投資の基礎知識・理論・心理

投資信託の高い手数料と投資信託に代わる選択肢

この記事では、他の記事で「高い」と書いてきた、投資信託(以下、投信)の手数料について具体的に見ていきたいと思います。

まず、投信の手数料にいくつかあるのですが、主なものとして販売手数料と信託報酬の2つがあります。

前者の販売手数料は当然、購入時だけにかかりますが、後者の信託報酬というのは運用管理手数料のことで、投信を保有している間は毎年かかってくるものになります。

投信の手数料は商品によって様々ですが、金融機関の窓口で勧められるようなものは大体が、販売手数料が2~3%で、信託報酬も2~3%のものです。

つまり、初年度には5%前後も手数料をとられ、その後も毎年2~3%もかかってくるのです。

「なんだ、その程度か。大したことないじゃないか。」と思われた方もいるかもしれません。

確かに、割合で考えるとそれほど大きなものではないように思われるかもしれません。

しかし、この5%を金額にして考えてみると、100万円であれば5万円、1000万円であれば50万円といったように、かなり大きなものになってきます。

これが5%ではなく、2%であったとしても、決して少ない額ではありません。

そして、投資は長期で行っていくことを前提とするのであれば、10年、20年と長期になるほど、この手数料が大きくパフォーマンスの足を引っ張ってくることになります。

また、後述しますが、多くの投信と同じような商品設計で、購入や運用にかかる手数料がずっと安い商品というものが存在します。

そういったことを踏まえると、あえて投信を購入する理由というのは、ほとんど見当たりません。

なお、参考までにですが、現在、一般に販売されている投信(公募型投信)は6000本以上もあります。

もちろん、この中には買うに値する投信もいくらかはあるのでしょうが、これだけの数があると、それを見つけ出すだけでも至難の業です。

もっとも、これから新たに資産運用を始めようとする人たちが、自分ではどれを選んだらよいか分からず、金融機関に相談するように仕向けるために、あえてそれだけ多くの投信が販売されているのかもしれません。

いずれにせよ、投資信託には初めから手を出さないということに尽きます。

そして先ほど、安い手数料で買える、投信と同じような内容の商品があると書きましたが、それは上場投資信託ETF:Exchange Traded Fund)というものです。

投資信託に上場という言葉が付いただけで、名称は似ているのですが、両者は似て非なるものになります。

投信は、金融機関に口座を開くなどして購入するのに対し、上場投資信託(以下、ETF)は、証券会社に口座を開くことで一般の株式と同じように自由に売買することができます。

証券会社の口座開設はもちろん無料でできますし、ETFは一般の株式と同じように売買することができるため、売買にかかる手数料が安く済みます。

ETFの購入手数料は一般の株式と同様の料金体系で、証券会社によっても異なりますが、購入金額によっては無料で購入できるような証券会社もあります。(例えば、松井証券では1日10万円までの取引は無料)

そして、ETFにも信託報酬(運用管理手数料)はありますが、ほとんどが1%以下で、0.1~0.3%のものも多く存在します。

明確な基準があるわけではありませんが、私の場合は基本的に0.6%以下を目安に選んでおり、少し複雑な設計の商品であれば、0.8%以下を目安としています。

以上から、手軽に投資を行いたいという場合には、商品の種類も豊富で、手数料の安いETFを真っ先に検討するべきです。

中にはETFだけで十分だという専門家もいるくらいですから、初心者から上級者までETFを活用しない手はありません。

なお、楽天証券やSBI証券、マネックス証券では海外ETFの取り扱いも豊富であり、証券口座開設の際に参考にしていただければと思います。

 

「不利」なのに「人気」 毎月分配型の投資信託前のページ

おススメ証券口座 ×SBI証券ではなく、○楽天証券を!次のページ

関連記事

  1. 投資の基礎知識・理論・心理

    ファット・テールを制する者が投資を制す!

    この記事では、ファット・テールやそれを形成するブラック・スワンに備えて…

  2. 投資の基礎知識・理論・心理

    ラップファンドは避けるべき!

    この記事では、TV-CMも流されたりして、預かり資産残高を着実に伸ばし…

  3. 投資の基礎知識・理論・心理

    投資関連書籍やマネー雑誌の取扱いに注意!

    この記事では、投資関連書籍を読む際にどういった本を選べばよいのかや、マ…

  4. 投資の基礎知識・理論・心理

    若い人にとっての投資の必要性

    ここでは、投資の必要性の中でも、特に若い人にとってはどうかということに…

  5. 投資の基礎知識・理論・心理

    ギャンブラーの誤謬をどう投資に生かすのか?

    この記事では、ギャンブラーの誤謬や大数の法則、ギャンブラーの誤謬の誤謬…

  6. 投資の基礎知識・理論・心理

    アクティブ・ファンド vs. パッシブ・ファンド

    この記事では、アクティブ・ファンドの実態や、ファンドを購入した投資家の…

電子書籍(3冊全て、Amazonランキング1位獲得)

「マーケットの魔術師」ならぬ「マーケットの詐欺師」

精神科医が暴く金融業界の裏側

 

勝者の心構え

精神科医が看破する投資の本質

 

 

 

この心理的罠からあなたは逃れられるか

精神科医が洞察する投資家心理

 

  1. 投資の基礎知識・理論・心理

    投資だけでない! 日常にもよく見られるプロスペクト理論
  2. 相場のデータ・指標

    【2023年9月】「米国株(S&P 500)」のデータ分析(PER・C…
  3. 読書録・書評

    【読書録・書評】『運、タイミング、テクニックに頼らない! 最強のファンダメンタル…
  4. 読書録・書評

    【読書録・書評】『ウォール街のモメンタムウォーカー 〔個別銘柄編〕』(2/2:具…
  5. 読書録・書評

    【読書録・書評】『インベスターZ』(全21巻)の第16~21巻のレビュー
PAGE TOP