読書録・書評

【読書録・書評】『脱アマ相場師列伝―具体的な売買法と練習上達について』

ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。

1.書籍の概要

まずは、本書の概要からです。

本書は、相場師として名を上げ、生涯を通じて個人投資家教育にも尽力した、林輝太郎氏による著作です。

本書では、売買方法には様々な「やり方」がある中で、売買技術が上達した人たちの中から9人を選び、それぞれの「やり方」が解説されています。

なお、本書の章立ては、以下のようになっています。

  • 第1話:相場師の三種の神器
  • 第2話:専門をつくること
  • 第3話:自信ある自己流
  • 第4話:サヤ取りのプロになりたての人
  • 第5話:平均線を生かした人
  • 第6話:売り上手の粋人物語
  • 第7話:統計の鬼が自立するまで
  • 第8話:四銘柄を手玉にとった女相場師
  • 第9話:山奥に住む売り屋の仙人
  • 第10話:独自の道をゆく人たち

ここでは、本書の中で気になった部分や参考になった部分について、一部を抜粋しながらレビューしていきたいと思います。

2.相場技術論

本書では、次のように書かれています。

一般に「相場の判断、やり方」については、「見方」のみが議論され、研究されているが、それは単なるアマチュアのおあそびに過ぎず、それで成功するはずがない。

その「アマチュアのおあそび」から抜け出そう、としている人たちが望んでいるのが「実際の手法」であり、それが「相場の技術」といわれているもので、この『脱アマ相場師列伝』の目的は、技法の解明→習得→上達、である。

つまり、相場というのは技術的要素のあるものであり、「考え方」や「見方」だけでなく、「やり方」の研究や習得にエネルギーを向ける必要があるということで、本書では複数の具体的な「やり方」が説明されています。

3.売買の「やり方」

その売買の「やり方」については、次のように書かれています。

ある人の計算では、理論的に分類できる具体的な「売買方法」は1200種類を越す、ということで、実践家は(極端にいえば)そのうちのたった一種類の売買に「上達」すればよいのである。

それは、知っているだけでは駄目で、知って、そして、出来るようになり、そのうえ、上達する必要があるのである。

そして、たくさんの人たちが、いろいろな「やり方」で利益をあげているわけですが、その人たちと少し話した程度では、売買の実体までは分からず、それを書くこともできません。

しかし、筆者は立場上、売買勘定元帖や売買報告書を提供してもらって、売買経過や内容を十分に検討することができるような機会があり、そういったケースが本書では書かれているのです。

4.様々な売買手法

具体的には、以下のような手法や相場師などが本書では取り上げられています。

  • 酒田新値の統計に裏付けされた、商品相場における「十日目手仕舞法」
  • 商品相場におけるサヤ取り
  • 移動平均線による売買
  • 売り専門の相場師
  • 四銘柄専門の相場師
  • サヤすべり取り

どれも興味深い内容ではありますが、特に第9話の「サヤすべり取り」については、そのやり方がかなり詳しく書かれています。

おそらく、ここに書かれている内容だけで十分に「サヤすべり取り」を実践するに足る内容ではないかと思われます。

ちなみに、林氏が設立した林投資研究所では、「サヤすべり取りと個人での実行方法」という無製本(バラコピー)の商品も取り扱われているのですが、その要点をまとめたような内容となっているのです。

その具体的な内容については、かなり長くなってしまうため、ここで取り上げることは難しいのですが、サヤすべり取りは商品相場における売買手法で、次のような説明が付け加えられています。

サヤすべり取りは、それ自体がプロの手法であり、一部の売り屋を除いて商品の売り方プロは、ほとんどサヤすべり取りを収入源、生活源としているといってよい。

商品相場においては、サヤ取りとともに、サヤすべり取りは、はっきりと職業となっているのだ、といえよう(ロスチャイルドの家業のひとつは非鉄のサヤすべり取り<ローリング>であるといわれる)。

5.総括

林氏の他の書籍と同様に本書でも、売買技法に目を向けてそれを上達させていくことや、道具を準備することの重要性について触れられています。

そして何より本書では、プロの相場師や、アマチュアから上達していった人たちの売買手法などが書かれており、とても興味深く参考になる一冊だといえます。

本書は、例えば「財産づくりの株式投資―売買の基礎の基礎」などの書籍で相場の基礎を学んだ後に、次の段階として読むのに適した書籍ではないかと思われます。

特に、商品相場における売買手法ではありますが、興味のある方は第9話の「サヤすべり取り」の部分だけでも読んでみる価値はあるでしょう。

 

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