1.自分に最適な投資戦略を構築する
ランダムウォーク理論と著名投資家の記事の最後に、著名投資家たちの投資戦略はいくつも公開されているにもかかわらず、成功している投資家は少ないと書きました。
それは一体、どうしてなのでしょうか?
その大きな理由として私が考えるのは、たとえ卓越した投資戦略を学び実践したとしても、それが投資家自身の性格と合っていて、心から信頼しているものでなければ、その戦略を実行し続けるのが難しいということです。
どんな投資戦略をもってしても、長く投資を行っていれば、厳しい逆境にさらされる時というのが、遅かれ早かれ訪れることになります。
自分の性格と合っておらず、自分が心から信頼できていないような戦略では、そういった逆境の場面でルール通りに動くことができずにルールを破ってしまったり、挙句の果てには戦略そのものを放棄してしまうのです。
それが優秀な戦略で、厳しい逆境を乗り越えてそのまま実行し続けていれば、最終的には良い結果が得られるであろうことが頭では分かっていても、しょせん他人の戦略では実行し続けることができません。
だからこそ、自分に最適化した投資戦略が必要になってくるのです。
ただ、当然ですが自分に最適な投資戦略を構築するのは簡単なことではありません。
また、投資の世界の厳しさについても、投資の利益は不労所得か?のところで書いた通りです。
「楽して稼げる」という甘い考えは早々に捨て去るべきなのです。
2.市場を予測するということについて
そして次に、市場を予測するということに関しても、ここで取り上げていきたいと思います。
なぜなら、市場の先行きを予測する精度を高めることが、成功するためには必要だという、間違った思い込みをしている人が少なからずいるからです。
しかし、効率的市場仮説と行動ファイナンス理論のところで書いたように、効率的市場仮説という前提のもとでは、市場予測は不可能であるとされます。
また、実際の市場はほとんどランダムと言ってもよい動きをしており、そうであるならば市場を予測するのはやはり不可能であるとも書きました。
ですから、市場予測の精度を高めようとするような間違った努力は、徒労に終わるだけとなってしまいます。
ただ、ここで誤解してほしくないのは、市場を予測してはいけないと言っているわけではないということです。
自身の予測を基に、市場へ参加(エントリー)することはもちろん一向に構いません。
ですが、予測というのは当たることもあれば外れることもあるという姿勢で、市場に臨む必要があるということなのです。
そうでないと、市場が自分の予測と逆行した際に、その予測に固執して対応が遅れたり、適切な対応を取ることができなかったりしてしまいます。
そして、そもそも市場を正しく予測することが、投資家の仕事というわけではありません。
私たちのやるべきことは、市場がどう動いても対応できるように、予め戦略を練っておくことです。
具体的には、市場へのエントリーだけでなく、資金管理(マネーマネジメント)や手仕舞いなどについても考える必要があります。
資金管理や手仕舞いについて書くと非常に長くなってしまいますので、ここでは書けませんが、またどこかの機会で書いていきたいと思っています。
特に資金管理は非常に重要なことですが、巷では、ほとんどエントリーばかりについて書いてあるような書籍を見かけたりします。
そのため、この資金管理について十分にページを割いて書かれているかどうかが、良書を見分ける際のポイントにもなるので、参考にしていただければと思います。
以上から、投資家にとって必要なことというのは、市場を正しく予測しようとすることではなく、自分の性格に合った投資戦略を、投資を学び実践していく中で構築していくことになります。
そして、投資戦略を構築する上では、市場へのエントリーはもちろん、資金管理や手仕舞いなどについても考える必要があるということなのです。