ここでは、直近の「日経平均株価」について、PER・PBR、海外投資家売買動向、日銀ETF買い入れ、信用評価損益率、騰落レシオといった観点から見ていきたいと思います。
なお、各指標に関しては、以下の記事でそれぞれ詳しく解説していますので、よろしければご参照ください。
1.PER・PBR
まず、日経平均株価に採用されている企業の平均PER(株価収益率)についてです。
この平均PERと日経平均株価の値から、平均EPS(一株当たり当期純利益)を求め、その平均EPSに13~17の数値を掛け合わせて、PER 13~17倍に相当する株価の推移を日経平均株価とともに表したのが以下の図になります。
なお、この図の2020年5月以降では、新型コロナウイルスの影響により、業績予想の開示を見送る企業が相次いだため、日経の予想が作成されるまでの間、利益をゼロとして平均PERが算出されていました。
この図から、2024年8月5日の急落時には終値でPERが13.01倍と、PER 13倍相当の株価推移がサポートとして機能したことが見て取れます。
そして直近で、PERは15.68倍(12月19日時点)となっています。
次に、平均PBR(株価純資産倍率)についてです。
PERと同様に、平均PBRと日経平均株価から平均BPS(一株当たり純資産)を求め、そこから導き出したPBR 1~1.5倍に相当する株価の推移を日経平均株価とともに示したのが以下の図になります。
平均PBRは12月19日大引けの時点で、1.42倍となっています。
2.海外投資家の売買動向・日銀のETF買い入れ
次に、投資部門別売買状況(投資主体別売買動向)から、海外投資家の売買動向について見ていきます。
海外投資家の売買代金の差引き金額を累計したものの推移を、日経平均株価とともに示したのが以下の図です。
10月以降の海外投資家の売買動向は、直近までの累計で見ると、売り買いがほぼ拮抗しています。
また、この海外投資家の累計売買金額と、日銀のETF買い入れ累計額を合計したものの推移を、日経平均株価とともに示したのが以下の図になります。
なお、日銀のETF買い入れは、24年3月の金融政策決定会合にて終了することが決定されており、実際にはそれ以前の23年11月以降から行われていませんでした。
この図から分かるように、両者を合計したものは、日経平均株価と非常に強い相関を認めています。
ちなみに、海外投資家から見た日経平均株価である、ドル建て日経平均株価は次のようになっています。
この図から、ドル建て日経平均は円安ドル高により、250ドル前後で推移していることが見て取れます。
3.信用評価損益率
続いて、信用評価損益率を見ていきます。
以下の図は、信用評価損益率(2市場(東証と名証))と日経平均株価の推移を示したものです。
一般に、信用評価損益率では、「-3~0%以上で天井圏」、「-15~-20%以下で底値圏」という見方がされます。
信用評価損益率は、日本株急落のあった日の週末にあたる8月9日には、-14.16%を付け、直近の12月13日時点では、-8.43%となっています。
なお、信用評価損益率では信用買い建玉のみの損益を見ており、空売りの損益は反映されていません。
4.騰落レシオ
最後に、25日騰落レシオについても見ていきます。
騰落レシオの推移を日経平均株価とともに示したのが以下の図になります。
騰落レシオは、12月20日時点で96.31となっています。
5.総括
日経平均株価は、10月以降、概ね38000~40000円のレンジ相場を形成しています。
なお直近で、FRB(米連邦準備制度理事会)は市場の予想通り、18日に0.25%の利下げを決定し、日銀は19日に利上げの見送り(現状維持)を決定していました。
また、FRBによる2025年の利下げ回数の見通しが4回から2回に減少したことや植田総裁の発言などから、円安が進行しています。
そして、2025年はトランプ米大統領の就任なども控えており、同氏の政策が米国株はもちろん、日本株にもどのような影響を及ぼすかは未知数と言えます。
ただ、日本株を個別要因で見てみると、堅調な企業業績や、その円安による嵩上げ、東証要請による資本効率の改善、増配や自社株買いといった株主還元の増加、M&AやMBO・親会社による上場子会社の買収などによる上場廃止(株式非公開化)の増加、など強気要因が多いように思われます。
毎年、年始に書いている記事では、また別の角度からも2025年の日本株相場を占っていきますので、是非そちらもご覧いただければと思います。
日本株は、今年も掉尾の一振は期待できそうにありませんが、来年の相場に期待したいところです。