相場のデータ・指標

騰落レシオは相場の天井や大底をどこまで捉えられるのか?

1.騰落レシオとは?

騰落レシオとはテクニカル指標の一つで、東証1部全銘柄における値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率から、相場の天井圏や底値圏を測る指標として用いられます。

騰落レシオは、5日間や25日間といったある一定期間の平均で見ますが、一般に25日間で見ることが多く、この25日騰落レシオは次のように求められます。

25日騰落レシオ(%)=25日間の値上がり銘柄数の合計/25日間の値下がり銘柄数の合計×100

値上がり銘柄数と値下がり銘柄数が同じであれば、騰落レシオは100%となります。

そして、値上がり銘柄が多くなり騰落レシオが120%を超えてくると天井圏、値下がり銘柄が多くなり騰落レシオが70%を下回ってくると底値圏かという見方がされます。

もちろん、騰落レシオで正確に相場の天井圏や底値圏を判断できるというわけではありません。

「だまし」といって、騰落レシオが天井圏や底値圏を示していても、それが全く当てにならないということが多々あるのです。

2.騰落レシオ(2000~2005年)

では、実際に過去の日経平均株価の動きと騰落レシオ(25日)との関係を、①2000~2005年、②2005~2010年、③2010~2015年、④2015年~と4つに分けて見ていきたいと思います。

まずは、下記の①2000~2005年の図をご覧下さい。

①2000~2005年の日経平均株価と騰落レシオ(25日)

ITバブルの影響で2003年の初め頃まで下げ相場となっているのが見て取れます。

この下げ相場期間中の日経平均株価を騰落レシオと照らし合わせてみると、騰落レシオが70%前後となっても、そこからさらに日経平均株価が下落してしまうということが割とよく見られています。

一方で、この下げ相場期間中に騰落レシオが120%前後となったときは、目先の天井と割とよく示しているといえます。

また、2003年4~5月の下げ相場から上げ相場への転換点となる大底の部分では、騰落レシオが120%前後となっており大底とは全く逆の天井圏を示していることも分かります。

3.騰落レシオ(2005~2010年)

次に、②2005~2010年の図を見ていきます。

②2005~2010年の日経平均株価と騰落レシオ(25日)

この図では、2007年の前半までは上げ相場となっており、2007年後半からはリーマン・ショックにより下げ相場となっているのが見て取れます。

2007年前半までの上げ相場期間中には、騰落レシオは何度も120%前後となり天井圏を示唆していますが、そこからさらに日経平均株価が上昇するということが多く認められています。

一方で、騰落レシオが70%前後となったときは、目先の底を割とよく捉えているように見えます。

そして、2007年後半からの下げ相場では、やはり騰落レシオが70%前後で底値圏というのはほとんど機能していないことが分かります。

4.騰落レシオ(2010~2015年)

さらに、③2010~2015年の図を見ていくことにします。

③2010~2015年の日経平均株価と騰落レシオ(25日)

この図を見て分かるように、2012年末まではレンジ相場(ボックス相場)となっており、それ以後は上げ相場となっています。

2012年末までのレンジ相場では、騰落レシオが目先の天井や底をある程度示しているように見えますが、上げ相場に転じる始点となる2012年末においては120%を大きく超えて天井圏を示してしまっています。

また、2012年末からの上げ相場では、騰落レシオが何度も120%以上となってますが、ここでもこの天井圏の示唆に関してはあまり機能していません。

一方で、この上げ相場の中で騰落レシオが70%前後となったときというのは、目先の底をある程度うまく捉えています。

5.騰落レシオ(2015年~)

最後に、2015年以降から直近までの図を見ていきます。

④2015年~の日経平均株価と騰落レシオ(25日)

この図では、日経平均株価が概ねレンジ相場で推移しているためか、騰落レシオが目先の天底を割と正確に捉えているように見えます。

以上見てきたことをまとめると、騰落レシオは、

  • レンジ相場では天井圏、底値圏ともに割とうまく捉えている
  • 下げ相場では目先の天井圏は割とうまく捉えているが、底値圏の示唆は当てにならない
  • 上げ相場では目先の底値圏は割とうまく捉えているが、天井圏の示唆は当てにならない

という傾向があることが分かります。

ただ、現在の相場が上げ相場なのか下げ相場、あるいはレンジ相場なのかは、判断が困難なこともあります。

また、ある程度それが判断できたとしても、そこがいつトレンドの転換点となるかも分かりません。

そして、トレンドの転換点では、例えば下げ相場から上げ相場への転換点であるにも関わらず騰落レシオが天井圏であることを示していたりと、全く逆の示唆が為されることもあります。

このように注意が必要な点も多々ありますが、こういったことを念頭に置いて、騰落レシオを見ていっていただければと思います。

 

関連記事

  1. 相場のデータ・指標

    配当利回りから見た日経平均株価とTOPIX

    この記事では、配当利回りと株価指数との推移を比較し、その背景にある配当…

  2. 相場のデータ・指標

    FRBの量的緩和政策(QE)と「米長期金利」

    この記事では、長期金利の決定要因および、FRBによる量的緩和政策(QE…

  3. 相場のデータ・指標

    日銀のETF買い入れと日経平均株価

    この記事では、日銀によるETF買い入れの累計額を日経平均株価の推移と比…

  4. 相場のデータ・指標

    プット・コール・レシオのすべて

    この記事では、プット・コール・レシオについて、日本取引所グループやeワ…

  5. 相場のデータ・指標

    「WTI原油」の先物価格とCFTC建玉明細

    この記事では、WTI原油価格を、CFTC建玉明細の投機筋、実需筋などの…

  6. 相場のデータ・指標

    「米国長期金利」のデータ分析(H30.6)(日本と中国の米国債保有額・FRB保有債券残高)

    この記事では、直近の「米国長期金利」について、日本と中国の米国債保有額…

書籍を出版しました!

電子書籍(3冊全て、Amazonランキング1位獲得)

「マーケットの魔術師」ならぬ「マーケットの詐欺師」

精神科医が暴く金融業界の裏側

 

勝者の心構え

精神科医が看破する投資の本質

 

 

 

この心理的罠からあなたは逃れられるか

精神科医が洞察する投資家心理

 

  1. 相場のデータ・指標

    信用取引残高(信用残)の意外な検証結果と新たな指標!
  2. 投資の基礎知識・理論・心理

    「不利」なのに「人気」 毎月分配型の投資信託
  3. 投資の基礎知識・理論・心理

    アナリストなんて当てにならない!?
  4. 相場のデータ・指標

    米国債の長短金利差はバブル崩壊を予言するか?
  5. 読書録・書評

    【読書録・書評】『脱アマ相場師列伝―具体的な売買法と練習上達について』
PAGE TOP