読書録・書評

【読書録・書評】『脱アマ・相場必勝法―プロの「企業秘密」公開』

ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。

1.書籍の概要

まずは、本書の概要からです。

本書は、相場師として名を上げ、生涯を通じて個人投資家教育にも尽力した、林輝太郎氏による著作です。

本書は、「相場においては百万の理屈よりも、実行できるひとつの技術が大切」という筆者の信念に基づいて書かれた一冊といえます。

なお、本書の章立ては、以下のようになっています。

  • 第1章:「動くもの」の基本的なこと
  • 第2章:取引所はバクチ場ではない
  • 第3章:上げ下げに賭ける以外の売買法
  • 第4章:相場感覚入門
  • 第5章:プロの危険負担の避けかた
  • 第6章:建て玉操作のコツ
  • 第7章:投機売買に上達するには
  • 第8章:成功する投機

ここでは、本書の中で気になった部分や参考になった部分について、一部を抜粋しながらレビューしていきたいと思います。

2.投機売買の基本

本書では、相場の技術とは「知識」のことではなく「やり方」のことであり、材料による判断や統計の分析は、厳密には技術の範疇には入らないと書かれています。

また、次のような記載もあります。

アマチュア投資家には、共通して「知識偏重、技術不足」ということがいえる。それも、技術に関してはからっきしダメ、という人が多い。頼れるものは自分の売買技術だけなのだから、これは致命的だ。

そして、売買の技法について目を開き、変動感覚を養いながら、自分なりの技法を身につけることが大切だと言うのです。

3.売買技法

売買技法については、次のように書かれています。

売買の技法は人の顔と同じで、人の数ほどあるといわれている。しかし、玉の建て方を大きく分類すると「片張り」と「サヤ取り」に分けられる。これに「ツナギ」を加える人もいるが、そうだと3つになる。

なお、サヤ取りに関しては、次のような記載もあります。

サヤ取りは利殖の終着点といわれ、山種証券の前社長である山種こと山崎種二氏はサヤ取りの名人であったし、イギリスの大富豪ロスチャイルドは、伝説では英仏戦争のとき、とうてい勝ち目はないとロンドン市場で株式や債券が暴落していたのを、ナポレオン敗れるの報をいち早くキャッチし、安値を猛烈に買って一挙に巨利を得て基礎をつくった、といわれるが、事実は堅いサヤ取りを長期にわたって行ったからだ。

4.変動感覚を養う

また、変動感覚を養うには、相場師の三種の神器といわれる「場帖」、「玉帖」、「資料(グラフなど)」の中でも、場帖やグラフが重要なものとなります。

本書では、場帖について、株式を対象としたものはもちろん、商品相場でのサヤ取りで用いられるものについても、実例を載せて具体的に解説されています。

そして、これらは、「自分で読む」「自分で書く」「自分で実行する」ことが大切で、それでこそ自己の向上があり得ると書かれています。

変動感覚というのは、誰もが同じというものではなく、個人的なものなのです。

5.建て玉の操作

建て玉の基本的な考え方は、「如何にして平均値を有利に持ってゆくか」という分割売買になります。

分割売買というのは、すなわちナンピンのことであり、ナンピンは総建て玉の平均値を出来るだけ現在の相場に近づける努力であるとも書かれています。

相場の下手な人ほど、「資金いっぱいに売買する方が効率が良い」という考えが強く、分割売買ではなく、一発必中の当てもの売買をしてしまうと言うのです。

また、次のようなことも書かれています。

プロ、セミプロの相場師のやる相場は素人からみたら、それこそミミッチイ。枚数(株数)も少なく、危ないと思ったらすぐ逃げる。偶然の一発を狙わない。しかし、堅実である。

相場の社会には、ハデな結果だけ欲しがる一獲千金を狙う輩がうようよしている。だから、少しの努力で成功する。しかし、その成功を持続させるためにも、やはり地味な努力の積み重ねが欠かせないのである。

6.総括

本書では、林氏の他の書籍と同様に、相場の変動感覚を養い、技法に目を向け、技術を高めることの重要性について書かれています。

他にも、「金(ゴールド)」について、昭和48年4月1日に長い間輸入が禁止されていた金が解禁となり、デパートで大々的に売り出しが行われた際に、林氏の知人がとった行動について書かれていたりします。

また、中国の陳雅山という相場師の「中源線建玉法」を実践してみたというエピソードや、本間宗久の著書には偽書の疑いがあるといったことなどについても触れられています。

本書では、変動感覚や売買技法などについて書かれた林氏の書籍の中でも、商品相場について多少なりとも触れられている点が特徴的だといえます。

ただ、それらの中からどれか1冊だけを選ぶのであれば、やはり前回ご紹介した『財産づくりの株式投資―売買の基礎の基礎』がお勧めです。

そして、もし余裕があれば、本書にも目を通していただくのが良いのではないかと思われます。

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