相場のデータ・指標

「ドル円相場」のデータ分析(2021.3)(日米10年国債利回り・購買力平価・ソロスチャート)

ここでは、直近の「ドル円相場」について、日米10年国債利回り、購買力平価、修正ソロスチャート(修正マネタリーベース比率)という3つの観点から見ていきたいと思います。

なお、各指標に関しては、以下の記事でそれぞれ詳しく解説していますので、よろしければご参照下さい。

1.日米10年国債利回りとドル円相場

まずは、米国の10年債利回りとドル円相場の推移を比較してみます。

米10年債利回りとドル円相場の推移を示した図(2021.3)

この図から、米長期金利は1980年代より右肩下がりの傾向となっていることが分かります。

また、2018年末から米長期金利が急速に低下していたにもかかわらず、ドル円相場の方は、概ね横ばい(ボックス圏)での推移となっていることも分かります。

そういった意味では、米長期金利だけを見た場合には、ドル安円高の余地があると言えそうです。

次に、米国と日本の10年国債利回りの差をドル円相場の推移と比較したのが以下の図です。

日米10年国債利回り差とドル円相場の推移を示した図(2021.3)

こちらの図では、ドル円相場の動きが、日米の長期金利差と概ね連動していることが見て取れます。

直近では、米長期金利の上昇により、長期金利差とドル円相場との大きくなっていた乖離が縮小傾向となっています。

2.購買力平価とドル円相場

次に、日米の購買力平価とドル円相場の推移を比較してみます。

なお、購買力平価(PPP)に関しては、日米の相対的購買力平価である、消費者物価PPP、企業物価PPP、輸出物価PPPを用いています。

日米の各種購買力平価とドル円相場の推移を示した図(2021.3)

この図からは、ドル円のレートは、企業物価PPPを上限、輸出物価PPPを下限として推移していた時期が長い中で、ここ数年は企業物価PPPより上での推移となっていることが分かります。

つまり、ドル円相場を購買力平価という観点から見た場合には、ドル安円高余地が大きいように思われます。

3.修正ソロスチャートとドル円相場

最後に、修正ソロスチャート(修正マネタリーベース比率)とドル円相場の推移を見ていきます。

修正ソロスチャートとドル円相場の推移を示した図(2021.3)

この図からは、ドル円相場と修正マネタリーベース比率との相関性が高いことと同時に、両者の乖離が縮小傾向にあることが分かります。

4.総括

ここまで見てきたように、日米10年国債利回りや、購買力平価では、依然として円高余地があるように見えます。

しかし、実際のドル円相場は足元で109円前後での推移と、円安傾向となっています。

この背景には、米長期金利の上昇や、大規模な追加経済対策による米国の景気回復期待があると思われます。

となると、今後のドル円相場を占う上では、やはり米長期金利がこのまま上昇していくのかどうかが焦点になってくるでしょう。

ここで、長期金利は、主に期待実質経済成長率と期待インフレ率によって決まります。

実質経済成長率は、コロナ禍の反動で一時的に高まる可能性が大きいでしょうが、これまで先進各国の長期金利が長きにわたって徐々に低下してきたことを考えると、いずれまた元の軌道へと収れんしていくことになりそうです。

期待インフレ率に関しても同様ですが、期待インフレ率はさらにコロナ禍によって失われた雇用が元の状態へと回復しない限り、上昇していくということは考えづらいでしょう。

また、コロナ禍によって、DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速することを考えると、雇用が完全に回復する状況というのは期待しづらいのかもしれませんが、そうなると金融緩和が長引くことにもなりそうです。

そういったことから、今後しばらくは、長期金利が2~3%を超えて大きく上昇していくようなことにはならないでしょう。

そのため、まだ当面は円安ドル高が続くにしても、中長期的には円高ドル安方向への圧力が勝るのではないかと考えています。

「WTI原油」のデータ分析(2021.3)(CFTC建玉明細(投機筋)、ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)、原油在庫統計(EIA・API))前のページ

「日経平均株価」のデータ分析(2021.3)(PER・PBR、海外投資家売買動向、日銀ETF買い入れ、NT倍率、信用評価損益率、騰落レシオ)次のページ

関連記事

  1. 相場のデータ・指標

    「ドル円相場」のデータ分析(2019.6)(日米10年国債利回り・購買力平価・ソロスチャート)

    この記事では、日米10年国債利回り、購買力平価、修正ソロスチャート(修…

  2. 相場のデータ・指標

    【2022年3月末時点】デビッド・テッパー氏率いるアパルーサ・マネジメントの最新ポートフォリオ

    この記事では、デビッド・テッパー氏率いるアパルーサ・マネジメントの20…

  3. 各種金融商品・制度

    「金(ゴールド)価格」を需要と供給、NY金先物のCFTC建玉明細から見る!

    この記事では、金価格について、金(ゴールド)現物の需要と供給、NY金先…

  4. 相場のデータ・指標

    卯年の2023年、「卯は跳ねる」か?

    この記事では、2023年の日本株(日経平均株価)を十干十二支や陰陽五行…

  5. 相場のデータ・指標

    景気動向と日経平均株価②

    この記事では、景気動向を測る主な指標のうち、特に景気動向指数(CIとD…

  6. 相場のデータ・指標

    底値圏の判断に有用! 乖離率の見方

    この記事では、過去30年以上におよぶ日経平均株価と乖離率との関係をもと…

電子書籍(3冊全て、Amazonランキング1位獲得)

「マーケットの魔術師」ならぬ「マーケットの詐欺師」

精神科医が暴く金融業界の裏側

 

勝者の心構え

精神科医が看破する投資の本質

 

 

 

この心理的罠からあなたは逃れられるか

精神科医が洞察する投資家心理

 

  1. 相場のデータ・指標

    「ドル円相場」のデータ分析(2019.3)(日米10年国債利回り・購買力平価・ソ…
  2. 相場のデータ・指標

    【2024年9月】「日経平均株価」のデータ分析(PER・PBR、海外投資家売買動…
  3. 株式取引履歴

    【2025年3月】株式取引履歴(日本株・外国株)(都度更新)
  4. 投資の基礎知識・理論・心理

    リスクその2:投資における一般的な意味でのリスク
  5. 読書録・書評

    【読書録・書評】『プライベートバンクの嘘と真実』
PAGE TOP