、空室率が低くて割安感のある、日本の不動産を物色する動きが活発化しているとあります。
世界的に見ても相対的に割安感のある日本の不動産が、国内・海外マネーの標的になる可能性があると言うのです。
また、90年バブル期やリーマン前のプチバブル期には不動産の買いが買いを呼び、得られる賃料を勘案すると利回りがマイナスとなってしまう価格帯での取引が散見されたとも書かれています。
そして、この記事では、不動産や株式などのリスク資産の上昇を契機とした90年代のようなバブルが発生する可能性は高いと締め括られています。
2.不動産市場を下支えする政府と日銀
そのように、日本の不動産市場の一部が過熱し始めた要因は、国内外からの投資マネーの増加だけではありません。
日本政府や日銀が不動産市場を下支えしているのです。
具体的には、コロナの影響で収入が減った個人事業主などを支援する家賃支援給付金だったり、日銀によるREIT(不動産投資信託)の買い入れといったものになります。
3.東証REIT指数は相対的に弱い
ここで、東証REIT指数の推移を見てみます。
すると、本日11/17の日経平均株価は26000円を超えて引けるなど、株式は強い値動きを見せているのに対し、東証REIT指数はほぼ横ばいの値動きが続いています。
さらに、国内の各種REITの値動きを比較してみることにします。
具体的には、以下の5銘柄になります。
- 東証REIT指数連動型上場投信(1343)
- 上場インデックスファンドアジアリート(1495)
- 米国リート ETF(1659)
- 外国REIT・S&P先進国REIT指数(除く日本・為替ヘッジなし)(2515)
- 上場インデックスファンド豪州リート(1555)
これらのコロナ前後から現在に至るまでの推移を示したのが、以下の図です。
もちろん、国によってREITを構成する、オフィスや物流などといった用途が大きく異なってくるため、本来であれば単純には比較できません。
それでも、各種REITの値動きが似通っていることもあり、あえて比較してみると、なんと東証REIT指数だけ、他の各種REITの直近の上昇に付いていけていないことが見て取れます。
4.東証REIT指数の今後の見通し
となると問題は、東証REIT指数は果たして買いなのかどうかということです。
よく不動産価格は株価に半年から1年ほど遅行すると言われたりします。
その要因としては、不動産は流動性が低く、その取引が完了するまでにも時間がかかることなどが考えられます。
そう考えると、株価が今後も堅調な推移を続ければ、不動産価格も上昇していくことが予想されます。
現状、J-REITの分配金利回りは4%台半ばとなっており、日経平均株価の配当利回りが1.7%台にまで低下していることを考えると、イールドハンターによるREITの物色がいつ始まっても不思議ではありません。
ポートフォリオのごく一部を東証REIT指数に振り向け、分配金を受け取りながら、価額の上昇を待つというのもアリかもしれません。