1.投資関連商材とは
今回は、投資関連商材についてです。
この商材とは、主にネット上で売買される情報商材のことを指し、情報商材というのは、ハウツーやノウハウを文書などにまとめたもののことです。
情報商材に関しては、インフォカートやインフォトップのような情報商材ASPを見てみると分かりますが、投資関連だけでも非常に様々な種類のものがあります。
具体的には、株式、FX、先物、オプションから不動産に至るまで様々な金融商品に関するものが扱われており、価格帯も数万円から数十万と幅広くなっています。
ちなみにASPとは、アフィリエイト・サービス・プロバイダのことで、主にネット上で各種情報商材を取り扱う代理店のようなものです。
2.自動売買システムの商材について
ASPで扱われている商品をより詳細に見ていくと、投資手法を教えるものと、コンピューターによる自動売買システムを販売するものに大別されるかと思います。
ここでは、まず後者のコンピューターによる自動売買システムについて書いていきます。
そうしたシステムの販売ページには必ずと言っていいほど、過去の成績を示したグラフが載せられています。
しかし、それを素直に信じてはいけないのです。
というのも、そうした成績は事実かもしれませんが、過去の素晴らしい運用成績というのはいくらでも作り出すことができるからです。
具体的には、特定の市場における、ある一定期間のデータを取り出してきて、何らかのテクニカル指標のパラメーター(設定値)を調整したり、いくつかのテクニカル指標を組み合わせたりしていきます。
例えば、あるデータに対して、移動平均線の基準となる日数を5日にしたり、10日にするなどして調整してみたり、移動平均線とMACDというテクニカル指標を組み合わせたりといったことを行っていくのです。
そうすることで、抽出してきた市場の過去データに完璧にフィットするような投資戦略を構築することができるのです。
実は、これはカーブフィッティング(過剰最適化)といわれるもので、優れたシステムを構築する際には、そうなってしまわないよう十分に気を付けるべきことでもあります。
このカーブフィッティングをあえて意図的に行うことで、過去の素晴らしい運用成績を作り出すこともできてしまうというわけなのです。
そして、情報商材で販売されているシステムでは、意図的かどうかは別としても、結果的にカーブフィッティングされてしまっているものが、かなり多いのではないかと思われます。
カーブフィッティングの何が問題かというと、過去の相場に過剰に最適化することで、将来の相場における再現性が期待できなくなってしまうという点です。
過剰に最適化するということは、データの抽出条件を厳しくすることでもあり、そうすることで抽出されるデータの数が少なくなったり、極端に偏ったものとなったりしてしまいます。
その少数の偏った結果がどんなに素晴らしいものであったとしても、サンプル数が少ないものは統計学的に信頼するに値しません。
つまり、将来の相場において、過去と同じような素晴らしい結果は全く期待できないということになってしまうのです。
優れたシステムを構築する際には、過去のデータを用いてシステムを最適化していくというのはもちろん必要なことなのですが、過剰にやり過ぎてはいけないということなのです。
ただ、何をもって過剰とするかは非常に難しいところではあります。
それでも、カーブフィッティングを避けるためには、各種の市場における、なおかつ数十年といった長期間にわたるデータで、十分なトレード数をもって検証することが望ましいとされています。
ですから、システムの良し悪しを判断する際には、そこまでの十分な検証がなされているかどうかを確認する必要があるのです。
しかし、情報商材で販売されているシステムで、そこまで検証されているものはほとんど無いというのが現実でしょう。
以上のことから、情報商材で示されている運用成績をそのまま鵜呑みにしてしまうのは、危険だということなのです。
3.投資手法を教える商材について
さて次は、ASPで扱われている商品のうち、投資手法を教えるような情報商材について触れていきますが、これは自動売買システムの情報商材に関しても言えることなので、併せて書いていきたいと思います。
仮にある人が、長期にわたって非常に上手くいっている自身の投資手法を、本当の善意から公開しているような情報商材があったとします。
あるいは、十分な検証がされており、カーブフィッティングも回避された自動売買システムの情報商材があったとします。
いずれにしても、そういったいわゆる「本物」を買うことができれば、購入した人も同様に良い結果を出せると考えるのが一般的かと思われます。
しかし、残念ながら話はそう簡単ではないのです。
というのも、そういった本当に優れた投資手法においてさえも、一時的に大きな損失を出してしまったり、負けが続いて時には10連敗、場合によっては20連敗もの連敗をしてしまったりすることがあるのです。
そして、それがいくら素晴らしい投資手法だと頭では分かっていても、そういった状況に直面した際には、多くの人にとってその投資手法に従い続けるというのは、かなり困難なことのはずです。
実際に、自分が長い時間や労力を費やして構築した投資手法であれば、そういった逆境の局面でも使い続けることがまだできるかもしれません。
ですが、他人の投資手法を、厳しい逆境の中でも使い続けるというのは、とても難しいことなのです。
なお、情報商材の中には詳細な投資手法が公開されていないような、いわゆる「ブラックボックス」のシステムも販売されていたりしますが、こういったものではなおさら使い続けることが困難なのは言うまでもありません。
さらに一言つけ加えると、そもそもコンピューターによる自動売買システムというのは、あまり個人投資家が手を出すべき分野ではないのではとも考えています。
この分野では、アメリカの大手ヘッジファンドが、グーグルやアップル、IBMなどといった超一流の企業から最先端の人工知能(AI)の優秀な研究者などを引き抜いて、システム構築を競って行っているような状況です。
ですから、人工知能研究の最先端はヘッジファンド業界であると言っても過言ではないような状況なのです。
そのような状況下で、コンピューターによる自動売買のシステムトレードを行うというのは、まさに彼らと同じ土俵で戦うということであり、長期的に見てとても勝ち目があるとは思えません。
話が少し逸れてしまいましたが、ここでお伝えしたかったのは、あえて高額を出して投資関連商材を購入する必要は全くないということなのです。
その代わりに、しっかりとした内容の書籍を購入して勉強すれば十分に事足りますし、その方がはるかに有益だといえます。
おススメのの書籍に関しては、投資関連書籍やマネー雑誌の取扱いに注意!のところで書いていますので、宜しければ是非ご参考ください。