1.国内外の商品(農産物)ETF
ここ最近、大豆やトウモロコシの価格上昇が見られていますが、これらを含めた農産物に投資する手段としては、商品先物取引以外に、ETF(上場投資信託)を利用することが考えられます。
具体的には、以下のようなETFになります。
- 国内ETF
- WT 農産物ETF(1687)‥信託報酬:0.49%
- WT 穀物ETF(1688)‥信託報酬:0.49%
- WT 小麦ETF(1695)‥信託報酬:0.49%
- WT とうもろこしETF(1696)‥信託報酬:0.49%
- WT 大豆ETF(1697)‥信託報酬:0.49%
- 海外ETF(マネックス・楽天・SBI証券で取扱いの銘柄に限る)
- インベスコ DB アグリカルチャー(DBA)‥信託報酬:0.89%
上記のように、国内ETFの方が、信託報酬が低く、「とうもろこし」や「大豆」など個別に投資することもできます。
ただ、農産物・穀物の国内ETFは、日々の出来高が少なく、流動性リスクが大きいのが難点となります。
ある程度まとまった数量の売買になると、希望通りの価格で約定しづらくなったり、約定に時間がかかってしまったりするのです。
また、私の利用しているマネックス証券では、上記の国内ETFはいずれも非取扱銘柄となっており、そもそも売買することができません。
そういったこともあり、ここでは、海外ETFの「DBA」について見ていきたいと思います。
2.「DBA」の概要
まず、DBAは、農作物などの先物価格に基づいた指数への連動を目指すETFになります。
DBAを構成する主な商品と、その構成比は、次の通りです。
- Corn(トウモロコシ):13.50%
- Soybeans(大豆):13.09%
- Sugar(砂糖):12.75%
- Wheat(小麦):12.25%
- live Cattle(生牛):11.70%
- Coffee(コーヒー):11.19%
- Cocoa(ココア):10.45%
- Lean Hogs(赤身豚肉):8.98%
- Feeder Cattle(肥育素牛):3.72%
- Cotton(綿花):3.04%
そして、DBAが設定された2007年1月以降のチャートを示したのが以下の図です。
このチャートを見ると、ほぼ一貫して右肩下がりとなっており、投資対象とはなり得ないように思われるかもしれません。
そこで、DBAを構成する主な商品の長期推移を見ていくことにします。
3.各農作物の長期価格推移と相関関係
まず、上記10種の長期推移を示したのが下図になります。
また、ココアの価格変動が大きいため、ココアだけを除外したのが以下の図です。
この図から分かるように、穀物(トウモロコシ、大豆、小麦)は互いに強い相関関係を認めています。
さらに、穀物3種も除いたのが、次の図になります。
この図からはやや分かりにくいのですが、肉類(生牛、肥育素牛、赤身豚肉)は互いに強い相関を認めています。
一方で、砂糖とコーヒーの相関関係はかなり弱いものとなっています。
なお、穀物と肉類や、穀物と砂糖も割と強い相関を認めています。
4.疑似DBAの作成と、その長期推移
さて、DBAが設定されたのは、2007年1月ですので、当然ですが、それ以前の価格推移というものは存在しません。
そこで、DBAを構成する商品の構成比と、商品価格の長期推移から、「疑似DBA」なるものを作成してみたいと思います。
DBAを構成する各商品の価格を加重平均し、信託報酬(0.89%)を控除した価格の推移を、DBAとともに示したのが以下の図です。
両者を比較すると、やや乖離はあるものの、強い相関を認めていることから、この信託報酬控除後の農作物10種加重平均価格を「疑似DBA」とすることにします。
そして、この「疑似DBA」の長期推移を示したのが次の図になります。
すると、初めに見た、2007年1月以降のDBAのチャートとは大きく様相が異なることが分かります。
さて、少し長くなってしまったこともあり、DBAが投資対象として検討に値するかどうかの続きは、以下の記事で書いていますので、よろしければご参照ください。