1.S&P500は、ITバブル以来の高PER
今回は、主に米国債についてです。
ここでは、The Wall Street Journalの10/15日付けの記事「Cash Isn’t Trash Compared to Stocks and Bonds」より、一部を抜粋しながら述べていきたいと思います。
まずこの記事では、S&P 500における予想株価収益率(予想PER)は約22倍となっており、このPERはITバブル以来の高水準にあると書かれています。
ただ、前回(『イールドスプレッドから見た米国株(S&P 500)』)書いたように、S&P 500の年初来のパフォーマンスはGAFAMの5銘柄によって引き上げられているに過ぎません。
さらに、GAFAMの5銘柄だけで、S&P 500の時価総額に占める割合が2割程度にも達するのです。
そういったことから、GAFAMに関しては、もしかしたらバブル状態にあると言えるのかもしれません。
2.値上がり余地に乏しい米国債
そして上述の記事では、0.7%台と過去最低に近い、10年債利回り(長期金利)についても言及されています。
こうした低い長期金利というのは、将来的な低インフレ・低成長の環境を前提としているわけですが、仮に経済不安が深刻化して、長期金利がゼロになってしまったとします。
その場合、長期米国債の価格はわずか7%程度しか上昇しないと言います。
一方、何らかの理由で経済が好転し、長期金利が2.5%にまで上昇したとすると、長期米国債の価格は約16%下落することになると言うのです。
3.債券はもはや保守的な投資先ではない
つまり、ハイテク株だけでなく、長期米国債もかなりの高値圏にあるということです。
また、歴史的に見て、かなり多くの期間において、株式は債券よりも高いリターンを上げてきました。
そういったことからも、ポートフォリオに債券、特に米国債を加える必要性というのは低いように思われます。
ちなみに、ポートフォリオを構築するに当たって、引退間近の世代や保守的な投資家などは、債券の占める割合を高めるべきといったことが、よく言われます。
実際に、ターゲット・デート・ファンド(TDF)なんかは、そういった思想に基づいて、株式から債券へのリバランスが為されていきます。
しかし、もはや債券は保守的な投資先ではないということは、もっと強調されてしかるべきだと考えています。
4.株式へのエクスポージャーも下げるべきか?
では、高値圏にある株式についても、保有割合も引き下げて、現金などにしておくべきなのでしょうか。
確かに現状は、いつ暴落が起きてもおかしくないような状況に思われます。
しかし、株価というのは私たちが思っている以上にランダムなものであり、このまま上がり続ける可能性も十分にあるわけです。
株価の平均回帰というアノマリーもありますが、ここでもより長期で、すなわち歴史的に見た場合、株価(指数)というのは上下動しながら、結局は上がり続けてきたわけです。
となると、株式を現金化し過ぎてしまうと、損失回避のメリット以上に、利益の機会を逸失してしまうリスクの方が大きくなってしまいます。
そして余談ですが、実は個別銘柄の株価や株価指数が弱気相場入りするタイミングというのは、いくつかの手法を用いて、おおよそですが測ることができます。
実際に、私もコロナショックが起こる前の1月中旬頃には、6割以上を現金化していました。
もちろん、何事も100%というのはあり得ず、自分の判断が間違っている可能性もあるので、残りの4割弱に関しては保有し続け、3月中旬の急落に直面することにはなりましたが。
その手法に関しては、書くと長くなるのでここでは触れませんが、いずれどこかでお伝えする機会を作れればと思っています。
少し話が逸れましたが、たとえ暴落を回避できなかったとしても、長期で見れば結局は上がり続けるということを念頭に置き、ある程度の(株式の)ポジションを持ち続けることが大事ではないかと考えています。