1.本書の概要
ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。
- 1勝4敗でもしっかり儲ける新高値ブレイク投資術
- 著者:DUKE。
- 出版日:2016/7/1
- お役立ち度 :
- 難易度 :
- マニアック度:
- 分類:株式投資、個別株、成長株
まずは、本書の概要からです。
本書では、「新高値をつけた銘柄を買って、さらに高値で売る」という投資法について書かれています。
なお、本書の章立ては、以下のようになっています。
- 第1章:サラリーマン投資家でも資産1億円
- 第2章:株は新高値で買え!―新高値ブレイク投資術のキホン1
- 第3章:ビッグチェンジを探せ!―新高値ブレイク投資術のキホン2
- 第4章:ここを押さえておけば勝率が上がる―新高値ブレイク投資術の実践1
- 第5章:私の買い方、売り方を教えます―新高値ブレイク投資術の実践2
- 第6章:どんな相場でも勝つ投資、負けない投資
2.テクノファンダメンタル投資
著者の投資術は、成長株を主体にしたテクノファンダメンタル投資で、これについて、次のように書かれています。
新高値という点に特徴があるテクニカル分析を利用しつつ、会社のファンダメンタルを分析して、会社のビッグチェンジ(新製品、新業態、新事業、新経営陣などによる大変革)の波、ひいては、株価の大波(ビッグウェイブ)に乗るというやり方です。
この新高値銘柄に注目する理由として、次の2つを挙げています。
- その会社に何か大きな変化が起こっている可能性がある。
- 上値が軽い:売り圧力が小さくなり、急騰しやすい。
また、ファンダメンタルにも注目して、複数の新高値銘柄の中から、銘柄を絞り込んでいくと言います。
そして、最大保有銘柄数は5銘柄で、本当によく知っている、本当に優れた銘柄だけに集中投資をするとのことです。
第3章では、時価総額が500億円以下の、IPOして10年以内の成長段階にある中小型株を主な投資対象としているとも書かれています。
なお、新高値銘柄は「株探」を利用して調べたり、急騰株の材料はツイッターで検索するのがお勧め、などといったことにも触れられています。
3.売買法の実践
第4章では、実践方法について詳しく書かれています。
まず売買法については、株価の高値と安値のレンジをボックスに見立て、ボックス圏の上抜けで買い、下抜けで売るというものです。
買いは「ストップオーダー」、売りは「ストップロスオーダー」と「トレーリングストップ」によって、損切りや利益確定を行います。
また、勝率を高めるためのテクニックとして、以下の5つが挙げられています。
- 保ち合いの期間が長い
- 保ち合いの値幅が狭い
- カップウィズハンドル(取っ手付きのコーヒーカップを横から見たときの形)を形成する
- 新高値ブレイク時に出来高が急増する(基本的に強い段階にある株式のチャートは、陽線のときに出来高が増える)
- 新高値ブレイクの初期に買う
そして、ファンダメンタル分析についても、以下の4点が挙げられています。
- 過去3~5年程度の経常利益の成長が安定的か:目安としては、おおむね年率で5~10%以上を維持しており、途中の年で大幅減益がないこと
- 直近1~2年の経常利益が20%以上伸びているか
- 直近2~3四半期の経常利益の前年同期比が20%以上、売上高が10%以上伸びているか:直前3ヵ月の四半期業績が最も重要視される
- 売上高経常利益率が伸びているか
これらを踏まえた上で、中期計画などの会社資料を読み、高成長を続ける理由を突き止めると言います。
4.ポジションサイジングとエントリー・損切り
第5章では、ポジションサイズ・マネジメントについて触れられています。
具体的には、1銘柄への投資上限額は総資金の5分の1とし、エントリーする際には、さらにその5分の1の試し玉から投入するというものです。
総資金を基準にしているため、買っているときにはポジションサイズを増やし、負けているときには減らすことができるのです。
また、エントリーで成功する7つのルールとして、次のものが挙げられています。
- 原則として新高値更新日の翌営業日、寄付成行で発注して買付
- 初回のエントリーは投資上限額の5分の1の金額で試し玉を入れる
- 含み益が出た段階で5分の1ずつをトレンドに乗って買い増す
- 最初のポジションで含み損が出ている場合は買い増しをしない
- 1回あたりの買付金額を変えない
- タイミングを失したときは次のブレイクポイントを待つ
- 一度損切りしても再度ブレイクしたらルールに従って買う
続いて、損切りについては、「損失が10%を超えないことを絶対に譲れない一線にする」ことに尽きると書かれており、ボックス理論で損を減らす7つのルールも挙げられています。
- 元のボックスに戻ったら売却
- 10%下がったら売却
- 20%上昇したら損切りラインを引き上げる
- ボックスの下限を一定期間うろうろしていたら売却
- 日経平均より弱い動きのときは売却
- 間違えたと感じたら反対売買
- 相場全体の危険シグナルが点灯したときはポジションを落とす
5.ディストリビューション日と利益確定
最後の相場全体の危険シグナルについては、第6章で「ディストリビューション日」というものが説明されています。
これは、主要株価指数の終値が前日よりも安くなると同時に、出来高が増加する日のことです。
このディストリビューション日が、2~4週間のなかで5回あれば、市場が上昇トレンドから下降トレンドへ転換した可能性が高いと判断できるというのです。
第5章に話を戻すと、利益確定についても触れられており、利益確定はテクニカル優先で行うと言います。
株価が上のボックスに移動した後は、直前にいたボックスの上限値へとトレーリングストップを引き上げるということです。
また、トレーリングストップについては、直近1ヵ月程度の株価のブレを参考にしながら、十分余裕を持った位置に置くといいだろうと、言及されています。
そして、利益確定売りのルールについても、次のようなものが挙げられています。
- 終値ベースでボックス割れしたときは原則全て売却
- 高値圏で三空が出現し、出来高が増大したら売却
- 悪材料が出たらすぐに売却
6.総括
本書の「おわりに」では、参考書籍として、以下のものが挙げられています。(リンク先は、当ブログのレビュー記事になります。)
- 『オニールの成長株発掘法』(ウィリアム・オニール著、パンローリング/2001/2/21)
- 『オニールの相場師養成講座』(ウィリアム・オニール著、パンローリング/2004/4/20)
- 『ミネルヴィニの成長株投資法』(マーク・ミネルヴィニ著、パンローリング/2013/12/14)
- 『私は株で200万ドル儲けた』(ニコラス・ダーバス著、パンローリング/2002/12/28)
- 『欲望と幻想の市場』(エドウィン・ルフェーブル著、東洋経済新報社/1999/4/1)
- 『リバモア流投機術』(ジェシー・リバモア著、パンローリング/2007/12/4)
- 『マーケットの魔術師』(ジャック・D・シュワッガー著、パンローリング/2001/8/1)
- 『伝説のファンドマネージャーが実践する株の絶対法則』(林則行著、ダイヤモンド社/2012/9/14)
- 『伝説のファンドマネージャーが教える株の公式』(林則行著、ダイヤモンド社/2010/9/17)
- 『株は新高値で買いなさい!』(ふりーパパ著、秀和システム/2015/9/25)
- 『ゼロから純資産5億円を築いた私の投資法』(ふりーパパ著、ぱる出版/2014/12/1)
- 『勝つ投資 負けない投資』(片山晃・小松原周著、クロスメディア・パブリッシング/2015/5/15)
- 『ゾーン』(マーク・ダグラス著、パンローリング/2002/3/13)
これらの書籍は、私も全て読んだことがありますが、本書は、これらの本のエッセンスをまとめたような内容になっていると言えます。
上記には、海外の書籍も多く含まれていますが、本書では、日本の株式市場で成長株投資を実践するうえで、役に立つサイトやサービスについても触れられています。
例えば、株探やツイッターの利用、IR情報を自動メール配信してくれる、大和IRモニタークラブの「TD-COMサービス」などです。
また本書では、具体的な売買法やポジションサイジングについても言及されており、成長株投資を志す方は是非とも読んでおきたい一冊でしょう。
なお、DUKE。氏の著書には、ふりーパパ氏との共著で、『スピード出世銘柄を見逃さずにキャッチする 新高値ブレイクの成長株投資法』がありますので、よろしければリンク先のレビュー記事をご参照ください。