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1.バークシャー・ハザウェイを率いるウォーレン・バフェット氏
今回は、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイ(BRK)の2022年6月末時点でのポートフォリオについて見ていきたいと思います。
バフェット氏は、「投資の神様」や「オマハの賢人」と呼ばれることがあることからも分かるように、過去35年間(1987-2021年)の年平均リターンは、15.6%と驚異的なものとなっています。(同期間のS&P 500の年平均リターンは、8.9%。)
ただ、下の表に示すように、最近の10年間で見ると、やや様相が異なっていることが分かります。
年平均リターン | BRK | S&P 500 | 超過リターン |
過去3年間(2019-2021) | 13.8% | 23.9% | -10.1% |
過去5年間(2017-2021) | 13.0% | 16.3% | -3.3% |
過去10年間(2012-2021) | 14.7% | 14.3% | 0.4% |
過去10年間(2012-2021年)では、S&P 500とほぼ同等であり、過去3年間(2019-2021年)および過去5年間(2017-2021年)においては、S&P 500をアンダーパフォームしているのです。
これに関しては、米国株の上昇が続いていたことから、バフェット氏のお眼鏡に適うような割安株が見つかりづらかったことが要因の一つではないかと思われます。
実際、バークシャーの現金等の待機資金は、2010年頃より2021年末頃まで増加傾向となっていました。
2.米証券取引委員会(SEC)への報告書提出義務
さて、バフェット氏に限りませんが、著名投資家たちのポートフォリオを知ることができるのには理由があります。
これは、米国では運用資産が1億ドル以上の機関投資家は、四半期ごとに証券取引委員会(SEC)への報告書提出が義務付けられているためです。
この報告書は、SECのホームページから閲覧することができ、著名投資家たちのポートフォリオの保有銘柄や株数などを知ることができるのです。
ただ、各四半期末から45日以内が報告書の提出期限であることから、公開されたポートフォリオが最新のものであるとは限らない点には注意が必要です。
また、公開されるのは、米国上場株および、ロングポジションのみとなっています。
さて、各四半期から45日以内が提出期限ということから、2月中旬、5月中旬、8月中旬、11月中旬に報告書が更新されることが多くなります。
つまり、22年8月中旬頃には、著名投資家たちの22年6月末時点でのポートフォリオが数多く公開されるというわけです。
3.バークシャー・ハザウェイのポートフォリオ
それでは早速、バークシャー・ハザウェイの2022年6月末時点でのポートフォリオを見ていきます。(図では上位15銘柄を示しています。)
また、この四半期前の2022年3月末のポートフォリオを示したのが下図になります。
この両者間の違いを際立たせるために、ポートフォリオ全体に対する影響度の大きかった銘柄を中心に見ていくことにしたいと思います。
4.バークシャー・ハザウェイの主な売買銘柄と総括
まず、22年4月から6月末までの間に、ポートフォリオ全体に対する増加率が0.1%以上であった銘柄について見ていきます。
ティッカー | 銘柄名 | 増加率(%) | 組入比率(%) |
OXY | Occidental Petroleum Corp | 0.44 | 3.11 |
ALLY | Ally Financial Inc | 0.23 | 0.33 |
AAPL | Apple Inc | 0.18 | 40.76 |
CVX | Chevron Corp | 0.11 | 7.79 |
ATVI | Activision Blizzard Inc | 0.11 | 1.77 |
次に、22年4月から6月末までの間に、ポートフォリオ全体に対する減少率が0.1%以上であった銘柄についても見ていきます。
ティッカー | 銘柄名 | 減少率(%) | 組入比率(%) |
GM | General Motors Co | -0.11 | 0.56 |
USB | U.S. Bancorp | -0.10 | 1.84 |
これらの表から、前々四半期・前四半期に続いて、「OXY(オクシデンタル・ペトロリアム)」や「CVX(シェブロン)」といった石油・ガス関連企業や、米ゲーム大手の「AVTI(アクティビジョン・ブリザード)」を買い増していることが分かります。
また、22年4月から6月末までの間では、自動車や住宅ローンなどを手がける「ALLY(アライ・ファイナンシャル)」や「AAPL(アップル)」も買い増しています。
バークシャー・ハザウェイのポートフォリオに占めるエネルギー株の割合は、比較できる2002年以降で初めて1割を超えていますが、こういったエネルギー株や金融株、ハイテク株への投資は、バフェット氏が、世界経済への強気の見方を崩していないことを示唆していると言えます。
足元では、低下傾向にあった米長期金利が3%超にまで再び上昇しており、それに伴って、堅調だったアップルの株価も調整の値動きとなっています。
バークシャー・ハザウェイのポートフォリオではアップルが4割超を占めていることから、良くも悪くもアップルの株価次第だと言え、これまではハイテク株の中でもアップルはかなり底堅い値動きを示してきました。
そして、今後もFRBが利上げを継続していく中で、アップルがなどのハイテク株がどこまでその高PERを保つことができるのかに注目していきたいところです。