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【2022年12月末時点】チェース・コールマン率いるタイガー・グローバル・マネジメントの最新ポートフォリオ

1.チェース・コールマン率いるタイガー・グローバル・マネジメント

今回は、チェース・コールマン氏が率いる、タイガー・グローバル・マネジメントというヘッジファンドの2022年12月末時点でのポートフォリオについて見ていきたいと思います。

チェース・コールマン氏は、2020年のヘッジファンドマネジャーの収入ランキングで首位となっており、30億ドルを稼いだとされます。

また、チェース・コールマン氏は、以下に示すように、2010年12月末の時点で、アップル(AAPL)株のポートフォリオへの組み入れ比率をトップとしていたのです。

チェース・コールマン氏の2010年12月末のポートフォリオを示した図

これは、アップル株が本格的な上昇を開始するよりもかなり前でした。

他にも、FacebookやLinkedInには初期の頃から投資していたりと、同氏の先見の明には驚かされます。

2.米証券取引委員会(SEC)への報告書提出義務

さて、チェース・コールマン氏に限りませんが、上記のように著名投資家たちのポートフォリオを知ることができるのには理由があります。

これは、米国では運用資産が1億ドル以上の機関投資家は、四半期ごとに証券取引委員会(SEC)への報告書提出が義務付けられているためです。

この報告書は、SECのホームページから閲覧することができ、著名投資家たちのポートフォリオの保有銘柄や株数などを知ることができるのです。

ただ、各四半期末から45日以内が報告書の提出期限であることから、公開されたポートフォリオが最新のものであるとは限らない点には注意が必要です。

また、公開されるのは、米国上場株および、ロングポジションのみとなっています。

そして、各四半期から45日以内が提出期限ということから、2月中旬、5月中旬、8月中旬、11月中旬に報告書が更新されることが多くなります。

つまり、この23年2月中旬には、著名投資家たちの22年12月末時点でのポートフォリオが数多く公開されるというわけです。

3.タイガー・グローバル・マネジメントのポートフォリオ

それでは早速、タイガー・グローバル・マネジメントの2022年12月末時点でのポートフォリオを見ていきます。(図では上位15銘柄を示しています。)

チェース・コールマン氏の2022年12月末のポートフォリオを示した図

また、この四半期前の2022年9月末のポートフォリオを示したのが下図になります。

チェース・コールマン氏の2022年9月末のポートフォリオを示した図

この両者間の違いを際立たせるために、ポートフォリオ全体に対する影響度の大きかった銘柄を中心に見ていくことにしたいと思います。

4.チェース・コールマンのポートフォリオ・マネジメントと総括

まず、22年10月から12月末までの間に、ポートフォリオ全体に対する増加率が0.5%以上であった銘柄について見ていきます。

ティッカー 銘柄名 増加率(%) 組入比率(%)
AMZN Amazon.com Inc 6.09 8.84
META Meta Platforms Inc 5.09 11.71
ZI ZoomInfo Technologies Inc 2.30 2.30
TTWO Take-Two Interactive Software Inc 0.91 0.91
CFLT Confluent Inc 0.85 0.85
MTCH Match Group Inc 0.74 0.74
GRAB Grab Holdings Inc 0.73 0.73
MDB MongoDB Inc 0.55 0.55
DLO DLocal Ltd 0.54 1.36

次に、22年10月から12月末までの間に、ポートフォリオ全体に対する減少率が0.7%以上であった銘柄についても見ていきます。

ティッカー 銘柄名 減少率(%) 組入比率(%)
DDOG Datadog Inc -3.92 0.87
JD JD.com Inc -3.72 15.00
LI Li Auto Inc -3.64 0.00
SE Sea Ltd -3.09 2.27
NOW ServiceNow Inc -3.07 3.85
TEAM Atlassian Corp -2.56 0.63
UBER Uber Technologies Inc -2.26 0.18
DASH DoorDash Inc -1.66 0.00
MSFT Microsoft Corp -1.60 15.45
GOOGL Alphabet Inc -1.53 4.03
TOST Toast Inc -1.15 0.53
SQ Block Inc -0.97 1.45
RNG RingCentral Inc -0.91 0.00
NU Nu Holdings Ltd -0.85 1.26
TSM Taiwan Semiconductor Manufacturing Co Ltd -0.83 0.00

まず、「AMZN(アマゾン)」や「META(メタ・プラットフォームズ)」をかなり買い増しているのが目に付きます。

また、その2銘柄に次いで大きく買い増している6銘柄はいずれも新規買い銘柄となっています。

これらの買い増しされた銘柄は、22年10月から12月末の間に大きく下落していた銘柄が多く、逆張り的な買いだったのかもしれませんが、それにしても割高感の強い銘柄ばかりだと言えます。

売却された銘柄群に関しても、もともと割高だった銘柄がほとんどで、今回買い増しされた銘柄もその二の舞となってしまいそうな気がしないでもありません。

というのも、23年2月に入ってから強い経済指標の発表が相次ぎ、FRB(米連邦準備制度理事会)が想定されていたよりも政策金利を引き上げたり、高水準の政策金利を長く維持したりするのではないかとの懸念が強まっているからです。

一方で、ポートフォリオ全体に占めるテクノロジー関連銘柄の比率は、22年9月末の53.4%から22年12月末で44.7%にまで下がっており、ポートフォリオ全体の時価総額も21年12月末の459億ドルから、22年12月末で81.6億ドルにまで縮小させていることから、防御の姿勢は固めているものと思われます。

グロース株の比率が高いタイガー・グローバル・マネジメントにとっては厳しい状況が、少なくとも23年中は続きそうですが、そのような環境下でどのようなポートフォリオ・マネジメントを見せるのかには引き続き、注目していきたいところです。

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