読書録・書評

【読書録・書評】『超実践 株式投資のプロ技』

ここでは、以下の書籍についてのレビューを書いていきたいと思います。

  • 超実践 株式投資のプロ技
  • 著者:高野 譲
  • 出版日:2018/5/1
  • お役立ち度 :
  • 難易度   :
  • マニアック度:
  • 分類:株式投資、短期トレード

1.書籍の概要

まずは、本書の概要からです。

本書では、個人と証券会社で10年ずつの株式投資の経験がある著者によって、トレーダーを長く続けるため、そして成功するために必要な技術や考え方などが書かれています。

なお、本書の章立ては、以下のようになっています。

  • 第1章:相場を読み解くプロトレーダーの情報術
  • 第2章:銘柄選びの極意 プロの実践トレード術
  • 第3章:勝率を高めるプロの買い方・売り方
  • 第4章:プロが厳選! テクニカル分析法
  • 第5章:価値を積み重ねるリアルタイムトレード
  • 第6章:最強トレーダーの思考的解釈

ここでは、本書の中で気になった部分や参考になった部分について、一部を抜粋しながらレビューしていきたいと思います。

2.相場の情報活用

第1章は、情報活用についての内容となっています。

例えば、個別銘柄の買いや売りの判断に、株価指数の動きを参考にするといったことが書かれています。

具体的には、東証1部・2部市場の株式に投資する際には、「日経平均株価指数」を、マザーズ市場の株式に投資する際には「東証マザーズ指数」を参考にします。

そして、指数が下落しているのに、下がらない、もしくは上昇している銘柄は買いであるといった具合に判断するということです。

逆に、指数が上昇しているのに、上がらない、もしくは下落している銘柄は見送りということになります。

また、海外からの外部要因を手短に得るために、「NYダウ株価指数」や「S&P500」、「上海総合指数」といった株価指数チャートや、「ドル円」などの為替チャートを表示させておくといったことなども書かれています。

これらに大きな変化があったときに、ロイターやブルームバーグなど海外のニュースを知れべればよいということです。

3.銘柄選択術

第2章は、銘柄の選び方についての内容となっています。

ここで参考になるのは、日経平均株価指数と東証マザーズ指数は、片方が上昇すると片方が下落する「シーソー」のような特性があるということです。

そこで例えば、次のような場合には、新興市場が上昇することが予測され、新興市場である東証マザーズ指数に属する株式を取引するといったことが書かれています。

  • 昨晩のNYダウが軟調、かつ円高
  • 直近の東証市場に出来高を伴う動きが少ない
  • 国内外の重要指標発表前で東証市場が様子見となる期間

また、国内外の大きなニュースが発表されたときや、株式に保険(リスクヘッジ)を掛けるときには、株式よりも先物を選ぶといったことや、短期トレーダーの銘柄の選び方などについても書かれています。

4.プロの売買法

第3章は、プロの買い方・売り方についての内容となっています。

株式ディーラは順張りが多く、「高く買って高く売る」ということで、本章では特に「順張りの押し目買い」の手法について解説されています。

この手法では、上昇トレンドの最中に直近安値のブレイクはないことを前提とするもので、月足チャートで上昇トレンドにある銘柄を選択することになります。

本章では他にも、躊躇なく損切りすることの重要性や、裁定買い残高、価格帯別累積売買高、日々公表銘柄指定などについても触れられています。

5.テクニカル分析法

第4章では、テクニカル分析についての内容となっています。

本章では、ボラティリティについても触れられていて、「ボラティリティが高い時に買う」というのは、やってはいけない行動だと書かれています。

これは、株価の「上げ方」について、ボラティリティが高いまま上がるものよりも、ボラティリティが低いまま上がるものの方が、強い動きであるためです。

そのため、ローソク足が上昇しているときに、ボラティリティが下がっているといったような、「ダイバージェンス(逆行現象)」が生じている銘柄を選択することで、後の大きな上昇に乗ることができると書かれています。

また、本章では他にも、もち合い上放れ手法(レンジブレイク)や移動平均線、フィボナッチ・リトレースメントについて書かれています。

6.トレードの実践に当たって

第5章では、板情報の読み方や、呼び値の変化、値幅制限などについて書かれています。

呼び値の変化というのは例えば、株価が3000円以下では1円刻みで動くのに対し、3000円を超えると5円刻みで動くようになるというものです。

このことから、2980円まで勢いよく上昇しているような株式では、呼び値が変わる3000円までは買われるのではないかと予測したりするのです。

そして、第6章は、成功している投資家について考察した内容となっています。

その中で、著者が見てきた証券ディーラーたちの約9割は、3年未満でピークを迎えて、成績が低迷していってしまうと書かれています。

それは、経験を積むことによって投資の怖さを知り、投資行動において回避的になり過ぎてしまうためであると考察されています。

一方で、勝ち続けるトレーダーは、無知・無心の状態でのみ発する力である、ビギナーズラックの神秘を継続的に再現している、つまり、マーケットや値動きに対して、無心の状態であるというのです。

また、情報が溢れる中で、手段が増えれば増えるほど投資が難しくなる現実があり、プロトレーダーの経験とは手段を増やすためではなく、減らすための経験であるとも書かれています。

7.総括

本書では、投資というよりはトレード、つまり金融商品の値動きの法則に着目した技術的要素が強い手法について主に書かれています。

また、トレードの時間軸に関しても、デイトレードやスイングトレードなど、割と短期間のものが主な対象となっています。

ですので、株式ディーラーのようなテクニカル分析による短期トレードを行いたいという人にとっては必須となるような事柄が数多く書かれています。

ただ、どんな考えを基にした投資法であっても、成功するには投機性も必要であり、その一方でリスクを最小化することも必要になってきます。

そういった意味では、全ての投資家・トレーダーにとって参考になる内容だといえます。

そしてここでは、私のような中長期の投資家にとって、特に参考になると思われるような点をいくつか取り上げてみましたので、参考になれば幸いです。

 

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