1.イールドスプレッドとは?
株価の水準を測る指標に「イールドスプレッド」というものがあります。
これは、株式の益回り(PERの逆数)から長期金利(10年債利回り)を引いたものになります。
イールドスプレッドがプラスの(株式益回りが10年債利回りを上回っている)とき、株式は債券に比べて過小評価されていると言えます。
つまり、株価は金利水準からして割安であるということです。
なお、株式益回りが税引き後の数字を基にしていることも併せて考えると、イールドスプレッドがプラスであるということは、なおさら株式が過小評価されているということになるでしょう。
2.S&P 500とイールドスプレッド
では早速、米国の代表的な株価指数であるS&P500と、その株式益回りとの推移を見ていきたいと思います。
この図を見ると、ITバブル崩壊後の数年間を除き、イールドスプレッドが上昇した局面では株価が割安となっている(その後に株価が上昇)ことが分かります。
そして直近において、イールドスプレッドは2012年初めのピークに比べれば低下してはいるものの、依然として2%台後半と高い水準を維持しています。
そのため、S&P500は全体として見れば、決して割高であるというわけではないのかもしれません。
3.注目度を増す「S&P 495」
一方で近年、注目度が増している指標に「S&P 495」なるものがあります。
これはS&P 500から、GAFAM(グーグル(アルファベット)、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)の5銘柄を除いたもののことです。
GAFAMのパフォーマンスは突出しており、この10年で10倍近くに株価を伸ばしています。
また、年初来のパフォーマンスでは、GAFAMがプラス11%となる中、S&P 495はプラス1%程度に過ぎないと言います。
さらに、GAFAMの5銘柄だけで、S&P 500の時価総額に占める割合は2割程度にも達すると言うのです。
そして、GAFAMがバブル状態にあるのかどうかは崩壊してみてからでないと分かりませんが、仮にGAFAMが下げ続けるようなことがあれば、S&P 500もしくは米国株式市場全体にとっても注意が必要です。
GAFAMを組み込んでいる多くのファンドにおいて、顧客の解約に対応するために、GAFAM以外の銘柄も売らざるを得なくなってしまうからです。
ですから、GAFAMの株価の動向には注目しておく必要があるでしょう。
4.日本株は推し!?
さて、日本株に関しては、昨日10月11日の日経新聞で、『海外勢に静かに広がる「日本株推し」』という記事がありました。
それによると、ゴールドマン・サックス証券から「日本株がアウトパフォームする可能性を探るとき」との声が上がってきたとあります。
振り返ると、ここ5年間は海外投資家による日本株のアンダーウエートが顕著となっていました。
アベノミクスで買い越された分の日本株(現物+先物)が、それ以上に売られる結果となってしまっているのです。
そして、日本株は足元で、米国株と比べても堅調な動きとなっていますが、ここから一段の上昇をするためには、やはり海外投資家の売買動向が大事になってくるでしょう。
個人的には、経済の回復がいつになるか分からず、現在のように先行き不透明な状況下では、欧米企業に比べて現預金の手厚い日本企業の方に長期的な投資妙味があるのではないかと考えています。